1999年9月発売
ひとつの規範、スタイルが確立されたものに、別の規範を提示することほどむずかしい作業はないが、ビルスマはそれをバロック・チェロを使ってなしとげた。バロック時代の組曲の意味を改めてわれわれに意識させる、一つの歴史的名盤だ。
「組曲ホ長調」「組曲ハ短調」はレオンハルト自身がチェンバロ用に編曲したもので、もともとは前者は無伴奏チェロ組曲、後者はリュート組曲(その前身はやはり無伴奏チェロ組曲)。豊かな対位法でとても面白い。他も名曲揃いの名演奏。
わざとらしい飾り気の少ない、温厚かつ円やかな味が特徴的なフランス組曲であり、各組曲の流れも良い演奏。パスカル・タスカン製作の楽器をモデルにしたチェンバロが使用されているが、レオンハルトはその音色の美しさを演奏によく反映させている。
レオンハルトによる名盤のCD化だが、曲の生まれた時代の様式にたちかえって演奏するという彼の主張…でも、この演奏の魅力は、彼のエネルギッシュなまでの奔放さではないか。いま聴き直して驚くのは録音の生々しさ。アナログ録音の究極といえよう。
75年に録音された、ブリュッヘンとレオンハルト等によるバッハのフラウト・トラヴェルソのための作品集の復刻盤。オリジナル楽器による演奏としては、すでに定番の部類に入る録音だが、今聴いても十分に刺激的なその「響き」に圧倒される。
14曲のソナタを収めているが、うち10曲が同じ調性をもつ5組のペアーとして解釈され演奏されているので、トラック数は9になっている。ペアーとして続けて演奏する場合の一貫性ないしは性格の描き分けに、とくにレオンハルトの優れた技量が見出される。
ルイ15世治下の爛熟した宮廷で生まれた、舞曲の形式を借りたキャラクター・ピースを、フランス的な軽みを生かしつつ荘重に弾いている。左右の手のずらしぐあいや微妙に伸縮する拍に、当時45歳の大御所ならではの風格がただよう。鍋島元子の解説も読ませる。
バロックから近代までの幻想曲ばかりを集めたユニークな構成。冒頭のバッハから強い個性があふれ出ていて印象づけられた。緩急強弱の対比の個性的な取り方、テンポやアクセント、間の取り具合なども見事で、文字どおりファンタスティックな演奏になっている。★
オペラ、ミュージカルなどをはじめとしたコンサート活動や、テレビ出演で幅広いファンを獲得している女性のレパートリーを完全収録したシリーズ、第8弾。本作は童謡を中心に編集されている。
シリーズ第9弾、既発作品の再発化だが、ジャケットは各作品の収録曲に合わせて一新。本作は、古典歌曲、クラシック楽曲を取り上げ、こどもの歌や子守歌など一度は耳にした曲を集めたもの。
デビュー以来30年にわたって、幅広く活躍している女性シンガーのこころの歌100曲集、第3弾。今回は欧米で作曲されたもので、日本語詞とともに親しまれた楽曲を収録。廉価再発盤。
“こころの歌100曲集”の第4弾。本作はスタンダード・ナンバーを集めたもの。ところで、この“愛唱歌”って、今どこで愛唱されているのでしょうかね? 名曲ばかりだとは思うけど。