2003年10月発売
山下洋輔ニューヨーク・トリオ結成15周年記念盤。単に邦楽器とジャズの融合にとどまらない、邦楽や童謡から受けた創意を自在に駆使した意欲作。能の幽玄も円生の出囃子も渾然一体となって聴覚細胞の遺伝子を知的に刺激する緻密な構成が素敵。ぜひ、一聴! のお薦め品である。★
各地のクラブに“乱入”しながら、ジャズの源流を辿る米国の旅を終え、終点のNYで録音されたソロ・ピアノ集。奔放で力強い即興、時にロマンティックな面さえ見せる情感、優美な歌心が、旅の収穫を伝える。一音でスウィングさせてしまう達人の力量に脱帽。
山下は何を演奏しても自分の音楽にしてしまう。このクラシック作品を聴いて、つくづくそう思った。とにかくパワーが凄い。穏やかな表現をしても、力の漲ったタッチが表現力を超えてしまう。そこが山下の魅力だ。彼にはショパンもバッハも関係ない。
なにかと話題のジャズ・ヴォーカリスト、akikoのアルバムはDJ須永辰緒プロデュース。とはいえフロア対応というわけではない。テーマはずばり“不良ジャズ”だそう。ぴったり。そこはかとなく流れる場末感も効果的。蓮っ葉なジャケがまた、いいんだ。
甲斐よしひろならではの選曲と解釈によるアクの強い納得のカヴァー・アルバム。1曲聴くと、次の曲を甲斐がどうとらえ、どんな感じで歌っているのかと期待させる。昭和13年の「満州娘」や松田聖子ナンバー、前川清の「雪列車」などは甲斐ならではのもの。
ティンバランドのレーベルの第1弾だった白人ラッパーのセカンド。変則ビートは控えめに、フィドルやスティール・ギター、管やストリングスも含め徹底的に楽器を多用したメロディアスかつカラフルなトラック群は秀逸。ババのフロウの多彩さと技術も一流。★
2003年に放送16年を迎える長寿人気番組『世界の車窓から』。毎日映像とBGMが日替わりで流れるこの番組でオンエアされた楽曲を選りすぐって集めた作品。旅心をくすぐる、電車に乗りたくなる曲ばかり。