2008年5月21日発売
文久3年(1862年)生まれで、30歳で初舞台を踏むという遅いスタートだったが、大正・昭和初期にかけて活躍し、昭和18年に82歳で亡くなった五世・延寿太夫の芸を、昭和5?11年発売のSP音源から復刻しての6枚組ボックス。浄瑠璃方として活躍した晩年の音源が含まれている。LP時代の復刻では未収録だった「文屋」が今回は収録されている。ゆったりとしたテンポでの語りをまどろっこしいと感じるかもしれないが、歌舞伎の舞台を思い浮かべつつ聴くと、そのテンポにはまるはず。清元を改革し、名人と言われた五世・延寿太夫の語り口は言葉が聴き取りやすく、その情景を想像できる。「明烏」は延寿太夫が舞台で倒れたときの演目である。年配の歌舞伎ファンならご存じの薬缶頭を真っ赤にして語っていた志寿太夫(平成11年に101歳で没)の若き日の声も聴けるのも嬉しいところ。
王国の消滅とともに、伝統の途絶えていた琉球の宮廷音楽のひとつを御座楽復元演奏研究会が長い歳月をかけて再現したもの。雅楽と比べると大陸的な面があるが、「蓮花落」などにおける絃楽器の響きを聴くと、本土の音楽にも少なからず影響を与えたと思われる。
邦楽舞踊シリーズ全69枚のうちの義太夫篇。能の「翁」を元に義太夫としたもので、人形浄瑠璃で明治期につくられた比較的新しい作品だ。竹本扇太夫、豊竹和佐太夫、竹本藤太夫の浄瑠璃は、中世から続く長い歴史の積み重ねに裏打ちされた重厚さを感じさせる。
ジャズ界の重鎮であった世良譲がその親しい仲間たちと繰り広げる、寛いだジャズが満載のオリジナル第1集。テレビなどではその軽妙な語り口でも親しまれていたが、その一端は仲間たちと語り合うライナーでも楽しめる。どれもがお馴染みの名曲で飽きることがない。
今回再発された本作、オリジナルのリリースは77年。この時代にしてはかなりストレートアヘッドなジャズなるも、のっけからグイグイ引っ張る横内章次のグルーヴィなギターと、4ビートからラグタイム風まで楽々こなす世良の懐の広さが何とも頼もしい。
西直樹が、東京ユニオンのリーダーとして活躍していた高橋達也をサックスに迎え吹き込んだ、81年発表のアルバム。極上のバラードからブルースまで、西のピアノの醍醐味をじっくりと聴き込める。