音楽むすび | 2009年8月発売

2009年8月発売

<SP盤復元> 決定盤 初代 桂春団治 落語傑作集<SP盤復元> 決定盤 初代 桂春団治 落語傑作集

昭和初期に派手な藝風と天衣無縫な私生活で一世を風靡した、初代桂春団治のSP盤からの復刻6枚組。ディスク1の「チリトテチン」は旦那とご馳走される二人の人物で展開され、関東では「酢豆腐」で知られる同趣向の噺とはひと味異なるが、知ったかぶりが主役なのは同じ。他にも「逆様盗人」「正月丁稚」やディスク2の「壷算」、ディスク3の「借家怪談」「続借家怪談」など、江戸落語との違いがよくわかる。ディスク6の「生さぬ仲」は大正6年に発売された、春団治の最も古いレコードからの復刻。SPへの吹き込みという時間的制約があるにもかかわらず、そんなの関係ないとばかりに面白い部分を徹底して演じるところがこの人らしい。上方落語独特の漫画チックな擬音言葉、マセた子どもの小憎らしさと愛嬌の絶妙な演じわけ、下ネタを真正面からぶつけてくる心意気(?)、登場人物の掛け合いのスピード感など、聴き手をいちど引き込んだら死んでも放すものか的なアクの強さが魅力だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP