2010年3月24日発売
クレーメルの80年録音の2枚のアルバムをまとめたもの。彼の繊細さと過激さが同居した、尖鋭的な演奏が高い評価を得た。作品の隠れた魅力までをも引き出すクレーメルの天才ぶりが、遺憾なく発揮されている。
ムローヴァが新境地を拓いたアルバム。ピリオド奏法を取り入れた演奏で、それまでの美しくも無機的な演奏とは一線を画し、豊かな表情と歌ごころをみせつけた。新生ムローヴァを印象づけた記念碑的な一枚だ。
美人姉妹デュオとして高い人気を得ていたラベック姉妹のベスト盤。ドビュッシー編曲の「白鳥の湖」や「ラプソディ・イン・ブルー」の2台ピアノ版、有名曲から洒落た編曲ものまで、彼女たちのセンスの良さが楽しめる。
ロストロポーヴィチ30代半ば、リヒテル40代半ばの西側デビューして間もない頃の、名盤として名高い録音だ。第1回レコード・アカデミー賞受賞作で、豪快さと繊細さをあわせもった名演である。
リヒテル晩年の録音を収めた一枚。ベートーヴェンが追求してきた変奏曲、フーガ、ソナタからなる三位一体が、至純の抒情性のなかで昇華した後期の3つのソナタを、リヒテルが余すところなく表現している。
レオンハルトが、チェンバロとクラヴィコードを弾き分けているアルバム。譜読みの的確さと、ヴィヴィッドな音楽的感興を持ち合わせているレオンハルトならではの、厳粛さと優雅さが堪能できる。
制作・出演
アンブロジアン・シンガーズ / ウォルター・スコット / クリストファー・バワーズ=ブロードベント / グノー / サー・アレグザンダー・ギブソン / ジェシー・ノーマン / ジョン・マッカーシー / ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団厳密な意味での宗教作品集ではないが、神と向き合い、神への感謝を歌った曲を集めている。こうした曲でのノーマンの深々とした声は、いやがうえにも崇高さを醸し出している。声の力に圧倒される一枚。
フィッシャー=ディースカウが、いずれも複数回録音している作品を収めている。円熟期の彼がブレンデルと組んだ録音は、発表当時大きな話題となり高い評価が与えられた。雄弁で美しいブレンデルのピアノも素晴らしい。
制作・出演
アラステア・ロス / オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク / キャサリン・ボット / サビーヌ・ヴァタン / サン=サーンス / ジェラール・コセ / ジョン・エリオット・ガーディナー / ジル・カシュマイユ / フォーレ / モンテヴェルディ合唱団フォーレのレクイエムをメインに、ロマン派以降のフランスの声楽曲を集めたアルバム。レクイエムではオリジナル版(第2版)を使用し、ピリオド楽器オーケストラで、一段と澄明感のある響きを作り出している。
ピリオド楽器オーケストラをバックにした「メサイア」から、19曲を収録したハイライト盤。互いに深い結びつきを持つ指揮者と合唱団とオーケストラだけに、緊密で素晴らしいアンサンブルを繰り広げている。
制作・出演
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター / イングリッシュ・バロック・ソロイスツ / ウィラード・ホワイト / ジョン・エリオット・ガーディナー / スーザン・アディソン / ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ / バーバラ・ボニー / モンテヴェルディ合唱団 / モーツァルトガーディナーによる待望のモーツァルト「レクイエム」として好評を得た、またピリオド楽器による演奏のひとつの規範ともなった録音だ。明快さと荘厳さを併せもつ演奏で、いまだにその価値は減じていない。
制作・出演
アントニー・ハルステッド / ゲオルク・フリードリヒ・ダウマー / ジョン・エリオット・ガーディナー / ジョン・ペリー / テレサ・ショウ / デリス・ウィン / フィリップ・ソルモン / ブラームス / モンテヴェルディ合唱団 / ロバート・レヴィンレントラーで書かれた愛らしい「愛の歌」を中心に、ブラームスの重唱曲や合唱曲を集めたアルバム。ルネサンス音楽に魅了されて書いたというブラームスの声楽曲の本質を、卓越した歌唱で明らかにしている。
「晩祷」は、ロシア正教の典礼音楽として書かれたラフマニノフの代表的な宗教曲。宗教曲ではあるものの、抒情的でロマンティックな装いの曲だ。サンクトペテルブルク室内合唱団が、心に沁み入る演奏を聴かせている。
毎年のリリースが恒例となっている、読売ジャイアンツ選手別応援歌の2010年盤。闘魂あふれる清々しき応援歌の数々を収録。お気に入りの選手のものは、ぜひ覚えて球場にて熱唱されたい。
制作・出演
クラウディオ・アバド / サラ・ミンガルド / スイス・イタリア語放送協会合唱団 / テレサ・ロマーノ / ペルゴレージ / モーツァルト管弦楽団 / ラヘル・ハルニッシュ / ヴェロニカ・カンジェミ作曲家生誕300年を機に制作された3枚のうち2番目のリリースとなる。アバドに率いられた音楽家たちの演奏と選曲の秀逸さは各誌/紙で絶賛された前作譲り、絶句の素晴らしさ。26歳で世を去ったペルゴレージが遺したものの大きさを再認識。典型的DG録音バランスだけは、やや異質?
これも最近のムターならではの名演だ。聴き手の心に分け入ってくるような強い訴求力が魅力。じっと祈りをささげるような弱音から、大きな振幅のようなヴィブラートをともなった強い音、そして細かな感情の揺れを表現するような微妙な変化。実に濃い内容。
ムターのメンデルスゾーン・アルバム。協奏曲ではムターらしい表現の幅の広い独創的な演奏が聴ける。ピアノ三重奏曲第1番では、個性的なムター、ロマンティックなハレル、優美なプレヴィンの組み合わせが面白い。ソナタはプレヴィンとの親密なデュオ。
一枚のCDをこれほど慈しんで聴き通したことがあっただろうか。ネトレプコの情感あふれる歌唱は聴く者の心に沁みわたり、繊細かつダイナミックに寄り添うバレンボイムのピアノが胸に響く。祖国の作曲家に寄せるソプラノの深い共感が育んだ感動のライヴである。★