2010年3月24日発売
五嶋みどり15歳の時の録音。とりわけパガニーニが素晴らしく、表情の付け方や間合い、ボーイング、指使い、いずれもすでに高度なテクニックを身に付けていることが分かる。彼女の本領発揮といったアルバムだ。
モーツァルト後期の傑作2曲を収録。ブレンデルが70歳を過ぎてから取り組んだモーツァルトの協奏曲シリーズで、彼の円熟の境地が堪能できる。第22番のカデンツァはブレンデル自身の作曲によるものだ。
ブレンデルとラトルとの初顔合わせとなった、4度目のベートーヴェン全集録音からの一枚。ラトル率いるウィーン・フィルの闊達な演奏にブレンデルがいつになく興に乗り、一段と味わい深い演奏を繰り広げている。
ブレンデルとラトルが初顔合わせで完成させた全集録音からの一枚。ブレンデルにとっては、実に4回目の全集となる。ラトルの才気にブレンデルの磨き抜かれた美音が絡まって、精彩に富んだベートーヴェンとなった。
ブレンデルの2度目の録音となるブラームスの「ピアノ協奏曲第2番」。全体をまとめる構築力と細部にわたる知的なアプローチとの、絶妙なバランスの上に成り立ったブラームス。アバドが作り出す美しい響きと相まって、スタイリッシュな演奏に仕上がった。
ムローヴァの、フィリップス・レーベルからの2作目となったアルバム。ムローヴァの透明感あふれる美音を生かした演奏で、徹底的な描写も大きな話題となった。若きムローヴァの魅力あふれる一枚である。
90年代半ばから大きな変貌を遂げたムローヴァが、ガーディナー率いる古楽オーケストラと共演した話題盤。古楽奏法を取り入れて新鮮なベートーヴェンとメンデルスゾーンを聴かせた、ムローヴァ渾身の一枚だ。
レーピンがゲルギエフと初めて共演した演奏会のライヴ録音。ミヤスコフスキーは20世紀前半に活躍したソ連の作曲家で、この作品は完全に後期ロマン派の作風だ。どちらもレーピンの上手さが光っている。
マイスキーの2枚目のソロ・アルバムで、「アルペジオーネ・ソナタ」は最初の録音。歌心で聴かせるマイスキーの良さがよく出ている。さらにアルゲリッチの機敏な反応をみせた伴奏が、この録音の価値を高めている。
制作・出演
イザベル・ファン・クーレン / エレナ・バシュキローヴァ / ギドン・クレーメル / ゲオルク・ヘルトナーゲル / サン=サーンス / タベア・ツィマーマン / ネルソン・フレイレ / マルタ・アルゲリッチ / ミッシャ・マイスキーアルゲリッチ、フレイレ、クレーメルらが集った、楽しくも興味深いアルバム。サン=サーンスのユーモアと諧謔が、これほど見事に表現された例はあまりない。リドとメシュヴィッツの音楽物語も面白い。
クレーメルの80年録音の2枚のアルバムをまとめたもの。彼の繊細さと過激さが同居した、尖鋭的な演奏が高い評価を得た。作品の隠れた魅力までをも引き出すクレーメルの天才ぶりが、遺憾なく発揮されている。
ムローヴァが新境地を拓いたアルバム。ピリオド奏法を取り入れた演奏で、それまでの美しくも無機的な演奏とは一線を画し、豊かな表情と歌ごころをみせつけた。新生ムローヴァを印象づけた記念碑的な一枚だ。
美人姉妹デュオとして高い人気を得ていたラベック姉妹のベスト盤。ドビュッシー編曲の「白鳥の湖」や「ラプソディ・イン・ブルー」の2台ピアノ版、有名曲から洒落た編曲ものまで、彼女たちのセンスの良さが楽しめる。
ロストロポーヴィチ30代半ば、リヒテル40代半ばの西側デビューして間もない頃の、名盤として名高い録音だ。第1回レコード・アカデミー賞受賞作で、豪快さと繊細さをあわせもった名演である。
リヒテル晩年の録音を収めた一枚。ベートーヴェンが追求してきた変奏曲、フーガ、ソナタからなる三位一体が、至純の抒情性のなかで昇華した後期の3つのソナタを、リヒテルが余すところなく表現している。
レオンハルトが、チェンバロとクラヴィコードを弾き分けているアルバム。譜読みの的確さと、ヴィヴィッドな音楽的感興を持ち合わせているレオンハルトならではの、厳粛さと優雅さが堪能できる。
制作・出演
アンブロジアン・シンガーズ / ウォルター・スコット / クリストファー・バワーズ=ブロードベント / グノー / サー・アレグザンダー・ギブソン / ジェシー・ノーマン / ジョン・マッカーシー / ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団厳密な意味での宗教作品集ではないが、神と向き合い、神への感謝を歌った曲を集めている。こうした曲でのノーマンの深々とした声は、いやがうえにも崇高さを醸し出している。声の力に圧倒される一枚。
フィッシャー=ディースカウが、いずれも複数回録音している作品を収めている。円熟期の彼がブレンデルと組んだ録音は、発表当時大きな話題となり高い評価が与えられた。雄弁で美しいブレンデルのピアノも素晴らしい。
制作・出演
アラステア・ロス / オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク / キャサリン・ボット / サビーヌ・ヴァタン / サン=サーンス / ジェラール・コセ / ジョン・エリオット・ガーディナー / ジル・カシュマイユ / フォーレ / モンテヴェルディ合唱団フォーレのレクイエムをメインに、ロマン派以降のフランスの声楽曲を集めたアルバム。レクイエムではオリジナル版(第2版)を使用し、ピリオド楽器オーケストラで、一段と澄明感のある響きを作り出している。