2010年3月24日発売
第二次大戦中の1943年に作曲され、第7交響曲とともに“戦争交響曲”と呼ばれているが、戦争そのものを題材にしているわけではない。内省的ともいえる作品を、ゲルギエフがじっくりと練り上げている。
「悲愴」は、2種あるゲルギエフの録音のうち最初に録られたもの。「悲愴」というタイトルに表された文学的表現を追求したかのような、濃密なロマンティシズムに彩られた熱演で話題になった。「ロメオ」も同様に濃密さが際立った演奏だ。
二つのオーケストラによる合同演奏ということで大きな話題を呼んだ録音だ。ゲルギエフの主張する“戦争交響曲”の中核をなす作品で、質・量ともにスケールの大きな、燃焼度の高い演奏が展開する。
ドレスデン・シュターツカペレと行なった、デイヴィス初のベートーヴェン交響曲全集からの一枚。この2曲は、極めてオーソドックスで細部と全体とのバランスがよく、完成度の高いベートーヴェンとして評価が高かった。
デイヴィスが、ドレスデン・シュターツカペレと組んで完成させた、初のベートーヴェン交響曲全集からの一枚。ドレスデンならではの音色を最大限に引き出し、オーソドックスに堂々としたベートーヴェンを作り上げている。
音楽を熟知しているC.デイヴィスならではの「田園」。ドレスデン国立管とデイヴィスとの相性は抜群で、デイヴィスの意図を細大漏らさず音と化している。オーソドックスで悠々とした美しいベートーヴェンだ。
制作・出演
サー・コリン・デイヴィス / シャロン・スウィート / ドレスデン・シュターツカペルレ / ドレスデン国立歌劇場合唱団 / ハンス=ディーター・プフリュガー / フランツ・グルントヘーバー / ベートーヴェン / ポール・フライ / ヤドヴィガ・ラッペドレスデン・シュターツカペレから名誉指揮者の称号を贈られているデイヴィスが、彼らと完成させたベートーヴェン交響曲全集からの一枚。オーケストラの特徴を十全に引き出した、完成度の高い演奏を聴かせている。
ハイティンクがウィーン・フィルと進めていたブルックナー交響曲シリーズのうちの一枚。この長大な交響曲を、散逸させることなく悠然とした大きなスケールで描き出している。
コンセルトヘボウ管と交響曲全集を完成させたハイティンクの、新たにVPOと取り組んだシリーズからの一枚。円熟期に入ったハイティンクの最良の資質が表われた演奏として、高く評価されている。
フランスもののポピュラーな名曲を、パリ管との録音のなかから組み合わせた一枚。ビシュコフはパリ管をよく鳴らしており、「幻想交響曲」のドラマ性を浮き彫りにしている。ラヴェルの2曲もパリ管の色彩感がしっかりと生きている。
ムーティがVPOと録音した、モーツァルト交響曲シリーズからの一枚。オペラなどでみせていたドラマティックな曲作りは影を潜め、オーケストラに十分語らせて自然な流れを作り出し、高い評価を得た演奏だ。
「水上の音楽」はガーディナー2度目、「王宮の花火の音楽」は現在唯一の録音だ。いずれもピリオド楽器による演奏で、「水上」での曲の配置も含めて、極めてオーセンティックな演奏を聴かせている。愉悦に満ちたヘンデルだ。
ストラヴィンスキーの出世作、めくるめくような音色とリズムが革新的だった「火の鳥」と、やはり独得の音色感に貫かれたスクリャービンの「プロメテウス」の組み合わせ。ゲルギエフの本領発揮の快演が満喫できる。
「くるみ割り人形」が初演された、文字どおり“本場”の演奏だ。ゲルギエフがダイナミズムと抒情性、さらに次々と繰り出される美しいメロディをチャーミングに描き分けていて、この曲の魅力をたっぷりと伝えている。
制作・出演
エドゥアルト・ブルンナー / エルマー・シュミット / オレル・ニコレ / クラウス・トゥーネマン / シャーンドル・ヴェーグ / ハインツ・ホリガー / マシュウ・ウィルキー / モーツァルト / ルイゼ・ペッレリン郵便馬車の信号ラッパを取り入れた「ポストホルン」、円熟期の傑作「ナハトムジーク」と人気の2大セレナードを収録。ウィーンの伝統を受け継ぐヴェーグと練達のソリストたちが、至芸を披露している。
マリナー、ASMFによるオーケストラ小品集。一時期流行った“アダージョもの”の一つだが、とにかく上手い。さらっとしているが適度なコクもある、手練れによる上質なヒーリング・アルバムといえる。
制作・出演
アカデミー室内アンサンブル / ケネス・シリトー / スティーヴン・シングルズ / ティモシー・ブラウン / デニス・ヴィゲイ / ニコラス・ヒル / マルコム・ラッチェム / モーツァルト / ライマンド・コスター初期の名作3曲と、その5年ほど後に書かれ、2本のホルンの音色やヴァイオリン独奏も華やかな第15番とを組み合わせた一枚。モーツァルトのディヴェルティメントのエッセンスがじっくりと堪能できる。ASMFの演奏は文句なしに素晴らしい。