2010年3月24日発売
コンセルトヘボウ管と交響曲全集を完成させたハイティンクの、新たにVPOと取り組んだシリーズからの一枚。円熟期に入ったハイティンクの最良の資質が表われた演奏として、高く評価されている。
フランスもののポピュラーな名曲を、パリ管との録音のなかから組み合わせた一枚。ビシュコフはパリ管をよく鳴らしており、「幻想交響曲」のドラマ性を浮き彫りにしている。ラヴェルの2曲もパリ管の色彩感がしっかりと生きている。
ムーティがVPOと録音した、モーツァルト交響曲シリーズからの一枚。オペラなどでみせていたドラマティックな曲作りは影を潜め、オーケストラに十分語らせて自然な流れを作り出し、高い評価を得た演奏だ。
「水上の音楽」はガーディナー2度目、「王宮の花火の音楽」は現在唯一の録音だ。いずれもピリオド楽器による演奏で、「水上」での曲の配置も含めて、極めてオーセンティックな演奏を聴かせている。愉悦に満ちたヘンデルだ。
ストラヴィンスキーの出世作、めくるめくような音色とリズムが革新的だった「火の鳥」と、やはり独得の音色感に貫かれたスクリャービンの「プロメテウス」の組み合わせ。ゲルギエフの本領発揮の快演が満喫できる。
「くるみ割り人形」が初演された、文字どおり“本場”の演奏だ。ゲルギエフがダイナミズムと抒情性、さらに次々と繰り出される美しいメロディをチャーミングに描き分けていて、この曲の魅力をたっぷりと伝えている。
制作・出演
エドゥアルト・ブルンナー / エルマー・シュミット / オレル・ニコレ / クラウス・トゥーネマン / シャーンドル・ヴェーグ / ハインツ・ホリガー / マシュウ・ウィルキー / モーツァルト / ルイゼ・ペッレリン郵便馬車の信号ラッパを取り入れた「ポストホルン」、円熟期の傑作「ナハトムジーク」と人気の2大セレナードを収録。ウィーンの伝統を受け継ぐヴェーグと練達のソリストたちが、至芸を披露している。
マリナー、ASMFによるオーケストラ小品集。一時期流行った“アダージョもの”の一つだが、とにかく上手い。さらっとしているが適度なコクもある、手練れによる上質なヒーリング・アルバムといえる。
制作・出演
アカデミー室内アンサンブル / ケネス・シリトー / スティーヴン・シングルズ / ティモシー・ブラウン / デニス・ヴィゲイ / ニコラス・ヒル / マルコム・ラッチェム / モーツァルト / ライマンド・コスター初期の名作3曲と、その5年ほど後に書かれ、2本のホルンの音色やヴァイオリン独奏も華やかな第15番とを組み合わせた一枚。モーツァルトのディヴェルティメントのエッセンスがじっくりと堪能できる。ASMFの演奏は文句なしに素晴らしい。
ベートーヴェンはクレーメル2度目の録音で、シュニトケのカデンツァを使用した先鋭的な演奏で話題となった。ベルクも繊細で求心的な演奏を披露しており、同曲の代表盤のひとつとなっている。
五嶋みどり15歳の時の録音。とりわけパガニーニが素晴らしく、表情の付け方や間合い、ボーイング、指使い、いずれもすでに高度なテクニックを身に付けていることが分かる。彼女の本領発揮といったアルバムだ。
モーツァルト後期の傑作2曲を収録。ブレンデルが70歳を過ぎてから取り組んだモーツァルトの協奏曲シリーズで、彼の円熟の境地が堪能できる。第22番のカデンツァはブレンデル自身の作曲によるものだ。
ブレンデルとラトルとの初顔合わせとなった、4度目のベートーヴェン全集録音からの一枚。ラトル率いるウィーン・フィルの闊達な演奏にブレンデルがいつになく興に乗り、一段と味わい深い演奏を繰り広げている。
ブレンデルとラトルが初顔合わせで完成させた全集録音からの一枚。ブレンデルにとっては、実に4回目の全集となる。ラトルの才気にブレンデルの磨き抜かれた美音が絡まって、精彩に富んだベートーヴェンとなった。
ブレンデルの2度目の録音となるブラームスの「ピアノ協奏曲第2番」。全体をまとめる構築力と細部にわたる知的なアプローチとの、絶妙なバランスの上に成り立ったブラームス。アバドが作り出す美しい響きと相まって、スタイリッシュな演奏に仕上がった。
ムローヴァの、フィリップス・レーベルからの2作目となったアルバム。ムローヴァの透明感あふれる美音を生かした演奏で、徹底的な描写も大きな話題となった。若きムローヴァの魅力あふれる一枚である。
90年代半ばから大きな変貌を遂げたムローヴァが、ガーディナー率いる古楽オーケストラと共演した話題盤。古楽奏法を取り入れて新鮮なベートーヴェンとメンデルスゾーンを聴かせた、ムローヴァ渾身の一枚だ。
レーピンがゲルギエフと初めて共演した演奏会のライヴ録音。ミヤスコフスキーは20世紀前半に活躍したソ連の作曲家で、この作品は完全に後期ロマン派の作風だ。どちらもレーピンの上手さが光っている。
マイスキーの2枚目のソロ・アルバムで、「アルペジオーネ・ソナタ」は最初の録音。歌心で聴かせるマイスキーの良さがよく出ている。さらにアルゲリッチの機敏な反応をみせた伴奏が、この録音の価値を高めている。
制作・出演
イザベル・ファン・クーレン / エレナ・バシュキローヴァ / ギドン・クレーメル / ゲオルク・ヘルトナーゲル / サン=サーンス / タベア・ツィマーマン / ネルソン・フレイレ / マルタ・アルゲリッチ / ミッシャ・マイスキーアルゲリッチ、フレイレ、クレーメルらが集った、楽しくも興味深いアルバム。サン=サーンスのユーモアと諧謔が、これほど見事に表現された例はあまりない。リドとメシュヴィッツの音楽物語も面白い。