2010年9月17日発売
長い間にわたって愛唱されている合唱曲をオーケストラと共演した(武満作品を除く)2010年3月のライヴ録音。やや小振りの合唱とオーケストラの音楽的相性はいま一歩で、両者の付き合いの浅さを感じさせるが、聴き手の心を踊らせる演目を堂々とこなす横綱相撲の貫祿は両者ともさすが。再勝負への期待がふくらむ。
1887年の第1稿ノヴァーク版を使用した演奏。インバルはこの版にこだわり続けるが、録音をいち早く行なったことでも知られる。近年の異常なほどのわが国の“ブルックナー・ブーム”の中にあって巨匠的な風格を示せるのはインバルが筆頭。都響の豊麗さ重厚さ、解釈の充実度は至高。★
あのベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」のクロイツェルである。ヴァイオリン学習者にはお馴染みの42の教則本を書いた人である。日フィルのコンマス、木野の模範演奏なので学習者には最良のCDとなるだろう。第32番以降の重音奏法など、練習曲を忘れさせるほどの聴きごたえがある。
テューバ界のモンスターである。これがテューバかと耳を疑うほどの超絶的なテクニックに加え歌いまわしが繊細で上手過ぎる。13曲収録。編曲ものばかりだがジャズや弦、声楽や打楽器用の原曲が華麗に変貌。これはもう“神”の領域。テューバに対するイメージが根底から変わる。
全編に漂う温かみあふれるムードは全面参加した東京ローカル・ホンクのセンスと基本的に一発録りという録音方法によるものだろうか。どんととの共作「かわりにおれは目を閉じてるよ」のトロピカルなさわやかさ、甲本ヒロトにも通じる朴訥でナイーヴなくせに何か鬼気迫る美しさが漂う「仲のいい二人」など、聴きどころがたくさん。
日本を代表するトランペッターの第5弾。日本のジャズの精鋭を集めた自身のビッグバンドで、タイトルどおり、大空を舞うような、ダイナミックで爽快なサウンドを楽しませる。天翔けるハイ・ノート・ヒッターと、耽美的な表情を併せ持つアンサンブルに驚嘆。