2012年5月9日発売
循環形式の手法によって細部に至るまで有機的に関連付けられ、色彩感に溢れたオーケストラと壮麗なオルガンの響きが効果的に対置されたサン=サーンス円熟期の交響曲第3番。バレンボイムとシカゴ交響楽団が雄大なスケールで表現したアルバムです。オーケストラをシカゴで、オルガンをパリで収録しており、このシンクロ録音は初出当時大いに話題になりました。当時手兵であったパリ管弦楽団を指揮した3曲の管弦楽曲をカップリング。
シューベルトの死の年に完成された、作曲家の音楽的特質が見事に発揮された雄大なスケールと美しい旋律による交響曲《ザ・グレート》には、シューマンが「天国的な長さ」と評した有名なエピソードが残されています。ベームが晩年にドレスデン国立管弦楽団を指揮した演奏会のライヴ録音で収録、この名門オーケストラ特有の豊かでバランスのよい響きを充分に生かし、古い伝統を継承するドイツ的な肌ざわりを持った音楽を聴かせています。
スターリンの死の翌年に作曲され、芸術の自由化を象徴することになったショスタコーヴィチの第10番。新古典主義時代の作品のなかでも、最も古典的な書法による作品として知られるストラヴィンスキーの交響曲ハ調。20世紀中葉にロシアで生まれた2曲の傑作交響曲を、カラヤンがベルリン・フィルハーモニーを指揮した演奏で聴くアルバムです。彫琢された輝かしい音色と洗練の極致ともいうべき響きによる演奏が魅力のディスクといえるでしょう。
チャイコフスキーが不幸な結婚に悩んでいた時期に作曲された第4番は、彼の交響曲のなかでは最も変化に富んだ情熱的な作品として知られています。壮年期のカラヤンと手兵ベルリン・フィルハーモニーによる起伏の烈しいダイナミックなこの演奏は、現在でも眩いまでの輝かしさをまったく失っていません。バレエ音楽の第1作で最も有名な作品として多くの人々に親しまれている《白鳥の湖》の組曲をカップリングしたアルバムです。?
冒頭に現れる「運命の主題」が全楽章にわたって様々な形で再現し、この主題が全曲を統一する役目を担うチャイコフスキーの第5交響曲。50歳代の後半を迎えた壮年期のカラヤンと彼の手兵ベルリン・フィルハーモニーの覇気溢れる瑞々しい演奏で収録したアルバムです。魔女の呪いによって100年間の眠りに就いた王女オーロラが王子の接吻によって目覚める、ロシア・バレエの《眠りの森の美女》組曲をカップリングしています。
死の直前に完成したチャイコフスキーの辞世の句ともいうべき《悲愴》は、標題が示すとおり人間の抱く内面の苦悩、絶望や悲嘆といった感情を強烈なまでに表出した傑作交響曲です。50歳代の後半を迎えた壮年期のカラヤンと彼の手兵であったベルリン・フィルハーモニーの覇気溢れる瑞々しい演奏で収録した一枚で、ロマンティックな幻想や華やかさを見事に描いた作曲家最後のバレエ《くるみ割り人形》の組曲をカップリングしています。
独奏フルートが華やかに活躍する組曲第2番、有名な《G線上のアリア》の原曲であるアリアを含む第3番。ヨーロッパ各地に起源を持つ様々な舞曲を組み合わせたバッハの管弦楽組曲2曲と、バロックの協奏曲を総決算し次に続く古典派を予告するような独創性をも備えているブランデンブルク協奏曲第5番をカップリングしたディスクです。巨匠カラヤンとベルリン・フィルハーモニーの名コンビによる定評のある演奏で収録しています。
古典的な均整感を漂わせながら民俗的要素を抽象的に昇華させ、絶望感や苦悩が独特の音楽で表現された《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》。オーケストラの各パートを独奏楽器に起用した、華やかな演奏効果で知られる《管弦楽のための協奏曲》。名実ともにバルトークの代表作である2曲の管弦楽曲を収録した一枚です。小澤指揮のボストン交響楽団と、マゼール指揮のベルリン・フィルハーモニーそれぞれの持ち味を聴き比べてください。?
南フランスの牧歌的な背景のなかで繰り広げられる劇付随音楽《アルルの女》、情熱的なスペイン情緒を背景に血と死の匂いに包まれた歌劇《カルメン》。ビゼーの舞台作品からの組曲を収録したアルバムです。アバドと彼が常任指揮者や音楽監督を務めていたロンドン交響楽団による躍動感に富んだ瑞々しい演奏は、今聴いてもまったく新鮮味が失われることはありません。シャープな感性が光る颯爽とした演奏を心ゆくまでお楽しみください。?
ブラームスが4手のピアノ連弾用として作曲し、ドヴォルザークや自らのオーケストラ編曲版によってより広く親しまれるようになった《ハンガリー舞曲集》。この作品に触発されてドヴォルザークがやはり連弾用として作曲し、後に自ら管弦楽用に編曲した《スラヴ舞曲集》。カラヤンがドイツ・グラモフォンにステレオ録音を開始した最初期の録音で、ベルリン・フィルハーモニーを見事にドライヴした熱気溢れる演奏を繰り広げています。?
イプセンの劇への付随音楽《ペール・ギュント》からの組曲、祖国の自然に対する讃美と圧政に苦しむ国民の反抗が表現された愛国的名作《フィンランディア》、トゥオネラ河に浮かぶ美しい白鳥を描いた《トゥオネラの白鳥》。北欧の作曲家グリーグとシベリウスの管弦楽曲集です。独墺系の作品と並んで北欧音楽の指揮にも力を注いだカラヤンは、スケールの大きな緊迫感溢れる圧倒的な演奏を繰り広げ、聴く人を抒情と感動の世界に誘(いざな)います。?
テムズ河での舟遊びのために作曲されたと伝えられる、ヘンデルの管弦楽曲の代表作《水上の音楽》。戦争の終結を祝う戦勝祝賀会の花火大会のための音楽で大規模な軍楽隊によって初演された《王宮の花火の音楽》は初演時には管楽合奏版でしたが、後に管楽器を減らし弦楽合奏を加えた版が新たに出版されました。誠実味溢れる指揮で世界中の音楽ファンを魅了し続けたクーベリックとベルリン・フィルハーモニーによる定評のある演奏です。
夜明けを表す大管弦楽の壮麗な開始部分があまりにも有名な、ニーチェに題材を得たR.シュトラウスの《ツァラトゥストラはかく語りき》は大編成のオーケストラを縦横無尽に駆使した、生き生きとした性格描写によるダイナミックな作品です。また色彩的な管弦楽法によって広大な宇宙の神秘を効果的に描いたホルストの《惑星》は、最も人気のある管弦楽作品のひとつです。スタインバーグとボストン交響楽団による壮麗な演奏で収録しています。
交響詩の創始者として標題音楽の発展に重要な足跡を残した作曲家、リストの管弦楽作品集です。詩人ラマルティーヌの「人生を死への一連の前奏曲とみなす」という序文が付された《前奏曲》、ハンガリーの民族舞曲に基づく《ハンガリー狂詩曲》の管弦楽編曲版3曲と《メフィスト・ワルツ》を収録。広く親しまれた名曲を最高の演奏でレコード化することに情熱を傾け続けたカラヤンの姿勢は、このアルバムにも端的に示されています。
制作・出演
ウィリアム・シェイクスピア / ウルズラ・ベーゼ / エディット・マティス / バイエルン放送交響楽団 / バイエルン放送合唱団 / メンデルスゾーン / ラファエル・クーベリック / ヴォルフガング・シューベルトシェイクスピアの有名な戯曲から霊感を得て弱冠17歳のときに作曲された、天才的な早熟ぶりが遺憾なく発揮された若々しいロマンティシズム溢れる序曲、後年プロイセン王の命によって追加作曲された劇音楽。メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》にウェーバーのロマン的色彩が濃厚な歌劇の序曲2曲をカップリングしたアルバムです。クーベリックが手兵バイエルン放送交響楽団を指揮した、堅固で揺るぎない格調の高い演奏をお聴きください。
清冽な活気と優美な楽想を湛えた、弦楽四重奏曲を思わせるような簡潔な書法による珠玉の名作《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》。2群のアンサンブルを合奏協奏曲ふうに効果的に用いた、室内楽的な《セレナータ・ノットゥルナ》。初期に書かれた弦楽合奏のための3曲のディヴェルティメント。モーツァルトのオーケストラ曲を、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニーによる磨き抜かれたアンサンブルによる演奏で収録した一枚です。
ムソルグスキーのピアノ曲をラヴェルが卓越した管弦楽技法を駆使して色彩豊かに編曲した《展覧会の絵》は、現在では原曲以上にポピュラーになっています。また従来の音楽語法を覆して原始的なサウンドにより異教徒の祭祀を描いたストラヴィンスキーの《春の祭典》は、20世紀のオーケストラ曲として幅広い支持を受けています。カラヤンが1960年代中葉にベルリン・フィルハーモニーを率いて録音した、緊張感に満ちた演奏を収録しています。?
スペイン舞曲のリズムによる旋律のみを楽器を代えて繰り返し、漸強しつつ圧倒的なクライマックスに至る《ボレロ》。ギリシャ神話の牧歌的な物語による、夢想的に描かれたバレエ《ダフニスとクロエ》。夜明けから刻々と変わる海の一日を描写した《海》。マラルメの象徴詩をもとに作曲された《牧神の午後への前奏曲》。ラヴェルとドビュッシーの名管弦楽曲を、カラヤンとベルリン・フィルハーモニーによる色彩感溢れる演奏でご堪能ください。?
20世紀イタリアの器楽ルネサンスを代表する作曲家レスピーギの代表作として知られる交響詩《ローマ三部作》は、「噴水」「松」「祭り」といったローマの風物を題材に、大規模な管弦楽法を駆使して書き上げた壮麗な交響詩です。小澤征爾が指揮するボストン交響楽団の演奏で収録。彼がオーケストラから絢爛たる響きを完璧なまでに引き出しているこのアルバムは、オーケストラ演奏の粋を聴くことのできる一枚といえるでしょう。