著者 : いとうせいこう
ベストセラー『想像ラジオ』から7年。言葉の力を知り抜く著者が世に問う、渾身の小説集! 【夢七日】交通事故に遭い、意識不明となった木村宙太。震災後、原発で働いていた君だが最愛の妻の呼びかけにも応じられない深い眠りの中にいる。二〇一九年十一月、私は君に、日々ささやきかける。--君よ、目覚めよ。 * 【夜を昼の國】一七一〇年、身分違いの悲恋で心中し、恋人・久松と共に「書かれた世界」に放り込まれてしまったお染。歌舞伎や浄瑠璃に脚色され、名誉を傷つけられてきた彼女は今また生き返り、ネットでの中傷に立ち向かおうとする。
世界十五ヵ国の恋愛学者による会議で「二十世紀最高の恋愛」に選ばれたのは、日本の片隅に住む若い男女の、世にも奇妙で不器用な恋だった。調査委員会で報告された、奇想天外な恋の真相とは。切なくもノスタルジックな恋愛ドラマに荒唐無稽なユーモアを鏤めて描く、時代の転換点を生きた恋人たちの物語。
御茶ノ水で奇妙な演説をするマスク男。男には鼻がない。私こそがどうやら彼の鼻らしい。マスクをした数千人の群衆が「鼻」をめぐりシュプレヒコールを挙げる。第150回芥川賞候補作。(解説/沼野充義)
アメリカ、ペルー、マレーシア、日本、香港、クロアチア…。世界のさまざまな場所から『存在しない小説』というウェブサイトに届いた小説は、それぞれ見知らぬ土地の風土が匂い立つような文体で、そこに生きる人々のドラマを鮮やかに描き出していく。「存在しない作家」たちによる、魅力あふれる世界文学。
深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由はー東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。
ヒーローの自意識に葛藤するインディアナ・ジョーンズ 寂しがり屋で小心の殺人鬼、ジェイソン 六代目冥王右団次が語る、火星人の歌舞伎「襲来」とは? 幻の長編「歌を忘れてカナリアに」収録
各界絶賛! 引用、リピート、止まらない連想 ゲームの連続、コトバの混沌 焦燥と昂揚、その頃のトーキョー 凡庸じゃないフロウ、読めば即没頭 超高速かつスロウな妄想 脳内で暴走、町内を奔走 イメージと瞑想、縦書きの予言書 十年後?いや、そのもっと先の 解体、リセット、メモリはキロバイト モノクロの液晶、いざなう世界のエンド 何十年も、何周も早すぎた未来の禅問答 ーーBose(スチャダラパー) 自分探しの旅が 永遠に続く世界の終わりだと 教えてくれた希望の書 ーー神山健治 産毛!触覚!産毛!味蕾! 産毛! 未体験ゾーン突入小説 ーー岡村靖幸
●読めば涙が止まらない。傷つき暴力衝動に駆られたこの社会に、必要な小説(星野智幸) ●圧巻。傑作。早くも今年のベスト3に入る作品に出会ってしまった(伊藤氏貴/読書人) ●著者の言葉の芸が総動員された小説のオペラだ(清水良典/ダ・ヴィンチ) ●荒唐無稽なシチュエーションこそが、現実以上の現実をあぶりだす。これが文学の力だ。間違いなく傑作だ(中島岳志/毎日新聞) ●「想像すれば聞こえるはずだ」というストレートなメッセージに感動(沼野充義/東京新聞) ●夥しい死の事実を、どう受けとめればよいのか。生きている者にできることはあるのか。その問いに真正面から向き合う(平松洋子/読売新聞) ●悲観と楽観の間で引き裂かれたわれわれの時代の「気分」を鮮やかに捉えている(松浦寿輝/朝日新聞) ●「必読」と言い切れる作品。今われわれにいちばん必要で、でもなされていない行為を、ずばりと突きつけられた(「ダ・ヴィンチ」編集長 関口靖彦) ◎大推薦。普段小説なんて読まない方に是非(@yoshikma) ◎面白かった。今年読んだ小説の中で1位だ(@spe_iizuka) ◎本当に素晴らしい。余計な説明はしたくない、とにかく多くの人に読んでほしい。小説を読んでこんなに泣いたことはない(@tangegozen) ◎読んでください。立ち読みで最初の1ページでいいから。そしたらきっと全部読んじゃうから(@aya_super_aya) ◎ひたすら衝撃。うまく言えないので、みんな読んでみて感じてください。(@kintakk1010ber) ◎読んだ。2度読んだ。特別な作品。これからも何度も読むと思う(@nubathestomper) ◎刺さった。しばらく抜けそうにない(@simauma_note) ◎一気に読み終えた。ほんとに一気だった。止まらなかった(@tvdinner78)
小学生の間で空前のブームとなっているゲームソフト「ライフキング」。ある日、そのソフトを巡る不思議な噂が子供たちの情報網を流れ始めた。呪われた世界を救うため、学校で、塾で、子供たちの戦いが始まる。そして最後に彼らが見た「キング」の正体とは?発表当時よりセンセーショナルな話題を呼んだ、著者圧倒的代表作。
地上げした土地の廃ビルにペインティングを施し、アーティストやミュージシャン、編集者などオシャレな不良どもを住まわせる。なんの変哲もない町が二年後には流行の発信地となるだろう。期限付きの解放区、ムスリム・トーキョーはそんな思惑で生まれたー。ドラッグが蔓延し、フリーキーな若者たちが蠢く堕天使の楽園。幻覚のようなヴィジョンに豊かな寓意を重ねた長編小説。
空前のヒット商品となったディス・コン・ゲーム「ライフキング」。ある日、そのソフトをめぐる奇怪な噂が子供たちのネットワークを駆け抜けた。「『ライフキング』には呪われた第5のバージョンがある」。学校で、塾で、そして電話回線の中で噂は増幅し、変貌し、ついに臨界点がやって来たー。世界を破滅から救うため戦闘を開始した子供たち。今、彼らはゲームを越えた。
薬と暴力が疾走する砂漠に、謎の予言者が侵入した。だが、なぜ-。『ノーライフキング』の小説デビューから三年、いとうせいこうが、新しい時空の扉を開ける。
世界は「破滅」に向かっているのに、大人は誰も気がつかない-『ノーライフキング』、呪われたゲーム・ソフトの謎を追って、少年たちの新しい戦いが始まる。90年代の現実を鮮烈に描く、異才、注目のデビュー作。