著者 : きむふな
妻に死なれて男手一つで息子を育てる父親に子供が訪ねる。「ねえ、僕はどうやって生まれてきたの」。父は「あの秘密」をうまく語ることができない。法螺話で切り抜けようとする父の、おかしく、あたたかく、切ない振る舞い。
回復に導く詩の言葉 ハン・ガンによる詩60篇を、著者の小説を手掛けてきた翻訳家きむ ふなと斎藤真理子の共訳により刊行。 巻末に収録した翻訳家対談では、韓国における詩の受容や詩人としてのハン・ガンなど、広く深みのある話が繰り広げられており読者を韓国の詩の世界へ誘う格好のガイドとなっている。 ........................................... ハン・ガンの小説は美しく、同時に力がある。 繊細さだけではなく強さがある。 その元にあるものがこの詩にあらわれている。 ーー斎藤真理子 ハン・ガンにとって詩は 内密な自分自身の声に正直なもの。 詩を書くことで、心身のバランスや 問いを直視し続ける力を回復していく。 ーーきむ ふな ........................................... 一部 明け方に聞いた歌 二部 解剖劇場 三部 夜の葉 四部 鏡のむこうの冬 五部 真っ暗なともしびの家 対談 回復の過程に導く詩の言葉──訳者あとがきにかえて
悲しみではなく美しさを、拘束ではなく自由であることを 冷笑ではなく憐れみであることを、倒れることではなく起き上がることを 恋人との逃避行を前に故郷の村に帰った「私」が、幼い頃家族に起きた出来事や揺れる思いを彼に綴った書簡形式の表題作をはじめ、百編余りの短編からシン・ギョンスク自身が「胸の内をすべて見せるように」選んだ七編を収録。 ここに登場するのは、さまざまな傷を負い、あるいは困難な状況に直面する人たちだ。 彼らの悲しみ、苦しみに寄り添い、人を愛することの切なさを情感豊かに描く美しい物語が静かに、熱く、胸を打つ。 庭に関する短い話 草原の空き家 鳥よ、鳥よ オルガンのあった場所 彼がいま草むらの中で ジャガイモを食べる人たち 暗くなったあとに 作家のことば 訳者あとがき
いまもっとも注目されている韓国文学。さまざまな土地にゆかりのある、古典から現代まで総勢60人の作家/作品を通して、読者を旅に誘う。韓国を愛するすべての人に向けた、豪華執筆陣による珠玉のエッセイ集。
時代に翻弄され癒しがたい傷を互いに負わせたまま、二人の間に時が流れた。 一年に一度、タブーを超えた愛が許されるベトナムのラブマーケットを舞台に描かれる、愛の行く末。 「僕はこれから何を待って、どんな力で生きていけばいいのだろう」 原題<사파에서> <b>【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】</b> 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。 韓国語の朗読音声をYouTubeで聴くことも可能です。 CUON YouTube チャンネル <a href="https://www.youtube.com/user/cuonbooks" target="_blank"> https://www.youtube.com/user/cuonbooks</a>
失敗を知らない孤高の天才が抱えた歪んだ欲望と不安、 やがて迫りくる人生の破局。 成功した映画監督の「僕」が、ノルウェーに住んでいる旧友Pを約十年ぶりに訪ねて行く三日間を通し、人間の歪んだ欲望と不安、突然迫ってくる人生の破局を描き出した、チョン・ミギョンの代表作。 原題<밤이여, 나뉘어라> <b>【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】</b> 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。 人気アナウンサーによる韓国語の朗読をYouTubeで聴くことも可能です。 (現在配信準備中) CUON YouTube チャンネル <a href="https://www.youtube.com/user/cuonbooks" target="_blank"> https://www.youtube.com/user/cuonbooks</a>
永遠に続く平和など、ありはしない。 ーー猟奇的な想像力で紡がれた8つの物語 グロテスクでありながら美しく、目を逸らしたくとも凝視せずにはいられないーー容赦ない筆致で迫りくるピョン・ヘヨンワールドの傑作選。狭いマンホールで身を隠して暮らす子どもたち(『マンホール』)、渓谷で行方不明になった妻のものとおぼしき遺体の確認をする男(『死体たち』)、マイホームを取り囲む不穏な犬の鳴き声(『飼育場の方へ』)ほか、表題含む八編を収録。李箱文学賞を受賞した作家による、鮮烈な短編集。 貯水池 アオイガーデン マンホール 死体たち ピクニック 飼育場の方へ パレード 紛失物 著者のことば 訳者あとがき
【韓国で70 万部のベストセラー!!映画化!「文壇のアイドル」キム・エランの初の長編小説】 三歳のとき、早老症という世界でもあまり例のない病気になったアルムは、子どもがすくすく育つように、彼もすくすく老いていく。治療法がなく、なすすべもない病気と共存しながら、両親の大きな愛に包まれて、アルムの心は豊かに育っていくーーー。 人生の意味を問い、人間存在の美しさを謳う、韓国じゅうが涙した、魂を揺さぶる物語。
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)- 3人の目を通して語られる連作小説集。
大晦日の雪の日、ピアノの調律にやってきた妻の友人と名乗るインド人との不思議なやり取りを描く「皆に幸せな新年」。死んだ年下の恋人の故郷を探す女流作家の行動と当惑を描いた、奇妙な味の「ケイケイの名を呼んでみた」。
父は彼に、なぜ死んだ母を許すようにと言ったのだろうか。母は、徴兵忌避者の父との間に生まれた彼を、かつて殺そうとしたのだろうか。彼は本当に生まれてきたのだろうか。父と母の秘密が、次第に彼の想念の中に忍び込む。
職を失い妻も出て行った私に、古い友人が怪しい投資話を勧める。死海の泥は美容に良い、世界中から客が来る。その開発を一緒にやろうというのだ。執拗な友人の電話を聞きながら、消えた妻の真摯な姿と気持ちを思いやる。