著者 : アンデルセン
悪魔の鏡が砕け、世界中にとびちった。そのかけらの一つが目に入り、少年カイの心は氷のかたまりのようになっていく。いじわるになってしまったカイを、雪の降るある日、雪の女王が連れ去ってしまう。少女ゲルダはカイをさがし、日の光やカラス、鳩、魔法使いや山賊の娘、トナカイらに助けられながらお城へ向かうが…。表題作ほか、「みにくいアヒルの子」「モミの木」「赤い靴」「マッチ売りの少女」など、中期代表作10話を収録。
15歳になった美しい人魚姫がはじめて海の上へと出た夜、船では美しい王子の誕生日を祝っていた。一目で恋に落ちた人魚姫は、魔女に頼み、美しい声と引き替えに人間の足を手に入れる。王子と結婚できなければ、海の泡と消えてしまう人魚姫は、王子に再会し…。幾度も涙を流しながら執筆したという表題作のほか、「親指姫」「はだかの王さま」「しっかりもののすずの兵隊」「野の白鳥」「ナイチンゲール」など、初期代表作を12話収録。
アンデルセンが憧れの国イタリアを舞台にくりひろげた愛の物語『即興詩人』は、鴎外の格調高い文章によって紹介されて以来、広く人々の心を捉えつづけてきた。翻訳文学の傑作であり、明治文学史上記念すべき作品である。
原作が童話集ほどの名声を得なかったにもかかわらず、日本において今なお多くの読者をかちえ続けているのは、いつに鴎外の名訳にあることはいうまでもない。自由自在の語法と華麗でリズミカルな文章によって醸し出されるロマン的雰囲気は遙かに原作を凌ぎ、その後の日本文学に多大の影響を与えた。
歌姫アヌンツィアータに思いを寄せる青年詩人アントーニオ。南国イタリアの自然と人物を背景にくりひろげられるアンデルセン(1805-75)の愛の物語『即興詩人』は、永遠の青春文学として、いつの時代にも読みつがれるだろう。流麗明快なデンマーク語からの原典訳に、作者自身のイタリア旅行スケッチをそえておとどけする。
アンデルセンにとってイタリアはつねに憧れの国であった。28歳の時はじめてかの地に旅し、その芸術と美しい自然、素朴な庶民の生活にふれて強い感銘を受けた彼が、「これらすべての印象を再現しよう」として筆を起こしたのが、この『即興詩人』である。アンデルセンの出世作であり、彼の名を世界的なものに高めた小説。