著者 : アンネ・ランデ・ペータス
海に憧れながら元の生活から離れぬエレーダを描く『海の夫人』。他人との関係を疎むヘッダの退屈な生を描く『ヘッダ・ガーブレル』。「自己亡命」の終焉間際に書かれた、祖国への愛憎と望郷の狭間のイプセンの葛藤が〈居場所探し〉として結晶化した、リアリズム期の傑作戯曲2篇。
私はこの誓いを絶対に忘れない。 雪に閉ざされたノルウェーの田舎町。11歳の少女シスの通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ためらいがちに距離を詰め、運命の絆で結ばれたふたりの少女が、それぞれの思いを胸に、森深くの滝の麓につくられた神秘的な〈氷の城〉を目指す……類稀な研ぎ澄まされた文体により、魂の交歓、孤独、喪失からの再生を、幻想的・象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。 凛とした切なさを湛えた、出会いと別れの物語。 【英ペンギン・クラシックス収録の20世紀世界文学の名作】 【1965年度北欧理事会文学賞受賞作】 Is-slottet(1963) *** 【推薦のことば】 大人になっていくことの残酷さとイノセンスからの解放を、こんな風に鮮烈に描いた物語を他に知らない。 ーー山崎まどか(コラムニスト) 誰にも会いたくない日に読んだ。静かな言葉で書かれるからこそ、少女二人の燃えるような気持ちが胸にぎゅっと迫ってくる。 ーー朝吹真理子(作家) なんと平明で、繊細で、力強く、類のない小説なのだろうか。唯一無二の、忘れがたい傑作だ。 ーードリス・レッシング(英・ノーベル文学賞作家) 世界で一番有名でないことが不思議な本をもし選ばねばならないなら、それはタリアイ・ヴェーソスの『氷の城』だろう。 ーーマックス・ポーター(英・作家) 私がこれまで出版した最高の小説 ーーピーター・オーウェン(英・ピーター・オーウェン社社主) 第1部 シスとウン 1 シス 2 ウン 3 たったのひと晩 4 道の脇 5 氷の城 第2部 雪に埋もれた橋 1 消えたウン 2 眠れぬ夜 3 城を発つ 4 熱 5 深い雪のなかで 6 誓い 7 ウンを消し去ることはできない 8 学校 9 贈り物 10 鳥 11 空いた席 12 雪に埋もれた橋の夢 13 雪上の黒い虫 14 三月の幻影 15 試しに 第3部 木管奏者 1 おばさん 2 しずくと小枝のように 3 城が閉じていく 4 溶けゆく氷 5 開いた窓 6 木管奏者 7 城が崩れる 訳者あとがき