著者 : アーネスト・ヘミングウェイ
1930年代後半、スペイン内戦。共和国側の義勇兵であるアメリカ人ジョーダンは、山峡の橋の爆破を命ぜられる。協力するゲリラ隊には、腹の読めないパブロ、女傑ピラール、そして敵側に両親を殺された娘、マリアらがいた。無垢なマリアと恋に落ちたジョーダンだが、死を賭した作戦決行が数日後に迫っていた。内戦取材を元に、激動する運命と愛を生々しく描き切る、ヘミングウェイ畢生の大作。
マリアとの愛とゲリラ隊の面々への理解を深めていくジョーダンは、華やかで享楽的なマドリードにマリアを伴う未来を夢想する。だが、仲間のゲリラ隊がファシスト側との凄絶な闘いを経て全滅し、戦況は悪化。ジョーダンは果たして橋梁爆破の任務を遂行することができるのかー。スペインを愛し、その過酷な現実を直視したヘミングウェイが書き上げた、戦争の意味と人間の本質を問う渾身の傑作。
第一次大戦後のパリ、そしてスペイン。理想を失った青年たちは虚無と享楽の生活に明け暮れる。釣り、祭り、闘牛、おしゃべり、明るい南国の光の下でくりひろげられる“失われた世代”の青春の日々。果てしない祝祭の日々は、いかなる結末を迎えるのか。彼はこの原稿を二十六歳の誕生日にスペインのバレンシアで書きはじめた。ハードボイルドタッチで若者の代弁者と喝采を浴びた初期の代表作。
1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は、痛ましくも麗しいー。死後に発表され、世界中で論議の渦を巻き起こした事実上の遺作、満を持して新訳で復活。
苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。
炸裂する砲弾、絶望的な突撃。凄惨極まる戦場で、作家の視線が何かを捉えたー1937年、ヘミングウェイはスペイン内戦を取材、死を垣間見たこの体験が、以降の作品群に新たな光芒を与えることになる。「蝶々と戦車」を始めとするスペイン内戦ものに加え、自らの内面を凝視するラヴ・ストーリー「異郷」など、生前未発表の7編を含む全22編。遺族らの手による初の決定版短編全集、完結編。
1928年、28歳のヘミングウェイは、キー・ウエストに居を移した。戦争と革命と大恐慌の’30年代、陽光降り注ぐこの小島に腰を据え、気鋭の小説家は時代と人間を冷徹に捉えた数数の名作を放ってゆく。本書は、経験と思考の全てを注ぎ込んだ珠玉短編集『勝者に報酬はない』、短編小説史に聳える名編「キリマンジャロの雪」など17編を収録。絶賛を浴びた、新訳による全短編シリーズ第2巻。
第一次世界大戦に席捲され、暴力と死の翳におおわれた「われらの時代」の行き場のない不安と焦躁、そこからの脱出の苦闘を、日常生活の断片のスケッチによって描き上げた初期傑作短篇集。ドス・パソス、F.S.フィッツジェラルド、フォークナーら「失われた世代」の聖書として、当時の若い読者の圧倒的な共感を呼んだ。