著者 : イム・キョンソン
親との関係、子どもとの絆を深く考える全ての女性に贈る感動のエッセイ。 新しい時代の女性像を書き続け、韓国の女性たちから愛される作家イム・キョンソン。 自身が「もっとも大切な作品(朝鮮日報 2023-05-03)」と位置付けるエッセイ『リスボン日和 十歳の娘と十歳だった私が歩くやさしいまち(原題:やさしい救い)が待望の邦訳出版! 亡き父母への様々な思いを胸に、幼少期に家族と過ごした思い出の地に娘ユンソとともに再訪することを決意したキョンソン。過去の思い出と向き合い、家族の大切さや娘との新たな絆を築いた12日間の旅路を記す。 「母さん、父さん。私、ユンソを連れてリスボンに帰ってきたよ。」 ー『リスボン日和』作中よりー 母さんと父さんが、あの時期、幸福であったということ。 不器用であったとしても、私は愛されていたということ。 そして、私もこれから私の子を思いきり愛さなければならない。ほかに何を望むことがあろう。それで充分なのである。 【目次】 Prologue リスボンへと帰る前に Day1 到着 Day2 それぞれの旅行の仕方 Day3 リスボンの色 Day4 オリーブの木と異邦人たち Day5 私たちが輝いていたころ Day6 繊細で美しいものを思う Day7 深い静けさ Day8 休息 Day9 サウダーデの時間 Day10 都市の素顔
この話は、グラフホテルが閉館する、最後の半年間に起きたことである。 日本では村上春樹研究でも知られる作家イム・キョンソンによる、ホテルを題材にした珠玉の短編集。年末の閉業を控えた名門「グラフホテル」を舞台に、5人の大人たちが、それぞれの人生の転換点・区切りを迎える出来事が描かれる。 かつての売れっ子映画監督ドゥリが、動画配信サービス向けドラマ脚本のチェックを依頼されホテルで缶詰めに。時代の流れに悩みつつも行き着いた決断とは(「一か月間のホテル暮らし」)。 相手の女性の「フランス映画みたいなことをしたい」という願いをうけ、会社を抜け出してグラフホテルで情事にふけった男だが…(「フランス小説のように」)。 グラフホテルに宿泊していた作家のトンジュが、ふとしたきっかけでドアマンの男から聞かされた純愛と逃避行の物語、その結末とは…(「夜勤」)。 ほか「ハウスキーピング」「招待されなかった人々」の5編を収録する。