著者 : ウンベルト・エーコ
「パロディーと戯れるわたしには、モラルも批評精神も皆無だ」(エーコ)。老女たちの性的魅力を綴った手記『ノニータ』、新大陸発見の実況中継、『フィネガンズ・ウェイク』続篇の書評…古今東西の文学作品、映画、取扱い説明書など、変幻自在のパロディー集。「知の巨人」による最高の遊戯的エッセイ。大幅増補「完全版」!
「あなたお名前は?」記憶喪失から自分を取り戻すことはできるのか。取り戻したとしてそれは本当に自分なのか。エーコの赤裸々な妄想と姿態が晒される衝撃の超・小説。戦中戦後のイタリア文化史を回顧するかのように図版を満載した異色の本であり、また、著者初めてといえる自伝的語りと展開は幾通りにも読み解きをうながし、読む者は謎に絡め取られる。エーコ畢生の神秘の技法、ここに大団円を迎える!
記憶は人間にとって最高の解決策というべきもので、時間は人間に対して流れ、流れた時間が過去になる。ぼくははじまりというものの驚異を堪能したー。記憶喪失のヤンボにあらゆる断片がまとわりつく…霧、霧、霧、コーヒー、あのメロディ、本、そして麗しのシビッラ!霧に隠されてしまった「流れた時間」を奪取すべく、彼は子ども時代を過ごした田舎の家の屋根裏に潜入する。驚嘆すべき女王ロアーナとの邂逅、ヤンボは帰還できるのか?
時は中世、十字軍の時代ー。神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサに気に入られて養子となった農民の子バウドリーノが語りだす数奇な生涯とは…。言語の才に恵まれ、語る嘘がことごとく真実となってしまうバウドリーノの、西洋と東洋をまたにかけた大冒険がはじまる。
今こそ聖杯グラダーレを返還するため司祭ヨハネの王国への道を切り開くのだ!-皇帝ひきいる軍勢とともにバウドリーノは、いよいよ東方への旅に乗りだすが、待ち受けていたのは思いもかけない運命だった。史実・伝説・ファンタジーを織りまぜて描きだす破天荒なピカレスク・ロマン。
イタリア統一、パリ・コミューン、ドレフュス事件…、そしてナチのホロコーストの根拠とされた史上最悪の偽書『シオン賢者の議定書』それらすべてにひとりの文書偽造家が関わっていたとしたら?世界的大ベストセラー『薔薇の名前』のウンベルト・エーコが描く憎しみと差別のメカニズム。
「追われている。殺されるかもしれない。そうだ、テンプル騎士団だ」ミラノの出版社に持ち込まれた原稿が、三人の編集者たちを中世へ、錬金術の時代へと引き寄せていく。やがてひとりが失踪する。行き着いた先はパリ、国立工芸院、「フーコーの振り子」のある博物館だ。「薔薇の名前」から8年、満を持して世界に問うエーコ畢生の大作。
中世から放たれた矢は現代を貫通し、記号の海で歴史が改編される。カバラ、薔薇十字、カタコンベ、エクトプラズム、クンダリニー蛇、賢者の石、黄道十二宮、生命の樹、カンニバリズム…「フーコーの振り子」へのパスワードは何か?20世紀最後の知の巨人、エーコがおくる、極上のワインの酔いにも似た、めくるめく文学の愉悦、陶酔。
中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ…そして何より、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある。全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書。伊・ストレーガ賞、仏・メディシス賞受賞。