著者 : エリー・ダーキンズ
生後間もなく親に捨てられ、里親宅を転々として育ったヘイリー。フラワーデザイナーとなり、結婚式の打ち合わせをしていたある日、同席していた顧客の友人からディナーに誘われた。彼こそは、ヨーロッパのアドリア王国皇太子ジオだった。今まで出会った中で最も美しい男性との夢のようなひととき。ヘイリーは彼の魅力にあらがえず、一夜を共にしてしまった。2ヵ月後、彼女はジオに会いに行くー今度は妊娠を伝えるために。だが、独りで産んで育てると言う彼女に、ジオは結婚を申しこんだ。この天涯孤独の私がお后になるですって?まさか!うれしいはずのプロポーズなのに、とまどいしか感じられず…。
マデリンは夢と希望を胸に大学へ入学したものの、教授からセクハラを受けて男性不信に陥り、中退した。ほそぼそと仕事をして暮らしていたが、ある日突然、その職も追われ、住まいも失ってしまう。路頭に迷った彼女を救ったのは、大企業CEOのフィン。男手一つで生後半年の双子の赤ちゃんを育てている彼は、次のベビーシッターが見つかるまでのあいだ、住み込みで育児の手伝いをしてほしいと言ってきたのだ。ありがたく引き受けたマデリンだったが、初日の夜にいきなり彼の寝室に通され、ひどく取り乱してしまい…。
病弱な母と車椅子暮らしの妹のため、医師になったエルスペス。あるとき上司の結婚式に列席した彼女は、浮かない顔をしていた。エルスペスの家族に理解のない冷たい婚約者と半年前に別れ、いまだつらい思いを抱えている彼女に、見知らぬ男性が声をかけてきた。フレーザーと名乗った彼も、親戚づき合いで仕方なくここにいるという。意気投合した二人はいつしか式場を離れ、めくるめく夜をともにした。けれども、婚約の破談後にもう恋愛は無理だと悟ったエルスペスは、翌朝ため息とともに彼のベッドからそっと脱け出したのだった。一瞬、人生を変えられればいいのに…と思った自分を責めながら。6週間後、彼女は妊娠検査薬を手に、バスルームに立ち尽くしていたー
あれからもう、7年がたつ。ミーナはあの夏、交通事故に遭った。頭に大怪我をし、2年ものあいだ入院してつらいリハビリに耐え、記憶を一部失ったままとはいえ、ようやく普通に暮らせるようになった。今は生まれ故郷で自然保護の仕事をしている。そんなとき、近くでリゾート開発の計画が持ちあがった。開発会社のオーナーである大富豪のガイと仕事で会うことになり、彼を前にしたとたん、ミーナの全身に雷のような衝撃が走った。そばに近づくだけで体が反応し、胸が高鳴り、手に汗がにじむ。この男性には、以前会ったことがあるような…。もしかしてこれは、失ったあの夏の記憶の一部なの?
高級デパートチェーンの社長秘書エヴァは、会議の準備中、服にコーヒーをこぼしてしまい、慌てて着替えをしていた。運悪くそこへ次期社長のジョスが現れ、彼女は恥ずかしさに息をのんだ。長年、有能な彼にときめいても、必死に恋心を抑えてきたのだ。今も平静を装いながら、エヴァが背中のファスナーを上げるのを手伝ってほしいと頼むと、ジョスは紳士らしく手を貸してくれた。だが、まさにその瞬間を目撃した彼の父である現社長が、二人の仲を誤解した様子の訳知り顔で、衝撃の事実を告げるーじつは自分は末期癌だが、これで安心して息子に会社を譲れる、と。エヴァが誤解を正そうとすると、ジョスがそれを遮るように宣言した。「彼女とは真剣な関係だ。じつは、僕たち、婚約したんだ」
リリーの家の玄関先に生後まもない赤ん坊が置き去りにされた。今は疎遠で居場所もわからない異父姉が産んだ子とわかったものの、あまりに突然のことに、リリーは呆然と立ち尽くした。改装中のこの家では、まともに育児なんてできないのに!すると偶然にもそこへ親友の兄ニックが訪ねてきて、彼女の窮状を見かねて一緒に赤ん坊を病院へ連れていってくれた。それがきっかけとなり、親友が思いがけない解決策を提案するー兄は大企業の重役で不在がちだから、彼の家で育児をすればいい、と。そんな成り行きで始まった二人と赤ん坊の同居生活だったが、なぜかニックがよそよそしくて冷たい態度をとりはじめ…。
役員秘書のレイチェルは会社主催のチャリティパーティで、招待客リストに載っていない、魅力的な男性レオに声をかけられた。何事も計画どおりに進めたいタイプのレイチェルは一瞬とまどうが、どうやら彼は欠席者に頼まれ、断れずにやってきたらしいとわかる。話をするうち、レオの人柄やユーモアに惹かれ、「君をもっと知りたい」という甘い言葉に誘われるまま、気づけば自宅で彼と熱い夜を過ごしていた。ああ、私の今夜の計画に、こんなことは含まれていなかったのに…。一夜限りの関係と割り切って翌朝には別れたふたりだったが、7週間後、妊娠検査薬を見つめ、立ちすくむレイチェルの姿があった。