著者 : カスヤナガト
大学を卒業し、就職することなく何となくラノベ作家になった久太と、マンガ家になった漆は、久太の母・涼花と3人で奇妙な“同居”生活を送っている。二人は高校からの同級生だが、恋人同士ではなく、よくある男女間の親友ともまた違った関係だった。彼らを結びつけているのは、高校生の冬に起きたある事件だったーー。筆者の処女作で泣けると評判だった『サムウェア・ノットヒア』に連なる物語だが、完全に独立した作品として、あなたに喪失と再生の物語を捧げる。
失われないものなんて、 この世界には何ひとつないーー。 美術教師・栄一郎は自身の個展にとある絵を持ち込んでいた。『ここではない何処かへ(サムウェア・ノットヒア)』というその作品は、圧倒的な存在感を放ち、見る者に痛烈に何かを問いかけてくるー。高校時代、栄一郎は幼馴染みの零子と美術同好会に入っていた。零子はいつも憑かれたように没頭して絵を描き、溢れんばかりの才能を持つが、彼女はいつも「失敗作だ」と言って…。心の奥から涙が零れる、かけがえのない喪失の物語。
北崎は苦悩していた。イラストの仕事を始めてから六年。子供の頃から好きで描いていた絵だったが、いまは日々の生活のために、クライアントの要求に応えている。血のにじむような努力の後に完成したイラストでも、勝手に配色を変えられる。カバーを描いた本がどれだけ売れても、金銭的には還元されない。ある日、不思議な女性の夢を見てから目が覚めるとーー視界から「C」、すなわち「シアン」、青と緑を含んだ色が消えていた。 イラストレーターの北崎は苦悩していた。フリーでイラストの仕事を始めてから、早六年となる。子供の頃から好きで描いていた絵だったが、いまは日々の生活のために、クライアントの要求に応えることを優先している。血のにじむような努力の後に完成させたイラストでも、勝手に配色を変えらることがある。自分がカバーを描いた本がどれだけ売れても、金銭的にはまったく還元されない。イラストレーターという職業の実態は世の中に理解されておらず、「夢の印税生活か、うらやましい」などと言われる始末だ。 ある日、仕事を終えてBARで呑んでいると、不思議な女性と出会った。その日以来たびたび夢にその女性が現れ、また同じBARで女性と出会った日、帰宅して夢を見てから目が覚めるとーー視界から「C」、すなわち「シアン」、青と緑を含んだ色が消えていた。 #0 WHITE #1 CYAN #2 MAGENTA #3 YELLOW #4 BLACK #5 COLORS
大学進学を機に上京した鈴歩は、幼い頃大好きだった祖母と疎遠なまま死に別れたことを後悔している。そんなとき「死んだ人にプレゼントを届けられる店がある」と教えられて!? 最期の贈り物ストーリー。