著者 : キャサリン・ティンリー
8歳で父親を亡くしてから、ジェーンと母は長く貧困に苦しんだが、いまは優しい伯爵夫人のメイドとして、穏やかな日々を送っている。ある日、ケンダル氏という見目麗しい殿方が屋敷を訪れた。客人にお茶を出しながら、ジェーンはつい、彼を盗み見てしまった。いかにも裕福な身なり。深みのある声。なんて魅力的なのかしら。彼は、ヨークシャーのたいへんな資産家である大叔父から、ある女性を捜し、連れてきてほしいと依頼を受けたと言う。伯爵夫人がそれは誰かときくと、ケンダル氏は困惑ぎみにこたえた。「ご存じでしょうか…ジェーン・ベイリーという名のご婦人を」わ、私?驚きのあまり、ジェーンはお盆をひっくり返してしまいー。RITA賞受賞作家の話題作『伯爵と日陰のシンデレラ』の関連作。ジェーンはケンダル氏とともに、5日かけてヨークシャーへ向かうことに。身分違いの恋を募るせつない旅の終わりに、大叔父が明かした意外な秘密とは…?
両親亡きあと、やむにやまれず着の身着のままで家を出たマリアンは職業紹介所にたどり着き、どうにか住み込みの使用人の職を得た。雇い主の名はウィリアム・アシントンー最近爵位を継いだばかりの、ハンサムで謎めいた伯爵だ。ほのかな恋心を胸に秘め、身を粉にして働くマリアン。しかし、つましくも幸せな暮らしは突然終わりを告げた。借金まみれの義兄につかまり、裕福な男と結婚するよう命じられたのだ。義兄の家に監禁され、気力を失いかけたある日、ふいに伯爵が現れた。彼はマリアンの唇を乱暴に奪い、信じがたい言葉を口にした。「あの男から愛人を買い取ったーきみは今日から僕の愛人だ」
ロンドンにある親戚の屋敷に居候しているシャーロットは、意地悪なはとことその母親に虐げられながら暮らしていた。そんなある日、一家はシャルフォード伯爵邸に招かれる。新伯爵アダム・ファントンが花嫁候補たちを一度に招待したらしい。魅惑的なアダムを目で追わないよう、シャーロットは自らを戒めた。伯爵夫人にふさわしいのは、はとこのような美人の令嬢。持参金もない地味な私は、引き立て役にすぎないのだから…。しかしアダムは信じがたい言葉を口にしたー君は最高にきれいだと。そして突然、情熱的なキスをした。貧しい娘と知りながら。シャーロットは無垢な心を差し出した。叶わぬ恋と知りながら。RITA賞受賞作品!