小説むすび | 著者 : クォン・ヨソン

著者 : クォン・ヨソン

ワタリガニの墓ワタリガニの墓

江華島で出会った素性の知れない女は、 渇きを充たすようにカニの醬油漬けを貪るーー。 クォン・ジエによる表題作のほかクォン・ヨソン「桃色のリボンの季節」、ハ・ソンナン「隣の家の女」など、季刊誌『Koreana』日本語版の掲載作品から厳選した、韓国現代文学のアンソロジー。 「この12編は特定のテーマを元に書かれたわけではないが、どこか共通したものがある。それは、食や住処、性といった暮らしの生々しい側面と、そこに亀裂を入れる妄執や思い出の存在だ。人の営みを緻密に活写することで、かえってその暗部をのぞき込んでしまうような、そんな不穏なトーンが全作に共通しているように思える」あとがきより <b>季刊誌『Koreana』とは</b> 韓国の芸術と文化を世界に広めるため、韓国国際交流財団により1987年に英語雑誌として創刊された季刊誌。翌年には日本語版、1993年には中国語版が創刊され、現在では9ヵ国語で発行されている。 旧石器時代の遺物からインスタレーション・アートまで、あるいは朝鮮王朝の宮廷文化から現代のカルチャーまで、韓国の芸術文化を幅広く扱う。日本語版には現代文学の邦訳も掲載されており、本書に収録された作品はその一部となる。 ワタリガニの墓/クォン・ジエ 隣の家の女/ハ・ソンナン マテ茶の香り/チョン・ハナ プラザホテル/キム・ミウォル 桃色のリボンの季節/クォン・ヨソン からたちの実/ユン・デニョン 旅人は道でも休まない/イ・ジェハ 鎌が吠えるとき/キム・ドッキ 塩かます/ク・ヒョソ バラの木の食器棚/イ・ヒョンス てんとう虫は天辺から飛び出す/パク・チャンスン 初恋/チョン・ギョンニン あとがき

きょうの肴なに食べよう?きょうの肴なに食べよう?

偏食だった舌を変えた腸詰、酒と最高にぴったりなギョウザ、美しい女たちがまるごとかぶりつくノリ巻き、断食明けの食欲をよみがえらせるお粥と塩辛、酔い覚ましに完璧な水冷麺、狂おしいほどに愛おしい激辛青唐辛子、自分だけの流儀で食べたい鍋焼きうどん、新米と秋大根とタチウオが織りなす虹のハーモニー、恋人と食べた幻のカムジャタン、ソウルフード的ハイガイの煮付け、無性に食べたくなるスルメの天ぷら、ぷりぷりのサバの一夜干し……。どんな食べ物でも、味の中には人と記憶が潜んでいる。 【目次】 はじめに 酒飲みたちの母国語 第一部 春・青春の味  ライラックと腸詰め/ギョウザらしいギョウザ/ノリ巻きは健気だ/プッチムゲの花をご存じですか?/塩辛とお粥のマリアージュ 第二部 夏・以熱治熱の味  夏の麺/冷汁刺身、トクベツの!/激辛青唐辛子の季節/夏場のつくりおきそうざい列伝 第三部 秋・甘くて甘い味  木枯らし吹いたら鍋焼きうどん/給食の温度/秋大根の三段ケーキ 第四部 冬・はじめての味  あのスープ、あのカムジャタン/私のソウルフードはハイガイの煮つけ/オムクひと串の思い出/家ごはんの時代 第五部 季節の変わり目  スルメの天ぷら/ぷりぷりのサバ/豆の粉の盆正月膳/負けた、ジャージャー麺に   隣の国の酒の友 訳者あとがきにかえて

韓国の小説家たち1韓国の小説家たち1

<b>いま話題の韓国人作家が語る、 「文学をすること」の喜びと苦しみについてー 作家が作家に聞く、ロングインタビュー集。</b> 「人間というのはどうしてこうも情けない生き物なのか、 それがずっと知りたかったんだと思います」 (イ・ギホ) 「文学が私たちを驚かせるのは、そういうところだと思う。 骨ばったあらすじだけで残る物語より、あらすじの外側にある人生の ディテールと感覚」 (ピョン・ヘヨン) 「もう書いてしまって完結させた小説が不意に、 自分に語りかけてくるような感じがするときがあるよ。 たいてい聞こえないふりをするけど」 (ファン・ジョンウン) 「僕は、ストーリーではなくそれを解釈したナラティブが小説だと思っています」(キム・ヨンス) 「過去の経験にばかりとらわれていましたが、それからは人間が見えてきたんです。いまを生きる普通の人たちが」(クォン・ヨソン) <b>インタビュー掲載作家</b> ・イ・ギホ『誰にでも親切な教会のお兄さん、カン・ミノ』『原州通信』『舎弟たちの世界史』 ・ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』『ホール』『モンスーン』 ・ファン・ジョンウン『誰でもない』『野蛮なアリスさん』『ディディの傘』 ・キム・ヨンス『世界の果て、彼女』『ワンダーボーイ』『夜は歌う』 ・クォン・ヨソン『春の宵』 ................................................................................. 「クオン インタビューシリーズ」は、さまざまな芸術の表現者とその作品について、広く深く聞き出した密度の高い対話録です。 ................................................................................. 違う存在の声 イ・ギホ/ノ・スンヨン/清水知佐子訳 ドライフラワー ピョン・ヘヨン/チョン・ヨンジュン/きむ ふな訳 落胆する人間 奮闘する作家 ファン・ジョンウン/チョン・ヨンジュン/斎藤真理子訳 キム・ヨンスというパズル キム・ヨンス/ノ・スンヨン/呉永雅訳 うれしい方を向いて クォン・ヨソン/ノ・スンヨン/橋本智保訳

春の宵春の宵

それは春の宵のようにはかなくかなしい 苦悩や悲しみが癒されるわけでもないのに 酒を飲まずにいられない人々。 切ないまでの愛と絶望を綴る七つの短編。 酩酊の先に見えてくるのは、ミルク色の濃霧のなかで浮かび上がってくる、あのときの、あの人との記憶。ここに描かれているのは、思い出したくはない、けれど、思い出す必要がある、それを抱えながら生きていなかければならない「私」の生の痕跡。 ーー窪美澄 (第2回出版社合同韓国文学フェアPOPより) 生まれてまもない子どもを別れた夫の家族に奪われ、生きる希望を失った主人公ヨンギョンが、しだいにアルコールに依存し、自らを破滅に追い込む「春の宵」。別れた恋人の姉と酒を飲みながら、彼のその後を知ることになる「カメラ」。アルコール依存症の新人作家と、視力を失いつつある元翻訳家が出会う「逆光」、十四年ぶりに高校時代の友人三人が再会し、酒を飲み、取り返しのつかない傷を負うことになる「一足のうわばき」など、韓国文学の今に迫る七つの短編を収録。初邦訳。 春の宵 三人旅行 おば(イモ) カメラ 逆光 一足のうわばき 層

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