著者 : シャーロット・マクラウド
地元紙の記者クロンカイトは、104歳の女性ヒルダへの取材で農場を訪れたあと、近くにあるというルーン石碑を見にいくが、途中で作男の死亡事故に遭遇してしまう。農場周辺ではその後も“事故”が続き、ヴァイキングの呪いが原因かとうわさがたつなか、シャンディ教授は右往左往しつつもやじ馬撃退と事件解決をめざす。温かなユーモア満載の、心から楽しめる傑作ミステリ。シャンディ教授シリーズ第3作。
海外出張中の夫マックスの留守を預かるセーラのもとに、夫妻にとって因縁浅からぬ「御殿」ことウィルキンズ美術館にて、またもや変死事件が起きたとの報が入る。犠牲者は知人の画家ドロレスだった。その翌日、セーラは事務所にひとりでいたところを襲撃され、さらには警察で自分が彼女の遺言執行人に指名されていたことを知る。美術館一筋だったドロレスを死に至らしめた事情とは?
「蠅がいない。蠅抜きでどうして、中世のギルドが運営できるんだ。」セーラとマックスの旧友リディアが、目下職を得ている美術品修復業者、その名も“復活の人”。これが実に怪しい男で、職人たちに珍妙なルネサンス画家の格好をさせるかと思えば、仕事に際しては極端な秘密主義を敢行。おまけに彼の周囲では、過去何人もの人間が謎めいた死を遂げているらしい。折りしも彼らが甦らせた品々が相次いで盗まれ、殺人事件までが発生してしまう。陰には常に、赤いジョギング・スーツ姿の人影が…。骨折リハビリ中のマックスも奮闘する好調第十弾。
妻のヘレンがひらいた女ばかりのパーティを逃れて、シャンディ授業はメイン州の海岸地帯にやってきた。目当ては名高き巨大ルピナスの観察。この世のものとも思えぬ咲きっぷりに仰天するシャンディだったが、二日めの夜、宿屋の食堂で思いがげない事件が突発する。えらそうに最後のチキン・ポット・パイをかきこんでいた男が青酸カリで毒殺されてしまったのだ。
「ドルフから聞いてないんですね。施設の拡張計画のこと」セーラの従兄夫婦が創設した高齢市民リサイクル・センターに、下宿屋を付設し、困っているお年寄りに提供しようという企画が持ち上がった。ところがその折も折、センターの会員が殺され、所持していた紙袋からヘロインが見つかるという事件が発生する。一族挙げての探偵騒動が始まる中、セーラは出産寸前。好評第七弾。
心優しい筆致がうれしいミステリ界の人気者シャーロット・マクラウド、本書はそんな彼女が人生の哀歓をさりげなく謳った、軽妙多彩な短編集。セーラさえ知らないマックスの本業の実態とは…?爆笑編「帰り途」、マッドな科学者によるタイムマシン発明譚「時間誘拐」、哀しくも美しい不義の恋を描く「パタレイ夫人の恋人」など、いつでもどこでも楽しめる物語の玉手箱をどうぞ。
「醜い顔に奇抜な服装、年は殆ど六十七…」幸せな気分で唄いながら、セーラはペンキを塗りたくっていった。恒例プレザンス海賊団によるギルバート&サリヴァンの公演を前に、今年は珍事が続出。急遽、伯母から大道具画家に命じられたのだが、その作業の楽しいこと。けれど、高価な絵の紛失を契機に、身代金の要求、殺人事件の発生と、不測の事態が相つぎ…。ユーモア第六弾。
「そんなばかな!」ストット教授がうめいた。今宵は吉例フクロウ数えの夜。シャンディ教授は仲間と楽しくすごしていたのだが、その目前を突如謎のシロフクロウが横切った。ふわり、ふわり。あとを追う一行を出迎えたのはロケット花火の一斉射撃。おまけに、そのどさくさにまぎれてメンバーの一人が刺し殺されてしまったから、さあ大変…。謎とユーモアが一杯のシリーズ最新作。
聖なる夜に人はみな、心静かに己れの罪を悔い改めーというわけにいかないのが世のならい。大学構内で出回った贋札造りの犯人探しに奔走するシャンディ教授。いきのいい女探偵のオフィスにころがりこむ死体。クリスマス劇の天使が射殺される一方で、二人の娘とその貧乏亭主に遺産めあてに殺されてしまうと疑心暗鬼の父親。ましてや妻殺しを計画する夫にいたっては…。はらはらさせたり、泣かせたり、一転絶妙のコンゲーム。趣向をこらした書き下ろしのクリスマスミステリーが13編。
「マックス!鱈を失くしちまった!」ジェム伯父がわめいた。由緒正しい〈大鎖〉を着け、新会長として浮かれ鱈同志の会に臨んだというのに、席上、その鎖が忽然と姿を消してしまったのだという。かくして、セーラとマックスは新婚早々真相究明に駆り出される羽目となったが、ことはまだ序の口、捜査のためもぐりこんだクリスマス・パーティでさらなる事件が…。好評第五弾。
息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラはアイアソン埠頭の家を訪れた。だが、例によって事はうまく運ばない。高価な骨董品、ビルバオ鏡が留守宅に置き去りにされていたのを皮切りに、遂には殺人事件までが大発生。しかも、あろうことか第一容疑者と目されたのは…。北部の自然を背景に展開するシリーズ第4弾。
オオブタクサなる寄っ怪な有害植物が現われたと聞き、シャンディ教授は英国を訪れた。ところがところが、ブリーフィングと称する退屈な講演の毒気にあてられたか、調査に乗りだしたとたん、いきなり中世ウェールズにタイムスリップしてしまう。起こるはグリフィン失踪、王家の後継争い、挙句のはてには殺人事件!シャンディたちの奮闘ぶりやいかに?とびっきり異色の第5弾。
「眠そうですね、ケリングさん?」ビターソーンがこちらを見て微笑んだ。マダムの御殿と呼ばれる風変われな美術館、そこで開かれる演奏会へとやってきたのだが、暖かい4月の午後、自然に心も緩んでしまう。けれど微笑み返したその瞬間、眼の前を何か黒いものがよぎった。孔雀と警備員が同時に悲鳴を上げる。今のは…人間?セーラはまたもや事件の渦中にあった。シリーズ第3弾。
秋風だつバラクラヴァ。早朝から床みがきをしていたローマックス夫人は、猫のエドモンドがくわえてきたものを見て仰天した。アングレー教授ーのかつら!こんなこと教授に知れたら大変だわ。けれどもその心配は無用のものだった。すでにこの時、当人は博物館の裏で冷たくなっていたのだから…。シャンディ教授の名推理が光るシリーズ第四弾。
「冗談じゃない、そんなことさせられんよ」セーラはため息をついた。生活のため自宅を下宿に改造する気になったのだが、何を提案しようが一族が盛大にもめることぐらい予期しているべきだった。でも諦めるわけにはいかない。自ら人生を切り開かなくては、やがて苦労は実った。だが喜びも束の間、今度はテナントの一人が殺され…。好評の第2弾。
ど、どうしてそうなるんだ。シャンディ教授はうめいた。ホースフォール農場で起こった怪しげな事故死。他殺の線を考えていたら、近所にある冴えない石碑が正真正銘ヴァイキングの遺跡らしいと知れたとたん、事件もその呪イのせいにされてしまったのだ。悪夢のように押しよせる野次馬の群れのなか、果して捜査は行えるのか?好評ユーモア第三弾。