小説むすび | 著者 : シルヴィア・アンドルー

著者 : シルヴィア・アンドルー

ふたりのアンと秘密の恋ふたりのアンと秘密の恋

記憶喪失の娘と貴公子の恋は、 春の花咲く日だまりの庭でーー。 「きみの名は?」名門貴族ジェームズ・オルドハーストに尋ねられ、 ベッドに寝かされた娘は必死で答えた。「わたしは、アン……」 嵐の夜、ずぶ濡れで行き倒れになっていたところを彼に拾われたが、 彼女は名前以外のいっさいの記憶を失っていた。 心身ともに弱り果て、不安ばかりが募るなか、 何くれとなく世話をしてくれる優しくてたくましいジェームズに、 アンはいつしか特別な想いを寄せていた。 彼は誰もが結婚したいと憧れる、社交界随一の魅力的な貴公子。 出自不明のわたしなんかと関わったら、彼の名誉に傷がついてしまう! 密かに身を引く決意を固め、アンは屋敷からひっそりと姿を消した……。 ジェームズのために身を引いたアンは、本能的に親族の屋敷にたどり着いた翌朝、記憶を取り戻します。しかし今度は、ジェームズと過ごした1週間の記憶が抜け落ちているのでした。名士の令嬢として脚光を浴びるアンは、社交界でジェームズと運命の再会を……。

セラフィーナセラフィーナ

男爵が求めるのは、お飾りの妻。 人形のようなつまらない花嫁……。 “利口すぎず、慎ましやかで、口答えしない、家柄のいい美人。 そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい” 祖母に結婚をせっつかれている男爵チャールズは、 まだ独身を謳歌したくて、無理難題と言える結婚の条件を出していた。 ところが驚いたことに、そんな娘がいたのだ。 祖母の知人の紹介で引き合わされた彼女の名は、セラフィーナ。 面白みがなく従順そうで、天使のように愛らしいだけの彼女となら、 結婚後も自由にやれそうだ。高慢にもそう考えた彼はまだ知らなかった。 自分の目に映っているしおらしいセラフィーナが、 愛する家族を苦境から救うための、一世一代の名演技をしているとは! 本当は聡明で快活なセラフィーナは、大人しい仮の姿で高慢な花婿候補の希望に沿おうとしますが、男爵が恋に落ちたのは、彼女の妹“サリー”でした。じつのところサリーの正体は、元気な真の姿でふるまうセラフィーナなのですが、彼はそれに気づかなくて……。

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