著者 : ジェイン・ドネリー
21歳のシャーロットは幼いころに母を亡くし、宝石店を営む父とふたり、仲よく暮らしてきた。だがある日、めずらしく父と激しく口論してしまい、気持ちが高ぶるあまり彼女は愛馬に乗って家を飛び出し、すんでのところで高級車と衝突しそうになった。車を運転していた漆黒の瞳の男性から頭ごなしに叱りつけられ、心に衝撃を受けるとともに、相手への反感がわいた。その晩、彼女は父の命に従い、ホステス役としてディナーの席につくが、現れた招待客を見て愕然としたー客は例の高級車の男性だったうえに、経営難に陥った父の宝石店を買収した大富豪ソールだとわかったのだ!
父が莫大な借金を抱えたまま他界し、ドーラは16歳で全財産を失った。兄と力を合わせ懸命に生きてきた10年後のある日、彼女のもとに思いがけない知らせが届いた。父亡きあと人手に渡った屋敷がふたたび売りに出され、ドーラ兄妹の幼友達で実業家のコールが買い取ったという。かつて貧しい職人の子だった彼は、行方不れずの10年のあいだに持ち前の才覚で事業を成功させ大富豪になっていたのだ。昔から反目し合う仲の彼に思い出の屋敷を奪われるなんて…。さらにコールは、ドーラの兄の店に資金援助を約束する一方で、彼女に尊大に命じたー屋敷でハウスキーパー兼秘書として働け、と。
5年前、身寄りのないテッサは初恋の人ポールに振られた。彼は無神経にもテッサの書いた熱烈な恋文を友人に回覧し、町中の笑いものにされた彼女は故郷を飛び出したのだった。今テッサはロンドンで職業女性としての一歩を踏み出している。能力、体格、容貌すべてにずば抜けた上司のオームに認められ、彼のチームの一員として働けることに生き甲斐を感じていた。ところがある日、次の仕事の出張先が故郷の町だと聞いて、テッサは激しく動揺する。もしもポールに再会したら…あんな仕打ちを受けたのに、また惹かれてしまったらどうしよう。沈んだ彼女の様子に気づいたオームは、思いがけない提案をする。