著者 : ジェシカ・スティール
弟が危篤状態だからイタリアへ来てほしい……。 レインのもとに、イタリアの銀行頭取ザーレから電話があった。 どうやらレインを弟の恋人と勘違いしているらしい。 お金がないことを理由に断ると、今度はザーレ本人が現れ、 レインをさらうようにして、イタリアへ連れ去ったのだ。 だが、屋敷に彼の弟の姿は見当たらない。不審に思う彼女を見て、 ザーレは完璧な美貌に黒い瞳を煌めかせながら、言い放った。 「残念だが、まだ弟は君と戯れるまで回復してないんだ」 そして、あっという間に唇は彼のものになっていた。
客室乗務員のティファニー・ニコルズは恋人と別れたばかり。 結婚まで考えていたのに、彼が求めていたのは体だけだったのだ。 しかし、つねに彼女の幸せを願っているおばとの電話で、 恋人と別れたとはどうしても言いだせず、 つい、近々結婚することになった、と口走ってしまう。 おばは大喜びし、相手の名前をしつこく訊いてきた。 さっき叱られた、有能だが厳しいパイロットが頭に浮かぶ。 ティファニーは思わず言った。「ベン・マックスウェル機長よ」 数日後、はからずもそのことが機長本人の耳に入ってしまい……。
結婚なんて絶対にしないと、チェズニーは心に誓っていた。 両親や姉たちの悲惨な結婚生活を目の当たりにしていれば、 それも当然というものだろう。仕事に生きがいを求めようと決め、 チェズニーは個人秘書の職に応募して首尾よく採用された。 上司は、大企業の取締役であるジョエル・デヴェンポート。 金髪で青い瞳の彼に、チェズニーはたちまち魅せられてしまう。 でも、有能な秘書が上司に恋するなんてもってのほか。 つのる思いを秘めて仕事をこなしていたある日、 チェズニーはジョエルの突然の言葉に呆然とする。 「2年間の期限付きで結婚してほしい」 〈身分違いの恋〉と銘打ちお贈りする企画第1弾は、ジェシカ・スティールが描く大人気のボスと秘書の恋物語。魅惑のボスの名ばかりの妻になった秘書の、切ない片想いははたして実るのでしょうか?
ジョージーナが秘書として勤める会社が世界的大企業に買収された。 ハンサムな社長のタリスにじきじきに呼び出されたジョージーナは、 いきなり友人の男性と別れるよう申し渡され、驚いた。 さっぱりわけがわからないジョージーナに、タリスが告げる。 新しい重役が君をくびにしろと息巻いている、 君がつき合っている男は彼の娘の夫だそうじゃないか、と。 とんでもない誤解だわ。私はただの友達よ、愛人なんかじゃない! だが、タリスは彼女の説明に耳も貸さず、厳しい声で命じた。 「君には、しばらくのあいだ僕の目が届くところで仕事をしてもらう」 私がこんな傲慢な人の秘書に? だが、やがて彼の優しさに惹かれて……。 〈ゴージャスな恋人〉と銘打ちお贈りする企画第2弾は、ハーレクイン・イマージュの人気作家ジェシカ・スティールの大ヒット作。永遠の人気テーマ、ボスと秘書の恋を描きます。
ベルヴィアは、双子の内気な姉をいつも守ってきた。ある日、会社経営に行きづまっていた父親が、融資目当てで、イギリス屈指の実業家レイサム・タヴェナーを家に招待した。如才なく、世慣れた感じのレイサムは、大人しい姉のほうに関心を持ったらしくて、何かにつけて気を引こうとする。断れない姉をかばうベルヴィアは、彼の興味を引きつけるため遊び慣れているふりをした。すると、真に受けたレイサムは奔放な娘だと思いこみ、辛辣な態度で接してきたあげく、“浮気女”と嘲りながら、ベルヴィアにキスをしてきて…。
財産目当てで、年の離れた大富豪の後妻となったいとこのために、ケンドラはギリシアを訪れていた。アテネ空港で出迎えたのは、ハンサムだが傲慢なデーモン。大富豪の親戚筋にあたる、彼自身も億万長者の会社経営者だ。ケンドラは彼のことが気になるのに、いとこと同類と決めつけて、皮肉っぽい目つきでじろじろと見つめてくる。ある日、大富豪の息子と出かけたケンドラは、車の燃料切れで帰宅が深夜になってしまう。するとデーモンはここぞとばかりに、「君は金持ちなら誰でもいいのか」と辛辣な言葉を放った。
家政婦のマロンは土砂降りの雨の中を一人で歩いていた。雇い主から暴力を振るわれそうになり、逃げだしてきたのだ。恐ろしさと寒さに震えるマロンの前に、一台の高級車がとまった。ハリスと名乗る男性は彼女を車に乗せると、親切にも屋敷に招き、ここで住みこみの管理人として働いてみてはどうかと声をかけた。会社の経営者だそうだが、以前の雇い主と違ってよい人のようだ。だが働きだしてすぐに、思いがけない事件が起きた。階段の踊り場でつまずいたマロンはハリスと折り重なって倒れ、あろうことか唇を重ね合わせてしまったのだ。皮肉にもマロンはそのとき悟ったー彼に惹かれ始めていることを。
「手切れ金は払う。だから父とは別れてくれ」社長の御曹司ライルから蔑むような目で見られ、そう一方的に告げられて、ケルサは思わず彼の頬を叩いていた。私を社長の愛人だと決めつけるなんて、酷いわ!だがじつはケルサ自身、なぜ入社早々に気に入られ、社長秘書に抜擢されたのか不可解に思ってもいたのだ。ほどなくして社長が亡くなり、遺産の半分をケルサに遺したことがわかると、ライルの疑念はますます深まったようだった。今度は私を金目当ての女だと罵倒するのかしら?意外にも彼は切なげな表情で、驚くべき真相を口にした。