著者 : ジェニファー・テイラー
自分が住む田舎町に医師のベンが現れて、看護師のエミリーは驚いた。3年前の夏、わたしはベンに熱烈な恋をして、赤ちゃんを授かった。なのに、パリに住む彼に伝えに行くと、嘘をつくなと追い返され、ただの都合のいい遊び相手だったのだと思い知らされた。ところが、再会したベンはエミリーの子を見るなり、顔色を変えた。なんという運命のいたずらか、息子はベンにそっくりだったから。エミリーは、わが子ともども拒絶されたことを忘れてはいなかった。だが、ベンが過去に癌を患い、子どもは持てないと宣告されたと聞き、もう一度彼に愛されたいと願うようになる。たとえベンが、エミリーのいない人生を望んでいても。
この愛をつらぬけば、傷つくのはわかってる。 だから、本当の気持ちは言わないーー 看護師のアナは癌を患った姉のため、代理母になることにした。 ところが体外受精で妊娠したのもつかの間、姉は帰らぬ人となる。 すると姉の夫は子どもはいらないと言いだし、愛人のもとへ走った。 姉の形見の子を喪うことに耐えられず、産む決心をしたアナは、 妊娠を隠したまま短期の仕事を見つけて、診療所で働き始める。 同僚のベン・コールは優秀な医師で、とても魅力的なうえに、 いつも何かと気にかけてくれて、孤独なアナの心は揺れ動いた。 そしてついにキスーーそれは心ときめく、情熱的な口づけだった。 でも、この恋はあきらめなければ……。 訳ありの子を産む私は、彼の重荷にしかならないのだから。 2017年に惜しまれつつ亡くなった人気作家のジェニファー・テイラー。読み手の心を揺さぶる感動のロマンスは、永遠に不滅です。周りの人々のため懸命に生きる本作のヒロインは、その優しさゆえに孤独で、手に入りそうになった愛すら逃してしまうのですが……。
ずっと温かな家族がほしかった。 でも、彼は愛に背を向けていて……。 結婚式の前日、助産師のポリーは婚約者から一方的に別れを告げられた。 花嫁になるはずだった翌朝、車の接触事故を目撃した彼女は、 その一方が自分が担当する、過去に流産の経験がある妊婦だと気づく。 しかし、そこに居合わせた高名な小児外科医エリオットは、 ポリーの経験も知識も信用せず、彼女に冷淡な態度をとり続けた。 二人で協力して妊婦を病院に運んだあと、あらためて自分に起こった 大事件を思い出し、ポリーが青ざめた顔で歩き出したときだった。 呼びとめる声がして振り返ると、先ほど会ったばかりのエリオットがいる。 「きみは悩みごとがあるようだな。ぼくに話してみないか?」 その声に、彼女は不思議と慰められ、心の傷も少し癒えた気がした……。 今作はJ・テイラーの遺作『遠回りのラブレター』に登場する、ポリーがヒロインの物語です。困っている人を放っておけない彼女は人生最悪の日に、仕事と車椅子の息子がすべてというヒーローに出会います。彼の凍った心を、優しいポリーは溶かせるでしょうか?
あなたは我が子のために帰ってきた。 わたしを愛していたからではなく……。 ベスとカラムは平凡ながらも幸せな夫婦……のはずだった。 けれど彼女にはなかなか赤ん坊ができず、不妊治療も失敗が続いた。 そんな妻に愛想を尽かしたように、カラムは離婚を切り出し、 仕事と言って遠い異国へ旅立ってしまう。 ところがその後、ベスは自分が妊娠していることに気づいた。 やっと苦労が報われた。これでカラムとわたしは親になれる……。 だが喜びは続かず、ベスが書いた手紙に彼からの返事はなかった。 捨てられた失意の中、彼女は待ち望んだ赤ん坊を出産して育て始める。 だから1年後、突然カラムが戻ってきても、ベスの気持ちは複雑だった。 心は親子で拒絶された悲しみと、今もつのる彼への愛に引き裂かれていた。 2017年、惜しくもこの世を去った名作家J・テイラー。今作は彼女が闘病中に執筆した一作です。元夫婦のあいだに生まれた、未来の象徴である小さな女の子に、作家がどんな思いを託していたか……。愛と命を紡ぐ温かな涙流れる物語を、どうぞお読みのがしなく!
あの日、彼は私とお腹の子を捨て、 私は彼への恋心を、捨てた……。 エイミーはギリシアの島に、幼いわが子を連れてきた。 恋人だった外科医ニコに子どもは欲しくないと言われ、 別れて独りで産んで、看護師を続けながら育ててきただいじな息子だ。 流産したと思っているニコは、その存在さえ知らない。 これは、父親の顔も知らない子と学校でいじめられた息子に、 パパはギリシアの人だと話し、その地でルーツを感じてもらう旅だった。 まさか、そこでニコ本人と、偶然の再会を果たすとは思いもせずに。 幼い心はただでさえ傷ついているのに、もしもまた拒絶されたら……。 息子を守りたい一心で事実をひた隠しにするエイミーだったが、 皮肉にも、9年ぶりに会うニコとわが子は、あまりにも生き写しでーー 2017年、惜しくもこの世を去った名作家による、涙あふれる感動作をお贈りいたします。別れる前、ニコに知らせた流産は双子のうちの一人だけで、もう片方の胎児はお腹の中で無事に生きていたーーそんな奇跡が生んだ、シークレットベビー&運命の再会の物語!