著者 : ジェームズ・ハーバート
夜の闇が忍び寄って来る。廃てられた大きな館に続く荒れた道を、冷たい夜風が吹き抜けて行った。館は人気もなく、すっかり荒れ、深い闇が中をおおっていた。闇の中を老婆がひとり、物悲しい子守り歌を静かに口ずさみながら歩いていく。今は亡き子供たちに、ずっと昔歌ってきかせた歌ー悲しく美しいJ・ハーバートの怪奇スリラーの傑作。
イギリスの地方新聞に勤めるフェンは、ある晩、少女が教会の墓地に入って行くのを目撃する。不審に思ったが彼が後を追っうと、少女は大きな樫の木の下へ行き、一言つぶやいて意識を失った。だが、その少女アリスは実は聾唖者だったのだ。翌日の新聞で報じられたこの事件は大きな反響を呼び、奇跡を見ようと人々が押し寄せた。彼らの目の前でアリスは不治の病人を癒し、自分は聖母マリアの幻影を見たと告げる。果たして聖母が彼女の体に降臨し、この奇跡を起こしたのか?
少女アリスの噂を聞きつけて、不治の病に脳む人々が続々と詰めかけた。宗教界も、この地を聖地とすべく動きだし、平和な教会は、一転混乱の渦中に。その騒ぎの中、アリスの周囲の人間が次々と怪死をとげ、アリスの身にも奇怪な出来事が起き始める。彼女の体に宿ったのは、聖母の霊なのか?それとも…。事件を追うフェンは、やがて怖るべき事実を知る!ベストセラー作家が、可憐な少女の身に起きた奇跡を軸に、そこに群がる人間たちの欲と野望を描くホラー大作。
ウイロー・ロードにあるその一軒家は、長い間空き家のままだった。噂では、そこには、“異様な雰囲気”がたちこめているという。心霊研究家ビショップは不動産業者の依頼により、問題の幽霊屋敷の調査にのりだした。だが意外にも、彼はその家で現実の地獄絵図ー三十七人もの男女が繰り広げる集団自殺を目撃することになった!その忌わしい事件から九カ月後、ウイロー・ロードで次々と不可思議な殺人が起き始めた。ビショップは、再び事件の調査を依頼されるが…。
超心理学者プリシュラクは、悪それ自体のエネルギーを無意識の中から引き出す力を発見した。その彼が秘密結社を組織して、ウイロー・ロードの“幽霊屋敷”で集団自殺をしたのは九カ月前のこと。以来、夜ごとウイロー・ロードでは大惨事が相次いだ。悪の力は疫病のように蔓延し、犠牲者の心に潜む暗黒面を糧として成長するのだ。今や膨大なエネルギーを蓄えた“悪”は屍の山を築きながら、一路ロンドンへと進軍し始めた…。ノンストップ・ホラーの決定打、遂に登場。
突然それは襲ってきた。海水浴中の教師チャイルズは、一瞬のうちに血の臭いに包まれ、恐ろしい光景を目にした。それが発端だった。その日から、予期せぬ時に幻影が見えるようになったのだ。それも、吐き気をもよおすような連続殺人の現場ばかりだ。まるで犯人と同化し、犯人の目を通して見ているように…。やがて狂気の殺人鬼は彼の存在を察知し、彼が勤める女子校に魔を手をのばしてきた。自ら望まぬ超能力を持った男の悲劇を描く、ベストセラー作家の代表作。
世界のテロ組織に武器を供給しているといわれる武器商人ギャントは、ナチス再興を企てる極右組織の領袖でもあった。彼の身辺を探るべく派遣されたイスラエルの諜報員は謎の失踪をとげていた…。諜報員の行方を追うよう依頼された私立探偵ステッドマンはギャントの組織に迫る。彼が探り当てたのは、ナチス再興計画のカギとなる、奇怪な古代遺物の存在だった。キリストの体を貫いたと伝えられる、聖なる槍の秘密とはー国際謀略とオカルトを鮮やかに給合させた傑作。
数ある物件の中から、このコテージを選んだのはミッジだった。彼女の同棲相手マイクには、それがどうにも腑に落ちなかった。なぜ、このコテージでなければないけないのだ?彼女はこの家と何かつながりがあるのか?だが、実際に住みだすと、その家はマイクの懸念に反し、ミッジの想像どおり快適で暮らしやすかった。いや、それどころか、そこへ引っ越して以来、2人にはすばらしいことばかり起こり始めたのだ!まるでその家には魔力があるかのようだった…。
ものごとには必ず裏があるもので、当初よいことずくめだったコテージでの生活もしだいに奇怪な様相を呈し始めた。ミッジの描いた絵が動き、壁が迫る。しかし、そんなことは序の口で、天井裏に巣くうコウモリの大群にいたっては、まさに悪夢そのものといった有様。しかも、コテージに異様な関心を寄せる新興宗教団体にミッジが魅せられるや、恐るべき出来事が…!英国でスティーヴン・キングを上回る人気のハーバートが、牧歌的なタッチで描くベストセラー作品。