著者 : ジョゼフ・ハンセン
ある朝、ふと目にとまった〈俳優、死亡〉の記事-。俳優エリック・タールは、幼い僕を捨てて去っていった父だった…。死の謎を追ってさすらう少年アランが出会う、かつて父を愛した、そして父が愛した男たち。父の航跡をたどるうち、少年はいつしか悲しい愛のかけらを手にしていた…。
調査の仕事から引退したデイヴ・ブランドステッターのもとに古い友人から電話が掛かってきた。海岸で見つけた迷子の少年が、どうやら殺人の現場を目撃しているらしい、というのだ。少年の住む集合住宅をつきとめたデイヴは、そこでようやく事件の詳しい内容を知った。殺されたのは刑務所を出所したばかりの男で、少年とおなじ集合住宅にいる昔の恋人を訪問したところ、彼女に撃たれたのだ。その恋人は逃走中で、目撃者は少年しかいなかった。ホモセクシュアルの調査員の活躍を描いてミステリ界に新風を吹きこんだ異色シリーズの掉尾を飾る話題作。
迷彩服に身をつつみ、偽物の拳銃を手にして森林のなかで実戦さながらの戦闘をくりひろげる戦争ゲーム。その最中に、ひとりの若者が実弾をうけて死亡した。ちかくの山で鹿狩りをしていたハンターの流れ弾が命中したのか?調査員を引退したブランドステッターは、恋人のセシルから事故の件を知らされた。それによると、死亡したのはセシルの勤め先のテレビ局にいたヴォーンという若者で、人種差別主義者であったという。当然、敵も多く、そのうちのひとりに殺されたということも大いに考えられた。しかも、ブランドステッターが調査を開始してみると、ヴォーンと同棲していた女性が、事故の直後に自分の幼い息子をつれてどこかへ姿を消していることが判明した。彼女はなぜ逃げるように去ったのか?そして、どこへ?アメリカ社会にはびこる人種差別の実態を、ホモセクシュアルの調査員ブランドステッターが鋭く抉る問題作!
ヴェトナムから移住して成功をおさめた実業家レは、深夜ひとりで自分の所有するマリーナに出向いた。立ち退きを拒否するマリーナの船上生活者のひとりから呼び出されたのである。だが、桟橋で彼を出迎えたのは、一発の銃弾だった。レ殺害の容疑は、レを呼び出したヴェトナム戦争の退役軍人にかけられた。だが、本人は犯行を頑強に否認しつづけていた。容疑者の公選弁護人からの依頼で調査をひきうけたブラントステッターは、事件の起きた晩に東洋人二人組がマリーナから逃げていくのを目撃した人物を見つけ出した。その目撃者の話によると、しばらくまえにヴェトナム料理店で四人のヴェトナム人を射殺したのも、それとおなじ二人組だったという。はたしてふたつの事件に関連はあるのか?東洋人二人組とはいったい何者なのか?ヴェトナム人社会の複雑に絡みあった絆に秘められた謎にブランドステッターが挑む、待望のシリーズ最新作。
エイズに感染したホモセクシュアルの男たちが、次々と何者かに刺殺される-刺殺死体が保険調査員ディヴ・ブランドステッターの自宅で見つかったドリュー・ドッジも、そのショッキングな連続殺人事件の犠姓者の一人と思われた。だが、ドッジの死体の傍になぜか自分の名刺が置かてれいたことが気になったデイヴは、調査を開始した。ドッジは、その陽気であけっぴろげな人柄ゆえか、出資者に恵まれ、土地開発事業団を主宰していた。だが、病に倒れてからは資金繰りに苦労し、また、何者かの影に怯えていたという。ドッジ殺しは、連続殺人の一環なのか、それとも、彼の事業が絡んだ単独の事件なのか?デイヴは他の刺殺事件にも調査の手を伸ばし始めたが、次に狙われたのはデイヴ本人だった…!
原稿もなければメモの類もない。資料もまったく見当たらない。-政情不安定な中米の小国ロス・イノセンテスをネタに特種をものにできそうだと興奮していた著名なジャーナリストが突然自殺を遂げたのも奇妙だったが、その部屋も異様だった。死んだアダム・ストリーターと契約をしていたバナー保険会社に依頼され、ブランドステッターは故人の周囲を調べ始めた。やがて、アダムの助手が何者かに射殺され、彼に協力していたパイロットが謎めいた墜落死を遂げるに及び、事件は底知れぬ深さを見せ始めた。ハードボイルド界に独自の地歩を占める著者が、緊迫する中米情勢を背景に、ブランドステッターの命がけの調査行を描く第8弾。
働き者の平凡なトラック運転手と思われていたポール・マイヤーズは、深夜誰に頼まれ、何を運んでいたのか?運転中、崖から転落死したと思われたポールが、何者かの仕掛けた爆発物で命を絶たれたと知ったピナクル保険は調査員デイヴ・ブランドステッターに事件の背景を探るよう依頼した。彼はまず、保険金を請求した未亡人アンジェラに話を聞きに出かけた。彼女は、夫の仕事については何も知らないという。が、そういう彼女の顔は何者かに殴られ、怯えた様子だった。ポール殺しの容疑者はあがってはいた。シレンシオ・ルイス-チンピラグループのもとリーダー格で、ポールの証言により強盗の罪が確定し、保釈になったばかりの男だ。彼の意趣返しかもしれないが、その行方は杳として知れなかった。そのうち、妙な事実があきらかになった。ポールに仕事を紹介した運転手オシーも、やはり変死を遂げていたのだ。しかも、オシーの死亡診断書を書いた人物は偽医者らしい。その上、オシーの妻子も何者かに怯えて逃げ出していた。事件関係者を脅かす謎の人物とは何者なのか?そして、真夜中のトラック便に絡む怪事件の意外きわまる真相とは?