著者 : ジョージ・ソーンダーズ
岸本佐知子さん推薦! 「ソーンダーズ先生の導きで、わたしたちは小説が徹底的に解剖されるさまを目撃する。もう元の読み方にはもどれない。」 ブッカー賞受賞、『短くて恐ろしいフィルの時代』の著者による、大注目・全米ベストセラーの「小説入門」!! 現代アメリカ文学を代表する作家ジョージ・ソーンダーズが、ロシア文学の巨人たちと寄り添い、悩み、格闘する。 チェーホフ、ツルゲーネフ、トルストイ、ゴーゴリ── 珠玉の短編小説7本を通じて、物語の読み方と書き方、そして人生の意味に迫る、刺激に満ちた楽しい創作講座。 シラキュース大学の創作講座を20 年にわたって担当し、小説家志望の若き学生たちに小説の書き方と読み方を教えてきた小説家ジョージ・ソーンダーズ。 ソーンダーズの名物授業を再現した本書では、ロシア文学の巨匠による7本の短編を読み解き、読者に頁を繰らせるためにいかなる技法やテクニックが駆使されているのかを解説する。 現代アメリカの短編小説の名手が、ユーモアたっぷりでいざなう、ロシア文学のそぞろ歩き。 私たちはなぜ読み、書き、生きるのか──その答えを探る、時空を超えた軽やかな小説の旅へ。 ◎現役ブッカー賞作家による人気の創作講座を再現! ◎題材となるロシアの巨匠4人による7本の短編小説を、原文から新訳で全文収録!! <本書で読める、珠玉のロシア短編小説たち> アントン・チェーホフ(1860-1904)「荷馬車で」「かわいいひと」「すぐり」 レフ・トルストイ(1828-1910)「主人と下男」「壺のアリョーシャ」 イヴァン・ツルゲーネフ(1818-1883)「のど自慢」 ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)「鼻」 数年前、授業のあとで(そうだな、描写するなら、チョークの粉が秋風に漂い、旧式の暖房機が隅でガチャガチャ音を立て、マーチングバンドが練習しているのが遠くから聞こえる)、人生最良の瞬間──自分が世界になにか価値のあるものを提示できていると実感できた瞬間──のいくらかは、このロシア短編小説の授業に費やしているときだったと悟った。そこで教えている短編小説は常に仕事の傍らにあって、私が自作を測る上での高いハードルになっている。(ロシアの短編小説が私の心を動かし、私を変えたように、私は自分の短編小説がだれかの心を動かし、変えてほしいと思っている。) こうして年月が経ったあとでは、小説のテキストは昔馴染みの友人のように感じられる──授業を教えるときはいつも、友人をすぐれた若手作家の新グループに紹介するような心地なのだ。 それで私はこの本を書くことにした──学生と私が長年かけてともに発見してきたものの一部を文章に起こすことで授業の一端をお見せできればと思った…
愛する長女のために素敵な誕生パーティを開こうと格闘する父親(「センプリカ・ガール日記」)、人間モルモットとして感覚を増幅する薬を投与される若者たち(「スパイダーヘッドからの脱出」)、中世テーマパークで働き、薬の力で思考も語彙も騎士となる男(「わが騎士道、轟沈せり」)、戦地から帰還して暗い暴力の衝動を膨れ上がらせる若き元軍人(「ホーム」)…ダメ人間たちが下降のはてに意外な気高さに輝く、現代アメリカ最重要作家の傑作短篇集。
戦時の大統領リンカーンが、急逝した愛息ウィリーの記憶にひたるため夜の墓地を訪れる。そこには自らの死を受け入れられず、彼岸と此岸の間をさまよう霊魂たちがいた。たくさんの目と鼻と手をもつベヴィンズ、素っ裸で巨大なペニスを屹立させたヴォルマン、最後の審判を恐れる牧師トーマス…。現世の妄執を抱えて生きる(?)彼らがリンカーンに触れる時、感動的でユーモラスな途方もない物語が動きはじめる。まったく新しい形式に奇想と興奮を詰めこんだ、現代アメリカ最高の短編作家、驚愕の初長編。全米ベストセラー、ブッカー賞受賞の超話題作!!!
あまりに小さい内ホーナー国とそれを取り囲む大国・外ホーナー国。国境侵犯を巡って次第にエスカレートする迫害が、いつしか国家の転覆へと繋がって……抱腹絶倒のユーモアで壮大なテーマに挑む問題作!
「資本主義の行き着く先」を並はずれた想像力で描く短編集。檻の中で類人猿のふりをして生きる男を描く「パストラリア」、おばの葬式費用をストリップで稼ぐ少年を描いた「シーオーク」他5編。