著者 : ダイアナ・パーマー
子守の求人広告を見て、カリーナはこれに懸けるしかないと思った。3年前に墜落事故で両親を失ったが、金メダルという母の夢を叶えるため、カリーナはフィギュアスケーターとして頑張ってきた。だが足首の骨折で選手生命を絶たれた今、経済的にも困窮していた。広告主は、数々の石油会社を経営する大富豪マイカ・トランス。なんとか面接を通り、住み込みで働き始めたカリーナはいつしか、ボスの威厳あふれる態度の下に隠された優しさを知る。彼のことを考えるたびに感じるこの胸の切なさは、いったい何?ある夜、悪夢から覚めたカリーナが寝間着姿でキッチンに行くと、偶然居合わせたマイカが咎めるような視線を向けてきたかと思いきや、無防備な彼女の唇をいきなり奪って…。信心深い家庭に育ったカリーナは、純潔を重んじるまじめな女性。過去のトラウマから男性が苦手だったが、よりによって、かつてないほど男らしい大富豪に恋をしてしまい…。不動の大スター作家が贈る、真冬の甘いシンデレラ・ストーリー!
幼くして両親を失った天涯孤独のナタリーにとって、隣人で、大牧場の所有者、キレイン家の人々は家族も同然だ。なかでもマックは、ある日を境にかけがえのない存在になった。友人を亡くし、涙にくれる17歳のナタリーの肩を抱き、甘い口づけでなぐさめてくれたあの夜から…。愚かにも彼に純潔を捧げる日を心待ちにしていたのに。あるとき、マックの妹の恋人を奪ったと誤解され、それを信じた彼の、冷たい言葉にナタリーの心は砕け散った。「二度とこの家に来るな」-彼女は誰にも告げず故郷を去った。
アマンダの人生は、大実業家ジョシュ・ローソンに掌握されていた。亡き父が遺した会社も、現状は彼が支配している。アマンダが引き継ぐには、25歳になるか、結婚することが条件だから。今も、父親を失って傷ついた心を癒やすためにとローソン家の別荘へ強引に連れてこられ、胸に切なさがよみがえった。ここは15歳の頃、ジョシュと恋人の睦み合いを見てしまった場所…。そのときから、年上の彼への憧れを胸の中でひっそりと育ててきた。二人きりになるたび、アマンダはずっと夢みてきた瞬間を期待したが、距離が縮まるとなぜか、ジョシュは頑なに一線を引いた。「純潔は、夫となる男に捧げるべきだ」と言って。
秘書のアビーが高名な富豪弁護士グレイの下で働き始めて1年。ボスは傲慢で実に扱いにくい半面、とても優秀で魅力的な男性だ。そんな彼が求める秘書であろうと、アビーはしかつめらしい服に眼鏡とひっつめ髪のスタイルで、有能な仕事ぶりを見せていた。だがある日、ボスの予定帳に書かれた取引相手の名に、激しく動揺する。二度と会いたくないと思っていた、卑劣で薄情な元恋人…。やむをえずグレイに事情を話し、もうここにはいられないと告げると、ボスは僕たちが公然と同棲すれば、相手は手出しできなくなると言う。二人で寝食をともに…?戸惑いを見せるアビーに、彼は釘を刺した。「ベッドの心配なら無用だ。君は僕の好みじゃないから」
私が本当に愛されるわけがないーわかってはいたが、バイオレットはその夜、憧れのブレイクの腕を拒めなかった。元ボスのブレイクは、太り気味だと彼女を揶揄していたのに、会社を辞めて垢抜けると、とたんに目の色を変えてきたのだ。ところが、バージンを捧げたバイオレットの妊娠が発覚しーブレイクは結婚を申し込んでくれたけれど、彼女は落ち込む。恋人を事故で失って以来、独身を通してきたブレイクにとって、それは愛でなく、責任を果たすためのものにすぎないから。それどころか目的は、バイオレットの体だと告げられて…。
厳格な学校から、半年ぶりに帰郷したキャスリンは、年の離れた義兄ブレイクの姿が見当たらないことにほっとした。早くに両親を失い養女となった彼女を、ずっと見守ってくれた義兄。でも、最近のブレイクはかたくなに男女交際を禁じ、キャスリンの行動を制限しようとするのだ。わたしはもう二十歳なのに。だがパーティの日、ちょうど出張から戻ったブレイクに、ドレスがセクシーすぎると厳しく叱責されてしまう。思わず反発したキャスリンはそのとき想像すらしなかったーわずか数時間後、ブレイクに荒々しく唇を重ねられ、衝撃と興奮に身をこわばらせることになろうとは。極上義兄妹ロマンス!愛情深い兄だったはずの男性との間に、突如燃え上がる情熱の炎。一途で無垢な愛。
テキサスに暮らすケイトは、隣に住む牧場主ジェイソンに憧れていた。ジェイソンはケイトより10歳も年上で、気性の荒さから誰もに恐れられる男。そのうえ根っからの女嫌いだが、なぜかケイトにだけは兄のように親しく接してくれるのだった。そんなある嵐の日、二人はふとしたきっかけでキスを交わしてしまう。もしかしたら彼も、妹以上に見てくれているのだろうか…ほのかな期待に夢見心地のケイトだったが、やがて突きつけられたジェイソンの冷たい言葉に打ちのめされたー君と真剣な関係を結ぶつもりはない、この先ずっと。
天涯孤独のサニーには、他人には話せない秘密がある。6年前、人違いで悪党に襲われた。母と幼い弟の命を奪われ、生き残ったサニーの左胸にも、今なお大きな傷が残っているのだ。人生でたった一度、その醜い痕を見られたことがあるが、相手からあからさまに拒まれたときは、まるで悪夢のようだった。だから、職場のパーティですてきな男性ジョンから声をかけられても、いずれ拒絶されると思うと怖くて、内気にふるまってしまった。案の定、彼は唐突に「失礼」と言い捨て、彼女を置いて去っていった。誰かを好きになっても未来がないのなら、誰とも関わらないもほうがいい。そう自分に言い聞かせる彼女に、ほどなくジョンとの再会の時が訪れ…。
アイヴォリーは貧しい家庭で、身勝手な母に虐げられて育った。二十歳になったのを機に、母を振り切って都会へ出てきて以来、デサイナーを夢見て下積みしながら、母の要求で仕送りもしている。仕事が地味なうえに、なかなか認めてもらえずにいたある日、アイヴォリーは自作のドレスをまとって会社のパーティに出席した。すると、それが富豪社長カリーの目にとまり、彼女は胸を高鳴らせた。凄腕と名高い彼に認められるなんて、まるで夢みたい…。そしてカリーもまた、些細なことにも感激して涙する姿に惹かれ、彼女の純潔を奪った。だが、アイヴォリーの幸せは長くは続かなかった。カリーに存在をひた隠しにしてきた、母という名の悪夢のせいでー大スター作家が、1990年代にダイアナ・ブレイン名義で発表した物語の初邦訳。とても優しい心根の苦労人アイヴォリーが、思わぬ展開により、カリーからの寵愛はやがて、猛烈な怒りとなって彼女の心を突き刺し…。
その日職場に現れた男性を見て、サリーナは茫然と立ちつくした。わたしの人生をめちゃくちゃにした、コルビー・レイン!富豪の娘として育った彼女は17歳のとき、父のSP役に抜擢されたコルビーと燃えるような恋に落ちた。鍛えぬかれた腕に奪われ、すべてを捧げた一夜の後、彼は非情にもサリーナを捨て去ったのだ。そして妊娠が発覚。サリーナは実家からも勘当され、以来7年間、貧困のなかで娘を育ててきた。震える心を押し隠しコルビーと向き合いながら、彼女は誓った。愛しい娘の存在だけは、けっして彼に知られてはならない…。
新人のグウェンは仕事でどじを踏み、直属の上司であるリックに厳しく叱られて落ちこんだ。ここで働き始めたときから、魅力的な彼に惹かれているのだ。一方、リックは不器用なグウェンにいら立ちを覚えていた。地味で冴えない部下のことなど、意識する必要もないのだが。「ぼくは同僚とはデートしない主義だ」グウェンに向かってそう宣告し、規制線を張ったつもりの彼だったが、しかし、ふたりの関係はあるときを境に一変するーリックの独身上司がグウェンを気に入って花を贈ったと耳にするなり、なぜか怒りが沸き、リックの頭は彼女のことでいっぱいに…。
「ぼくのもとで住みこみの個人秘書になってくれないか?」失明した世界的大富豪コナーに請われ、エマは複雑な思いでうなずいた。本当は彼に謝りに来たのだったー先日、湖上で事故を起こし、あなたから光を奪ったのは、このわたしです、と。だがコナーの思いがけない言葉に機会を逸し、言いそびれてしまった。せめて彼の目の代わりになって、見るものすべてを伝えよう。そして、日々償いながら、時機がきたら真実を打ち明けるのだ。けれども時が彼女に与えたのは、愛という名の足かせだった。わたしには彼を愛する資格なんてない。なのに、彼の唇に抗えない…。やがてエマの体に妊娠の兆候が現れるが、そう告げる間もなく、コナーがかねてより外部に調査させていた失明事故の原因が明らかにー。
高校を卒業して働きだしたコーリーには憧れの人がいた。ひとまわり以上も年上のJ・C・カルホーンーハンサムで大人の魅力あふれる彼からデートに誘われ、コーリーは夢見心地でイエスと言った。独身主義の彼に言われるまま、親の反対を押し切って同棲を始めた。目もくらむほどの幸せの果て、コーリーは小さな命を授かった。だが長期出張から帰ったJ・Cに妊娠を告げようとすると、なぜか彼は激昂した。君の浮気相手から、その話はもう聞いていると。J・Cはコーリーを真冬の寒空に放り出し、嫌悪もあらわに吐き捨てた。「君の顔は二度と見たくない。僕にとって君は存在しない人間だ」
トニーは高校時代の友人の訃報を受け、急遽故郷に戻った。友人はミリセントという悪女のせいで、自殺に追い込まれたという。猛烈な怒りに駆られたトニーは、弔問に現れたミリセントを罵倒し、憤怒の形相で詰め寄った。とたんに彼女の顔は青ざめ…(『指輪はイブの日に』)。3人の子供に手を焼く実業家ニックの屋敷に派遣された、天使のベス。子守をすることが使命だと思ったが、ひどく不幸せそうな彼を見て、自分は彼の心を救うために天上から遣わされたと気づく。ベスはニックの心に人間らしい感情をよみがえらせるが、いつしか彼に恋をしてしまう(『地上に降りた天使』)。5年前、ヘレナは憧れの子爵カールトンと結婚したが、翌朝夫は失踪した。その後妊娠がわかり、夫の家族に財産目当てと冷遇されながらも懸命に息子を育ててきた。ある日、みすぼらしい姿の男が現れ、ヘレナの前で倒れる。それは死んだと思っていた夫だった!(『帰ってきた子爵』)。アリーはクリスマス休暇を過ごすため、スペインのピレネー山脈にやってきた。宿泊先のホテルで出会ったのは、巨大ホテルチェーンの経営責任者デス。女性不信に陥っているデスは、アリーに対して何かと不機嫌な態度をとった。ところが彼女の暗い秘密を知るや…(『アリーの秘密』)。
恋に不器用なアリスは、26歳にしていまだ異性を知らない。だから、仕事で訪れた町で出会った男性ハーリーに対しても、ついけんか腰にふるまってしまったー内心、彼との会話が楽しくて、うれしくて、胸が高鳴ってしかたがなかったのに。「もしあなたが花婿ショップで売りだし中でも、買わないと思うわ」売り言葉に買い言葉でそんな悪態をついたものの、翌日アリスは、不品行な若者に絡まれ、ハーリーが駆けつけてくれたことに驚く。両親なきあと孤独を抱えていたなか、不思議な安心感を覚え、アリスは思わず冗談めかしてプロポーズしてしまった!すると、ハーリーは言い訳を作ってはぐらかし、その場を去った…。
二十歳のバーナデットは今、野心家の父の道具になろうとしていた。上流志向の父は金に物言わせ、娘を没落貴族に嫁がせようと躍起なのだ。喘息持ちで体の弱い私が相手方に歓迎されるはずがないし、好きでもない人と生涯をともにするなんて、つらすぎる…。そんな窮地に陥ったバーナデットに突如結婚を申し出たのは、10年来の隣人であるスペインの伯爵エデュアルドだった。冷酷で悪名高い、16歳年上の彼とは会えば喧嘩する仲だけれど、本当は、彼を目にするだけで胸の高鳴りが止まらないほど好きなのだ。思いがけない求婚に舞いあがったバーナデットだったが、同時にエデュアルドは、うぶな彼女の心をかき乱す不埒な言葉を吐いた。「ぼくにとって愛とは、結婚指輪より、寝室にかかわることだ」
二人が結婚しなければ、牧場を競売にかけるーそうお互いのおじに遺言を残された、ジリアンとセオドア。幼いころから知っているセオドアを慕ってはいたけれど、ジリアンには彼との結婚を素直に喜べない事情があった。彼女には、暴行されかけた過去があったのだ。しかも二度も。一度目は15歳のときに。次は16歳のときに。そのときのトラウマのせいで、どうしても男性を恐れてしまう。しかも、犯人のひとりが出所し、過去を吹聴し始めたせいで、セオドアにも白い目で見られている気がして…。
1年前、信じていた人に裏切られて傷ついたニッキは、心の傷を癒やすためカリブ海の島へやってきた。浜辺で物思いに耽るニッキを、じっと見つめる男が一人ー先ほどホテルで会った、尊大な雰囲気漂う彼は、冷たい瞳で彼女を隅々まで見回すと、表情一つ変えずに立ち去った。いけない、彼の豹のような獰猛さと美しさに魅せられてしまいそう。ニッキは怖ろしさと同時に、ときめきにも似た感情に身を震わせた。だがほどなく、人も愛も信じられなくなっていた彼女は、その男、大実業家キャルことキャラウェイ・スティールの大人の色香と恋の魔術に溺れることになるのだった…。
絡みつく母の情夫の魔の手から逃れるために、家を飛びだしたのは12歳のとき。路頭に迷った末、幼い弟を抱えて、あえぐように生きるしかなかったティピーだったが、苦痛と恐怖に満ちた少女時代のために極度の男性恐怖症にも陥っていた。だが、孤高の男キャッシュとの出逢いが運命を変える。何かに飢えたような暗い目をした彼に、同じ不幸の匂いを感じて、初めて人を愛する意味を知るティピー。しかし辛すぎる過去のせいで彼は誰も愛せない。ティピーが妊娠に気づいたのは残酷にも、キャッシュに愛と結婚を拒絶されたあとでー