著者 : ディケンズ
「荒涼館からどんどんひとがいなくなるね」-エイダとリチャードが去った屋敷を守るエスター。彼女を殺人事件捜査のため深夜連れ回すバケット警部。ジャーンダイス裁判も終末が近づき、二つの視点で交互に語られた物語は大団円を迎える。
「ああ、いとしいわたしの子、ゆるしておくれ!」-生死の淵から帰還したエスターを待ち構える衝撃の数々。鏡に映る姿、思いもかけなかった「母」の告白、そして求婚…。ロンドンでは、ジャーンダイス訴訟に関わる人物が殺害される。逮捕されたのは誰か?
「なにかがわたしのなかで息づきはじめました」-荒涼館の一員となったエスターは、教会で見た准男爵夫人の姿になぜか深い衝撃を受ける。ロンドンでは、リチャードが終わりの見えない裁判に期待を寄せ、身元不明の代書人の死にまつわる捜査も広がりを見せる。
「おまえはおかあさんの恥でした」-親の名も顔も知らずに育ったエスターと、あまたの人を破滅させる「ジャーンダイス訴訟」。二つをつなぐ輪とは何か?ミステリと社会小説を融合し、貴族から孤児まで、一九世紀英国の全体を描きだすディケンズの代表作。
ルーシーと結ばれロンドンで幸せな家庭を築いたダーネイだが、元の使用人を救うべくパリに舞い戻るや、血に飢えた革命勢力に逮捕されてしまう。彼の窮地を救うため、弁護士カートンは恐るべき決断を下す…。時代のうねりの中で愛と信念を貫く男女を描いた、ディケンズ文学の真骨頂。
我々は、「夏の夕暮れの光が消えるように、儚く逝った」薄幸の少女ネル(『骨董屋』)に涙を流し、跳梁する悪と貧困、虚栄と憎悪、悲痛な恋と変身・分身の劇がめくるめくように展開する『我らが共通の友』に十九世紀小説の最高の達成をみて、胸を躍らせる。スリルありサスペンスあり、ミステリーあり、数えきれないばかりの人物たちと事件がやがてジグソーパズルが形をなすようにして、壮大な勧善懲悪のカタルシスを伴って幕を閉じる。
19世紀のロンドン。人間嫌いの老商人・スクルージは、非情で利己的な商売で隣人や商売仲間からも嫌われていた。そんな彼のもとに、かつての相棒マーレイの亡霊が現れて…。格差が広がる産業革命渦中、イギリスの社会的矛盾に挑み、人間の尊厳を描き続けた文豪ディケンズのベストセラー「クリスマス・ブックス」の一編を漫画化。
時は一九世紀。イギリスの片田舎で生を授かったオリバー・ツイストは、両親の顔も知らず貧民院に預けられ、貧困と厳しさに耐えて育っていった。やがて葬儀屋に引き取られるが、冷酷な人々の仕打ちは容赦ない。苦しみぬいた末、ついに彼は自らの足で、希望の町ロンドンへと向かう。そこでオリバーに救いの手を差し延べたのは、恐ろしい盗賊の一味だったー。無垢な少年の姿を通して、人間の良心と残酷さを描いた、文豪ディケンズ渾身の社会風刺小説。
母にも死なれ、苦境に陥っていたデイヴィッドだったが、唯一のたのみであった伯母の家をなんとか探しあてることができた。そこで新たな生活を始めたデイヴィッドは、父親思いの優しいアグネス、こびへつらうユライア・ヒープなどと出会うのだった…。
本書は、モームが世界の十大小説の一つに選び、ディケンズ(一八一二ー一八七〇)自身も「自分の全著作の中で、一番気に入っている」と語っている自伝的作品である。個性的な登場人物が多数登場し、ユーモアとペーソスが全篇にわたって満ちあふれている。新訳。