著者 : ドン・デリーロ
生か、死か、死のない死か アメリカの大富豪ロス・ロックハートは、難病に冒された愛する妻の身体を凍結し、未来の医療に託そうと目論んでいた。 プロジェクトに巨額を投じる父に招かれ、中央アジアの地下研究施設を訪れた息子ジェフリーが見たものとは……? 科学技術の進歩は肉体の復活と人類の更新、永遠への到達を約束しうるのか。 そして愛は絶対零度の世界でも生き長らえるのか。 極限状況において人間の限界を問う、異色の恋愛小説。 人体凍結による永遠の生の獲得、ロシア・ウクライナ問題、隕石落下による大災害、惑星規模で頻発するカタストロフィ、世界の終わり、歴史の超越によるアセンション…… これは予言の書か、希望の書か、黙示録か? 『ポイント・オメガ』と『沈黙』を架橋する後期デリーロの新たなる傑作長編、ついに翻訳完成!! 第一部 チェリャビンスクの時代に アーティス・マーティノー 第二部 コンスタンティノフカの時代に 訳者あとがき
知れば知るほど、死は育っていく。 甚大な空中汚染事故、消費社会の猛威、情報メディアの氾濫、オカルトの蔓延、謎の新薬〈ダイラー〉の魔手、いびつな家族関係、愛の失墜、そして、来るべき《死》に対する底なしの恐怖……。 日常を引き裂くこの混沌を、不安を、哀切を、はたして人々は乗り越えられるのか? 現代アメリカ文学の鬼才ドン・デリーロの代表作にして問題作、そして今なお人間の実存を穿つポストモダン文学随一の傑作が、より深く胸を打つ魅力的な〈新訳〉として装いも新たに登場! ついに映画化!! 2022年12月、全国劇場&Netflixにて公開! 監督:ノア・バームバック/主演:アダム・ドライバー 第一部 波動と放射 第二部 空中毒物事件 第三部 ダイラーの大海 訳者解説 都甲幸治
ニューヨークの暗闇の中、超低速で映し出されるヒッチコックの映画『サイコ』。読者を幻惑する謎の空間から、舞台は荒涼たる砂漠が広がるサンディエゴへ。 戦争、記憶、意識、宇宙をめぐって続けられる対話。砂の彼方に消える声。意味を失ってゆく時間。暗闇に閃く欲望。そして、少女は消えた…… 泥濘化する戦場から遠く離れ、虚空を領する絶対の静寂が、アメリカの野蛮、人間精神の孤独を穿つ。
島から出られないリゾート客。スラム街の少女と修道女。第三次世界大戦に携わる宇宙飛行士。娘たちのテレビ出演を塀の中から見守る囚人。大地震の余震に脅える音楽教師ー。様々な現実を生きるアメリカ人たちの姿が、私たちの生の形をも浮き彫りにする。四人の訳者によるみずみずしく鮮明な9篇。1979年から2011年まで。現代アメリカ文学の巨匠、初の短篇集。