著者 : バーバラ・T・ブラッドフォード
ヨークシャーに壮大な邸宅を構える伯爵家インガム一族と、使用人スワン一族。固い絆で結ばれた両家の間には、身分差を超えた愛も生まれた。少女の頃から服飾デザインに天賦の才を発揮し、インガム家の令嬢達を美しく装わせてきたセシリーと伯爵家の跡継ぎマイルスは、身分の差を超えた秘密の恋を成就させ、ついに結婚。セシリーは平民の身でありながら、次期伯爵夫人となったのだ。だが、幸せに包まれる両家には暗雲が垂れ込めようとしていた。時は1938年。遠く第三帝国で響く軍靴の足音が、キャヴェンドンにも迫りつつあったー。
英国も戦争を回避できない情勢となり、セシリーはあるジレンマに陥る。次期伯爵の妻である以上、跡継ぎをもうけることは義務であり務めだが、戦時下に子どもを産むことに怖れも感じていた。だがどれだけ戦況が深刻になろうとも、マイルスとの愛は深まりこそすれ陰ることはなく、二人は互いへの情熱を絶やさず燃やし続けた。やがてセシリーは身ごもるが、その尊い命は儚くも失われることとなる。最愛の家族の出征、失われる命…キャヴェンドンが迎えた最大の試練の時、セシリーは立ち上がるー両家を繋ぐ、愛と絆の掟を胸に。
ヨークシャーに壮大な館キャヴェンドン・ホールを構える伯爵家インガム一族と、代々仕えてきたスワン一族。両家の固い絆は、時に忍ぶ愛をも生んできた。セシリー・スワンもその一人で、幼いころ伯爵家の嫡男マイルスと将来を誓い合ったが、身分差という壁に阻まれ、結婚は叶わなかった。以降心を閉ざし、ロンドンで仕事ひとすじに生きてきたセシリーに、キャヴェンドンから思いがけない依頼が舞い込む。マイルスと二人で、ある催しを取り仕切れというのだ。それは、当代伯爵とセシリーの大叔母の、許されるはずのない結婚式だった。壮大なヒストリカル・サーガ第2弾。
英国に恐慌の不穏な空気が忍びより、没落する貴族も出始めた。時代は変わり、インガム家でも史上初めて身分差を超えた婚姻が結ばれた。セシリーの大叔母は変わらぬ忠誠心と深い愛で夫となった伯爵を支え、伯爵の娘たちもそれぞれに真実の愛を見つけ、束の間キャヴェンドンは婚約披露や結婚式に花が咲いた。輝くばかりの婚礼衣装はすべてセシリーの手によるものだった。花嫁のヴェールを直してやりながら、セシリーは涙を押し隠した。マイルスへの想いは変わらないが、彼との結婚は叶わないーセシリーの愛だけは、不毛なままなのだった。