著者 : バ-バラ・カ-トランド
フォーレラは英国侯爵の父ピーターとハンガリー貴族の令嬢を母に、親子で世界各地を旅していた。しかし、近年相ついで両親を亡くす。後見人の伯父、クレイドン伯爵は姪をイギリスに呼び戻す手はずを整えた。が、ロンドンでは冷たい態度の夫人がフォーレラを厄介払いしたがっていた。その指示に従って、仕方なく社交界デビューの準備を続けるしかない。まもなく、社交界屈指の接待会でハンガリー王子の所有する城へ叔父夫婦と共にフォーレラも出席することになったが…。
アルストーン公爵は、伯爵夫人デイジーとの情事に倦怠を感じていた。別邸でのパーティーでも刺激を求め趣向はエスカレートする一方である。ある夜、レディは仕立てられるかを巡り友人と大金を賭けてしまう。そして世間知らずのモデルとして修道院の付属学校を卒業した姪を迎える。ロレナは、牧師だった弟の一人娘で三年間で美しく成長していた。その上教養も高く、社交仲間にも臆さず次第に人気者になっていく。ロレナの清純さに打たれた公爵はデイジーに別れ話を切りだした。だが、逆上した彼女に銃を向けられる。
リングフィールド卿は障害物競走で命を失った。そのレース前、遺言状を残していた。娘の後見人として、レース主催者であるステヴィントン侯爵を指命したのだ。父の死を招いた人物が後見人とは…バレッタは現実を受け入れられず遺言の確認に、侯爵の屋敷へ赴く。「わたしはきみの後見人なのだ。」その言葉に茫然とするバレッタの前に煙突掃除の少年が転がり落ちてきた。続いて、親分による虐待場面が展開する。バレッタは耐えきれず、侯爵に少年の身を買いあげてくれるよう嘆願する。侯爵の庇護のもと奇妙な同居が始まった。
ストラスナーン公爵は、十二年ぶりにスコットランドへ戻った。暴君の父に反抗して、十六歳で家出して以来の帰郷である。ロンドンでは国王の側近としてまた社交界の花形として注目されてきた。長年にわたる氏族同士の諍いにも無縁でいられたが、父の没後甥のトークィルが騒動を起こしたのだ。宿敵のキルクレイグ一族に囚われの身になった甥を救うべく公爵は、首長との会見に赴いた。その結果、彼の釈放と引きかえにキルクレイグの娘クローラとの縁談を承諾せざるを得ないはめになってしまう。
グレイシラは、かつての執事ミレットを頼って、男爵邸を訪れた。継母の強要する結婚を承諾したあと婚約者が、彼女の愛人だと知ったからだ。父親には告白できない理由の家出ゆえ隠れがには用心しなければならない。ミレットは、十二年ぶりに帰国した今の主人ダミアン卿と顔を合わせない約束でグレイシラをかくまう。彼は昔、年上のリンマス公爵夫人と駆け落ちした悪名高い人物だった。しかし、グレイシラが偶然出会ったダミアン卿は、詩人のような紳士である。二人は人目を忍び、森の中で奇妙な逢瀬を続けてゆくが…。
女王陛下の侍女との恋…イルミンスター公爵にとっては戯れでも女王の激怒は予見される。公爵はロンドンから逃れでた。十年ぶりに訪れたクィーンズホーは愛する祖母との思い出に満ちていた。庭園には小さなギリシャ神殿があり白い柱にもたれる一人の少女と出会う。初対面にもかかわらず、彼女は公爵の夢を見ていた、と告げる。この屋敷にいた若き日の姿が不思議な波動で再現されている、と。途方もない話に、公爵は笑いとばした。だが、様々な事件が解決されるのを見て次第に引きこまれていく。
ラーラの父はハリングトンの家名を継ぐ牧師だが、財産はない。貧しい家計を助けようと、ラーラは小説を書き始めたが、経験不足に悩む。ある日、家庭教師の友人のノイローゼを知って、身代わりを思いつく。友を助け、小説の取材をするために地味な女教師になりすましたのだ。教え子はキーストン侯爵の姪だが無気力で、問題児と見なされていた。だが、ラーラは熱心に指導し少女の音楽的才能を引きだしていく。無関心だった侯爵も、注目し始めた。だが、友人を苦しめた魔手が再びラーラにも襲いかかろうとする…。
ソリータは、イタリアから意を決してキャルヴァリー公爵の城を訪れた。かつて公爵が軍人だった頃命を救われた縁で、父の死後ソリータの後見人になっているからだ。しかし、ナポリの伯母に預けたまま公爵はその役目を忘れ果てていた。ソリータは、父の仇であるロシア人に深い憎しみを抱いていたが、あろうことか、当の公爵がロシアのさる皇女と深い関係にあった。その兄弟と共に、ソリータは城に滞在することになったが、偶然驚くべき秘密を耳にする…。
ヘイウッド卿は軍人として活躍したが戦後、領地に従者と帰還する。父の訃報により、爵位を継承したからだ。三年の不在で無人だったはずの館には美貌の少女が秘かに身を隠していた。詰問する彼に、ラリータと名のった後は後見人の叔父に息子との結婚を強制され家出をしたと、渋々ながら答えた。そして必死に同居を頼みこむ彼女の懇願に、ヘイウッド卿の決意も鈍ってしまう。目前には、父の負債や領内の困窮、荒廃した館の修復など難問ばかりだった。次第に、ラリータは貴重な存在になり金策に苦しむヘイウッド卿は慰められ無垢な彼女に魅力を感じ始めるが…。半世紀を越えて読みつがれてきたロマンス界の女王の作品の中から、傑作ばかりを集めた日本独自の新シリーズ。豪華絢爛、清純なヒストリカル・ロマンスの世界。
ホークスヘッド伯爵は、首相から内密にパリでの情報収集を依頼された。ロンドンから馬車で発った道中事故に遇い、若い娘に助けを求められる。バプティスタと名のった彼女は駆け落ちした母を憎むあまりよく似た娘を虐待する実父に耐えられず、逃亡を図ったという。仕方なく同行させたものの激しい雷雨に予定外の汚い宿に入る。その後、一行は強盗に襲われるが夜中に目覚めたバプティスタが襲撃計画に気づき、難を逃れた。半世紀を越えて読みつがれてきたロマンス界の女王、豪華絢爛、清純なヒストリカル・ロマンス。
メリータはイギリスから船旅で独り未知のマルティニーク島へ渡った。父の死後、義母に遠方へ追い払われ家庭教師として働くことになったのだ。雇い主のヴェソンヌ伯爵は妻を亡くしその後、従姉のマダム・ブワセによって伯爵邸と農園の実権を握られていた。だが、メリータに勇気づけられた伯爵は奴隷たちの難問にも取り組み始める。そんな二人の様子に嫉妬するマダムは挑発や攻撃を仕かけ続けた。いがみ合う大人達に、伯爵の一人娘であるローズマリーも怯えていた。ある夜、森からの奇妙な太鼓に誘われたメリータは、秘密の儀式に遭遇する。
ヴァイオラは幼時に母を失い再婚した父も三年後に亡くなった。気の強い継母は婦人参政権獲得の運動に熱中し、ヴァイオラを虐待しているが活動には都合よく利用しようとした。ある時、外交次官のレイバーン邸に爆弾を仕かけるよう命じられたヴァイオラは絶望のあまり、爆発と共に自殺を図る。だが、レイバーンに間一髪で救われ事情を知った彼は放免してくれた。失敗に激怒した継母は、ヴァイオラをデモに連れだし、警官に突きとばす。殉教者気どりのデモ隊と一緒に留置場から即決裁判に連行されたヴァイオラは再び、レイバーンに出会った…。半世紀を越えて読みつがれてきたロマンス界の女王の作品の中から、傑作ばかりを集めた日本独自の新シリーズ。豪華絢爛、清純なヒストリカル・ロマンス。
アリタは父を不名誉な死で失い伯父のラングストン公爵の邸で冷たい伯母の仕打ちに耐えていた。厩舎の世話に明け暮れる日々のなか馬だけが心のよりどころである。アメリカの大富豪クリント・ウィルバーが隣の館を買い上げることになった。その隣人に、公爵は馬を売りつけ夫人は娘を結婚させようと画策する。交渉は馬に詳しいアリタに一任されクリントは、厩舎の改造に協力するなら売買に応じると条件を出してきた。アリタはマースフィールド館へ通い始めクリントと共に、パドックの整備など新案を次々に実行していくが…。