著者 : ピエール・ルメートル
夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋である。戦中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく!最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる!マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?現実の人生では理不尽なことが次々起こるのに、なぜ小説家は手加減しなければならない?と言い放つ鬼才ルメートル。その最後のミステリーは、アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。
母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまった悲しみと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になってしまっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら…。じわりじわりとアントワーヌに恐怖が迫る。十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか?殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間ーその代償がアントワーヌの人生を狂わせる。『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。
パリで爆破事件が発生した。直後、警察に出頭した青年は、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金を要求する。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが…。『その女アレックス』のカミーユ警部が一度だけの帰還を果たす。残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至。
1927年2月、パリ。一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。しかし、そのあいだに、彼女を陥れる陰謀が着々と進んでいた…。ゴンクール賞および英国推理作家協会賞を受賞した『天国でまた会おう』待望の続篇登場!
奸計により、亡父が遺した資産も邸宅も失ったマドレーヌは、小さいアパルトマンで細々と暮らしていた。一方、彼女を裏切った者たちは、それぞれ成功への道を歩んでいた。そして、マドレーヌは復讐することを決意するー。ヨーロッパでファシズムが台頭しつつある1930年代、新たな戦争の影がしのびよるパリでくりひろげられる、息もつかせぬ復讐譚。『その女アレックス』著者による、『天国でまた会おう』三部作の第二巻。
1927年2月、パリ。一大帝国を築き上げた実業家が死んだ。その長女マドレーヌ・ペリクールは、幼い一人息子ポールとともに、父の莫大な遺産を受け継いだ。しかし、事故に遭ったポールの看護に努める彼女は、自らを取り囲む悪意に気づかなかったー。やがて裏切られて地位も資産も失った彼女は、復讐を決意する!戦火が迫りつつある時代を舞台とした、息もつかせぬ群像劇。ゴンクール賞・英国推理作家協会賞受賞作『天国でまた会おう』に続く三部作第二弾。
重役たちを襲撃、監禁、尋問せよ。どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。企業の人事部長だったアラン、57歳。リストラで職を追われ、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今はアルバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが人材派遣会社の社長じきじきに告げられた最終試験の内容は異様なものだった。-就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ。重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。遂にバイトも失ったアランは試験に臨むことを決め、企業人としての経験と、人生どんづまりの仲間たちの協力も得て、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!だが、ここまでで物語はまだ3分の1。ぶっとんだアイデア、次々に発生する予想外のイベント。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成に読者は翻弄される。残酷描写を封印したルメートルが知的たくらみとブラックな世界観で贈るノンストップ再就職サスペンス!
1918年11月、休戦が近いと噂される西部戦線。上官プラデルの悪事に気づいたアルベールは、戦場に生き埋めにされてしまう!そのとき彼を助けに現われたのは、年下の青年エドゥアールだった。しかし、アルベールを救った代償はあまりに大きかった。何もかも失った若者たちを戦後のパリで待つものとはー?『その女アレックス』の著者が書き上げた、サスペンスあふれる傑作長篇。フランス最高の文学賞ゴンクール賞受賞。
第一次世界大戦直後のパリでのしあがる実業家プラデルは、戦没者追悼墓地の建設で儲けをたくわえていく。一方、アルベールは生活のため身を粉にして働いていた。そんな彼にエドゥアールが提案したのは、ある途方もない詐欺の計画だった。国をゆるがす前代未聞のたくらみは、はたしてどこにたどりつくのか?日本のミステリ・ランキング一位を独占した人気作家が放つ、スリルと興奮に満ちた群像劇。一気読み必至の話題作。
膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。真面目な青年アルベールは、戦争で職も恋人も失ってしまう。画才に恵まれた若きエドゥアールは顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる!
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。