著者 : ブライアン・フリーマントル
第一次世界大戦直前のロンドン。セバスチャンは、シャーロック・ホームズの実子ながら、伯父マイクロフトの子として育てられた。彼は、来たる戦争によってドイツと接触をはかり莫大な利益を狙う米国実業家の秘密結社を捜査する任務を請け負う。しかし、英国政府からは一切の資格や支援は得られない、という条件付だった。鬼才フリーマントルが初めて挑んだ冒険パスティーシュの傑作。
セバスチャンは青年実業家を装って単身アメリカへと向かった。そこで米国の鉄鋼王や銀行家、ロシアの皇子などと接触。入手した情報は父シャーロックへ“ノーション”という暗号電文で送る。さらに彼は、ドイツ大使館でのレセプションに潜入することに成功。その席で、謎の積み荷が英国を経由してドイツへと運ばれる、という極秘情報を掴む。汽船の出港を阻止することは可能なのか。
ミサイルが国連本部ビルに撃ちこまれたー双頭の弾頭にはサリンと炭疽菌が積まれていた。不発に終わり被害の拡大は免れたものの、ニューヨークやワシントンでは爆弾テロが続発。捜査の結果、使用された爆弾はいずれもロシア製と判明した。FBI捜査官カウリーは、急遽モスクワ民警のダニーロフに協力を要請する。ふたりは、国境を越えて三たびコンビを組むことになったが…。
国防総省のコンピューター・システムがサイバー・テロによって崩壊した。商務省、農務省などの政府機関のシステムも一斉にクラッシュする。不気味な犯行声明が送りつけられるが、犯人の意図は依然として不明。そんな折、爆弾テロはモスクワをも襲った。カウリーは至急、現地へと飛ぶ。事件の背後に見え隠れする邪悪なロシア・マフィアの存在。そしてアメリカとの驚くべき接点とは。
ミサイル防衛を凍結する条約に調印すべくロシアを訪問した合衆国大統領夫妻が、ロシア大統領夫妻とともに銃撃を受ける。取り押さえられた犯人は亡命イギリス人の息子。三国合同捜査が開始されることとなり、例によってチャーリーにお鉢が回ってくる。だが、高をくくっていた彼が調べを進めるうちに、尋常ならざる陰謀の構図が浮かび上がってきた…。好評シリーズ、注目の新展開。
ロシア国内にそびえる幾多の壁。入り乱れる各国捜査陣の思惑。相変わらず冷笑的な上司。困難な状況の中、チャーリーは自身のルールを堅持する。“作戦を立てるときは退路を確保し、必ず他人より先を行く”。だが、検証を進めれば進めるほど疑わしくなってゆく人物がいたーナターリアである。すでに冷えかけている関係をなんとか修復したいチャーリーは難しい判断を迫られた…。
月曜日、セーヌ川の遊覧船の舳先に飾られていた年若い女性の生首。さらに、火曜日、水曜日と、欧州各地にばらばら死体の一部が届けられた。FBI欧州連合「ユーロポール」特捜班に抜擢された心理分析官クローディーンは、フランスを震撼させたこの猟奇事件の犯人像割り出しに取り組んだ。だが、彼女の必死のプロファイリングを嘲笑うかのように、惨殺体が相次いで発見されていく。
血液中の氷片、胴体に均等につけられた平行する傷痕。ばらばら殺人の遺体に残された不審な痕跡から、クローディーンは連続殺人事件の核心に迫っていった。しかし、「ユーロポール」や各国警察の思惑により、彼女の功績が実名入りで報道されてしまったことで、犯人側は、殺人リストに彼女の名を加えることに…。先端技術を駆使した捜査法をリアルに描出したサイコスリラーの傑作。
ロシアからは法も秩序も消えていた。当局の権威は失墜し、幾多のマフィア組織が無軌道に鎬を削っていた。そしてチャーリーに未来はなかった。さらに、未来のない男に与えられたはずの任務は、思わぬ危険な方向へと彼を導いてゆく。米ロ両大国の思惑に揉まれ、屈折した愛情に揺さぶられながら、彼は因縁浅からぬ街で孤独な活動を展開する。今日的テーマと壮大な構想のシリーズ第十作。
原子爆弾数十発に相当するとされる、240キロを超えるプルトニウム。それはロシア国内に残されているのか、はたまた移送されてしまったのか?チャーリーの調査が進展する一方で、罪なき娘サーシャの身に危機が迫る。目には目を、命には命を。自らの簡潔な哲学に基づき、チャーリーは鉄壁の罠を用意した。銃弾の嵐の向こうで微笑むのは誰か。世界を危機に陥れた計画は終幕に向かう。
EU(欧州連合)版FBIともいうべきユーロポール。そこに誕生した初の心理分析官、クローディーン・カーターは、ソルボンヌ出身の才媛だ。連続殺人、臓器窃盗、悪魔信仰、ハイジャック、幼児売買、マフィアの復讐劇…国境を越え、民族を越えて頻発する猟奇、凶悪犯罪に果敢にいどみ、プロファイリングを駆使して犯人をあぶり出す。スリリングに展開する待望の新シリーズ12話。
その夜またモスクワの路地裏に転がった死体からは、髪の毛とボタンが奪われていた。民警のダニーロフは、猟奇的な手口から連続殺人犯は異常者だと考える。だが被害者のひとりがアメリカ大使館員の女性だったため、事件にはFBIが介入することになった。風采のあがらぬロシア人刑事ダニーロフと、翳りをおびたFBI捜査官カウリーによる共同捜査が始まったが…。新シリーズ誕生。
冷戦が終わって、上司も変わった。チャーリーは新人ガウアーの教育係を押しつけられ、憮然とする。一方、新生ロシアで対外情報部門のトップに昇りつめたナターリヤは、幼い娘を育てながら組織内の暗闘に耐え、チャーリーの行方を追っていた。そして北京ではロンドンに情報を送っていたイエズス会士が公安当局にマークされ、彼を出国させることがガウアーの初仕事に。シリーズ第九作。
新人ガウアーは、任務の遂行直前に中国当局に拘束されてしまったが、チャーリーの教えを忠実に守り、獄中生活に耐える。そしてチャーリーは北京行きを命じられた。やったぞ、現場復帰だ!だが、情報と資料を吟味した彼の目には何もかもが不自然に映っていた。ここでしくじれば、本当に未来はなくなる。周到な準備を重ね、チャーリーは運命の鉄道駅へ向かう。恩讐と逆転の大団円は。
ボンの政府機関で働くエルケは有能な秘書で、38歳の独身。私生活での話し相手はペットの犬だけ、という孤独な彼女に、ある日ひとりの男が近づいてきた。KGBのセックス・スパイであるオットーは、ジャーナリストと身分を偽っていた。彼の任務はエルケを籠絡し、ドイツのあらゆる機密情報を手に入れることなのだ。オットーは巧みにエルケに近づき、その心を捉えたのだったが…。
マンハッタンで堅実な投資顧問会社を経営するファーは麻薬密売で逮補された息子の将来と引換えにFBIとの取引を受け入れた。カリブのカイマン島にファーは工作員数名と傍受装置を完備した投資顧問会社を作り、おとり捜査が開始された。巨額の資金洗浄を持ちかけてきたのはコロンピアのコカイン・ブローカーとニューヨーク・マフィアだった。一味は罠にはまったかに見えたのだが。
英国情報機関内にどうやら「もぐら=二重スパイ」がいるらしい。情報工作本部長サミュエル・ベルは、自らの部下の内偵という屈辱的作業を強いられ、組織内での孤独感を深めてゆく。窮余の一策としてベルは部下の信頼度を試す「秘密指令」を作成。指令の遂行過程に組み込んだ巧妙なプログラムは、見事スパイを突き止めたかに思えたが…。連作短編に挑んだフリーマントルの異色作。
待たれていた男ー、チャーリー・マフィンがいよいよ帰ってきた。MI6の上級職員として復帰した彼だが、待っていたのは経費にうるさい次長と無能な新人。憂鬱な日々を送っていたが、ある亡命ロシヤ人の情報から要人暗殺計画の存在を嗅ぎつける。暗殺者も標的も、日時も場所も判然としないその計画とは?チャーリーは独自の推理でテロリストを追う。待望のシリーズ第8作、遂に登場。
オファレルは46歳のCIA暗殺工作員。妻には身分を偽り、他人の記憶に残ることを極力避ける。家族を愛し、酒はマティーニを一日一杯。週末には必ず車を洗う。そんな彼の原則が徐々に崩れ始めた。娘の離婚騒動、孫を襲った麻薬疑惑、そして殺人という行為への罪悪感…。だが、家族のためにもう一度だけやらねばならない。彼は最後の標的、駐英キューバ大使リベラの元へと向かった。