著者 : マイクル・Z.リュ-イン
風光明媚な歴史の町バースに住むルンギ一家は、親子三代にわたって探偵事務所を営む“探偵家族”。戦後、裸一貫から事務所をおこした親爺さん、優しいママ、放蕩息子の長男サルヴァトーレ、妻のジーナと事務所を切り回す次男アンジェロ、経理担当の長女ロゼッタ、そしてやんちゃ盛りの二人の孫だって立派なメンバーだ。そんな彼らのもとへ、ある日近所の主婦がやってきて台所の洗剤がいつもの場所とずれているので調べてくれという。雲をつかむような依頼は、やがて思いもよらぬ展開を…。
テレビ・コマーシャルは、たしかに効き目があった。暇をもてあましていた私立探偵アルバート・サムスンのもとに、依頼の電話が急にひっきりなしにかかってくるようになったのだ。しかし、そういいことばかりはつづかなかった。警察が血眼で追っているテロリスト・グループからも、仕事を依頼されたのである。環境保護を訴えるこのグループは、爆発しないようにセットした爆弾を公共の場に仕掛け、それを自ら警察に通報するという手口で、マスコミの注目をあつめていた。ところが、仕掛けた爆弾のひとつが何者かに盗まれてしまったという。死傷者がでるまえに爆弾を回収してほしいと依頼されたサムスンは、警察に届けるよう勧めるわけにもいかず、仕方なく調査をひきうけた。やがて警察の追及の手はサムスンにまで…。追いつめられたサムスンが男の意地をみせる話題作。
インディアナポリスでソシアル・ワーカーの事務所のチーフとして働くアデル・バフィントンは、目のまわるような毎日を送っていた。おもな仕事である児童虐待問題に心を痛め、別れた夫との間の娘ルーシーの成長を見守り、恋人の私立探偵アルバート・サムスンと過ごす時につかのまの安らぎを見出す。ある日、アデルの事務所に強盗が押し入った。その男は事務所が取り扱ったケースのAからHまでのファイルの中から、どれかをコピーして立ち去った。目的不明の強盗事件のほとぼりも冷めやらぬうちに、新たな問題が事務所に持ち込まれた。若い母親が幼い女の子2人とともに失踪したというのだ。だが、まさかこれらの事件が背筋の寒まなるような驚くべき深淵を徐々に覗かせていこうとは、アデルにも予想できなかった…。圧倒的に人気を誇るハードボイルドの旗手が、サムスンの恋人、新ヒロインのアデルを鮮やかに送り出す最新長篇。
オフィスは相変わらず閑散としていたが、私立探偵サムスンの胸は期待に膨らんでいた。テレビで“昔ながらの探偵”として紹介されたのだ、きっと山のような依頼が…依頼は二件あった。そのうちの一件は、インディアナポリスの有名な銀行家ダグラス・ベルターとその妻ポーラからで、つい最近、ポーラの出生証明書が偽造されたものであることが判明したので、その理由を調査してほしいという依頼だった。サムスンは50年前の記録を調べ、ポーラが実は養子だったことを突き止める。ポーラが養子にもらわれた背景には、いったいどんな事情があったのか?やがて、過去の調査を続けるサムスンの前に驚くべき真相が浮かび上がってきた。人びとの記憶の片隅に埋もれていた過去の悲劇を叙情的に甦らせる、知性派ハードボイルドの最高作。
出所したばかりの息子リッキーの行状に頭を悩ますパウダー警部補だったが、仕事は待ってくれない-。父シドニーが消えた失踪人課に訴えにきたロバート少年の話を聞き、その家に出向いたパウダーは、異状に気づいた。謎に包まれた男シドニーの失踪の裏には、いったいどんな秘密が隠されているのか?一方、車椅子にのった女刑事フリートウッドは、コンピューター技術メンセリから実に妙な話を聞いた。自らも車椅子で暮す彼がコンピューターで行なった調査によれば、インディアナ州の身障者が次々に殺されている可能性があるらしい。パウダーは、周囲からの圧力もはねのけ、奇怪な話の真偽を確かめようと動き始めたが…。現代ハードボイルドの雄が、警察小説の分野に独自の地歩を確立した話題のシリーズ第3弾。
万年夜勤刑事から失踪人課の長へと変ったパウダー警部補だが、状況の悪さはそう変らない。公私ともに山積する難問に、不屈の熟年刑事パウダーは真正面からぶち当る!『夜勤刑事』で鮮烈な長篇デビューを飾った信念の男リーロイ・パウダーが新天地で見せる活躍!実力派リューインが、警察小説に新風を吹き込む、注目のシリーズ第2弾。