著者 : マーガレット・ローム
日陰の姉の私は最初から、 美しい妹の代用品でしかなかった。 母亡き後、アンジーは家事を一手に引き受けつつ牧師の父を手伝い、 さらには問題児の妹の尻拭いまでさせられている。 ある日、美人でわがままな妹がまた泣きついてきたーー 旅先で知り合ったギリシア大富豪ヘリオスとなりゆきで婚約したものの、 ほかに好きな人ができたから、婚約を解消してきてほしいという。 いくらなんでも今回は酷すぎるわ! それに、どうして私が? だがヘリオスを怖がる妹の懇願を断れず、アンジーはギリシアへ飛んだ。 そこで初めて、妹の心変わりは、彼が事故で失明したからだと知る。 「妹の酷い仕打ちを償う気があるなら……君が僕の目になってくれ」 それはアンジーがこの地に残り、身代わり花嫁となることを意味していた。 英国が生んだ名作家マーガレット・ロームのクラシックな香り漂う、ギリシア大富豪との愛なき結婚物語。暗黒の世界に閉じ込められたも同然のヘリオスを見捨てた妹を恥ずかしく思い、涙したアンジーには、ヘリオスのいびつな求婚を拒むことなどできなくて……。
「一目見た瞬間、ぼくたちは惹かれ合った」 抗いようのない、富豪の熱烈な求愛ーー この土地の古いしきたりに従ってクレアは黒い花嫁衣装を着た。 悪魔のような花婿ロルフとの結婚式にふさわしい色だ。 引き締まった体を優雅な夜会服に包んだ、尊大な大富豪は、 舞踏会で出会ってすぐ、破廉恥にも彼女を抱き寄せ唇を奪った。 初めて感じた、体に電流が駆け抜けるような衝撃。 クレアは激しく動揺した。婚約者がいる身だというのに……。 ところが、婚約者があろうことかロルフの金を横領したと発覚。 するとロルフは彼女に結婚を迫ってきたーー 男らしさと性的魅力にあふれたロルフ。婚約者に泣きつかれ、 クレアは言い知れぬ不安に脅えつつ、結婚を承諾したのだが……。 HQロマンスが誇る数々の逸作を厳選してお贈りする、伝説の名作選。マーガレット・ロームの1980年代の秀作ーー野性的なヒーローの魅力に翻弄されるうぶなヒロインの情熱の初恋物語をご堪能ください。
リネットの父は、美しい娘を洗練された淑女にするために、没落貴族の娘を教育係としてあてがい、厳しくしつけさせた。たしかにマナーやセンスは身についたけれど、こんな生活は苦痛…本来は読書好きでおとなしいリネットの心は沈んでいた。そんなある日、リネットは寄宿学校時代の親友から兄を紹介される。ルイス・エステベス・パラディ侯爵はフランスとスペインの混血で、極楽島の海賊と呼ばれ、結婚を忌み嫌う社交界のスターだという。彼女は親友ともども、ルイスが所有する極楽島へ招待されるが、途中、彼は一行から離れ、リネットを秘密の小島に連れ出す。隠れて休むときに使うというその島で、彼は夜を過ごそうと誘い…。
地味で堅実な姉と、美人でわがままな妹──姉のアンジェリーナは母亡きあと、家事いっさいを引き受け、牧師の父の手伝いもしている。一方、妹は家族を支えるどころか、あちこちでトラブルを起こしては、姉に後始末をさせていた。とはいえ、今度ばかりは酷すぎる。アンジェリーナは頭を抱えた。旅先で知り合った大富豪ヘリオスと成り行きで婚約したものの、別の男性に心変わりしたから婚約解消を伝えてきてほしい。妹がそう言って泣きついてきたのだ。早々にギリシアへ飛び、荒んだ様子のヘリオスに面会したアンジェリーナは、すぐに悟った。妹の身代
生まれてまもない赤ちゃんを置いて、姉が家を出ていった。両親もすでに亡く、キャロラインは途方に暮れながらも、ただひたすらその子に愛情をそそぎ、育てていた。6カ月後、子どもの父親の従兄弟だという、イタリア人大富豪ドメニコ・ヴィカーリが現れる。子どもの父親は亡くなったとドメニコは言い、キャロラインを母親と勘違いして、その子を引き取るから結婚しよう、と申し出た。真実を言えば、きっとこの子から引き離されるー悩んだ末、キャロラインは姉になりすまし、プロポーズを受け入れた。