著者 : マーリン・ラヴレース
グレースは大企業のCFOブレイクの屋敷で赤ん坊の世話をしている。実はその赤ん坊は、従姉の忘れ形見。ブレイクと従姉は短い間恋人同士だった。わけあってグレースは親族と名乗れずにナニーをつとめていたが、二人の関係を彼に知られてしまい、嘘をついていたことを問い質される。けれど、言えなかった。言えば彼を危険に晒すことになるから。グレースは悩んだ末、赤ん坊を慈しんで育ててほしいとだけ言い残し、悲しみに張り裂けそうな胸の内を隠して屋敷を去った。2週間後、彼女の家にブレイクが現れた。まさか赤ちゃんの身に…?「今日は君に提案があって来た」続く彼の言葉にグレースは絶句した。私をナニーではなく“妻”として屋敷に迎えたいですって?
アマルフィ海岸で突進してきた高級車にはねられそうになり、サブリナは崖から落ちて脚に怪我を負ってしまう。車を運転していたのは、イタリア公爵マルコ・カルヴェッティ。医師でもあるという彼は、歩くのもままならないサブリナを気遣い、怪我がよくなるまで自分の別荘に泊まるよう告げた。マルコの魅力と唐突な招待に戸惑うサブリナだったが、豪奢な屋敷に足を踏み入れると、奇妙なことに気づいた。別荘の使用人を始め、会う人がみな揃いも揃って、まるで幽霊でも見たかのように驚いた顔で彼女を見るのだ。サブリナがマルコの亡き妻に生き写しであることなど、彼女は知る由もない。ましてや、これがつらい恋の始まりだとは。
“世界で最もセクシーな男性10人”の第3位として雑誌で紹介された大富豪デヴォンを、サラはうっとりと見つめた。このカフェで落ち合ったのは、彼から突然連絡を受けたからだった。でも、いったいどんな用件かしら。いぶかしがるサラに彼は座るなり切りだした。「君の妹に家宝を盗まれた。これが証拠だ」差し出されたスマートフォンの動画には、妹の姿が。ああ、まさか。彼は、妹を守りたければ自分の婚約者役を演じるようサラに迫った。低俗な記事のおかげで失った取引相手の信用を回復するには、王家の末裔ーカルレンブルク大公妃の孫娘サラが適任なのだと言って。あまりにも話が一方的だわ。そう反論しようとした彼女をデヴォンはいきなり抱き寄せ、唇を奪って…?!