著者 : メラニー・ミルバーン
私は天国に行くのかしらー27歳の若さで?ハーパーは腹部の痛みに耐えかね、救急外来に駆け込んだ。そこで医師から告げられた診断に、驚愕する。激しい痛みは陣痛で、まもなく母親になるという。9カ月前、ハーパーは億万長者のジャックと熱い夜を過ごしたが、住む世界が違うと悟り、翌朝、彼の前から姿を消したのだった。ああ、気づかないうちに身ごもっていたなんて!頼れる人もおらず、仕方なくジャックに連絡すると、彼は出産に立ち会ったうえ、娘のための結婚を申し出て…。
エロディは最愛の人との挙式直前、教会から逃げ出した。花婿ーハンサムで完璧な大富豪リンカーンを置き去りにして。なぜなら彼に愛されていないと感じたから…。あれから7年。彼を忘れたくて仕事に打ち込んできたが、仕事で必要な資金の調達ができず頭を悩ませていたとき、謎の援助者から連絡が入った。一縷の望みをかけて会いに行くと、現れたのは誰あろうリンカーンだった!「結婚してほしいんだー」なんですって?エロディは耳を疑った。「余命いくばくもない母のために」
エルスペスは耳を疑った。双子の姉でモデルのエロディに、友人の結婚式のリハーサルでの代役を頼まれたからだ。いくらそっくりでも、私にはとても無理だわ!外交的な姉とは正反対で内気なうえ、ファーストキスでひどいアレルギー反応を起こして以来、恋愛も結婚も諦め、大好きな本をたくさん読める仕事を選んだ。でも、もしこれが新しい人生に一歩踏み出すチャンスだったら?スコットランドへ飛んだ彼女を待っていた、魅惑の黒髪の男性。裕福なプレイボーイで有名な、新郎の兄マックの厳しい視線に、エルスペスはなぜか息が止まりそうになってー。
シャーロットの働く美術館では、ギリシア彫刻展を控えていた。そのスポンサーが、まさかデイモン・ラトゥサキスだったとは!デイモンは、美しい容貌と巨万の富を持つギリシア人実業家で、かつてシャーロットに愛の手ほどきをしてくれた恋人だった。だが身に覚えのないことで責められ、別れたのだ。美術館主催のパーティの夜、二人は4年ぶりに再会する。父親と同じ目をした娘のことだけは、隠し通さなければー不安に震える彼女の緊張をよそに、デイモンは再び誘ってきた。高額の手当と引き換えに、愛人にならないか、と。
30歳の誕生日を目前に控えたアイヴィーは悩んでいた。奔放な母の影響で男性不信になり、心を閉ざしてきたけれど、このままでは愛も結婚も子どもも望めない。ふと兄の親友でプレイボーイの建築家、ルイの顔が浮かんだ。勇気を出して彼に純潔を捧げ、新たな一歩を踏みだせたら…。親友の妹の懇願をルイは訝りながらも受け入れ、別荘へ伴うと、一夜かぎりと約束して、アイヴィーを甘美な炎で包みこんだ。翌朝、ルイが目覚める前に彼女はうろたえ、逃げだしたー“本当は彼を愛しているのでしょう?”心の声に耳をふさいで。
15歳のその日まで、アルティは城に住む幸せな少女だった。だが悲劇的な事故で母を亡くしたことがトラウマとなって以来、人に会うことも、城の外に出ることもできなくなってしまった。10年後ー。城は朽ちかけ、財産も底をついたが、美しい女性に成長したアルティは、世界を知らないままだった。そんなとき、若きイタリア人富豪ルカ・フェランテッリが現れ、城を買い上げたから出ていくように、とアルティに告げたのだ。そんな…わたしはこの城を、出たくても出られないのに。青ざめる彼女にルカは続けた。「いやなら、僕の妻になるんだ」
アイラは旅先のシチリアで、ミステリアスな輝きを放つ瞳の、漆黒の髪のホテル王、ラファエル・アンジェリーリと出会った。彼に熱烈に惹かれ、夢のような2カ月が過ぎたときー妊娠に気づく。そしてラファエルの出張中、彼のヴィラを出た。彼に責任感から求婚されることを恐れ、一人で子供を産み育てると決めたから。アイラは故郷に戻り、ホテルの清掃係の職を得た。3カ月が経ったその日、スイートルームの清掃をしていると、ラファエルが現れた!「僕のベッドの脇で待つとは、どういう風の吹き回しかな?」
清掃サービスの仕事をしているレイラは、幼くして両親を亡くし、スコットランドの城で家政婦をする大おばに引き取られた。当主が亡くなり、城で遺品の片づけをしていると、現れたのは、新しい当主で世界的に有名な富豪ローガン。遺言で城を相続したものの、3カ月以内に結婚しなければ、弟に所有権が移ってしまうという。ギャンブル好きで遊び人の弟では借金返済のため城を売るのは確実ーだが愛を信じていない彼は結婚する気などさらさらない。そこでレイラに1年だけ形ばかりの妻になってくれと頼み…。
末の妹から婚約パーティの招待状が届き、ホリーは少し憂鬱だった。3人の妹たちはみなすてきな伴侶と巡り逢えたけれど、私にはウエディングドレスを着る日は訪れそうにない…。ところがある日、寝耳に水の婚約話が持ちあがる。なんと相手はロンドン一魅力的な独身富豪、ザック・ナイト。パーティで出会った彼は、女性を虜にしては飽きたら捨てる、悪名高きセクシーなプレイボーイだ。その彼がホリーに、かりそめの婚約者になってほしいと言うのだがー。冴えない私よりお似合いの女性は大勢いるはずよ。なのになぜ?
わたしの名前は…エミリア・メレンデス?自動車事故に遭い、昏睡から覚めた彼女を待っていたのは、過去2年の記憶の空白と、自分のものとは思えない人生だった。ベッドの傍らで彼女を見つめるセクシーな男性は夫だという。ハビエルと名乗るスペイン人の彼にはまったく覚えがないのに、その男らしさにエミリアは激しく心を揺さぶられた。自家用ジェットで彼の豪奢な邸宅が立つセビーリャへ飛ぶと、夫婦の寝室には確かに彼女の痕跡があるが、やはり思い出せない。それなのに、このベッドで他人同然の夫と眠るというの?恐れと、体に走った得体の知れない疼きに、エミリアはおののいた。
生活のために必死で働く23歳のアビーは愛も恋も知らない。空想でつくりあげた“完璧な婚約者”との恋愛話を憧れのまま周りに話していると、思いがけず慈善舞踏会へ招かれることに。婚約者の同伴は必須…困ったわ、どうすればいいの?ふとアビーの脳裏に、親友の兄で富豪のルークの姿が浮かんだ。慈善の目的だと彼に頼みこみ、練習のためキスを試してみると、アビーの体に熱い震えが走った。いったいこれはなに?陶然とする彼女をよそにルークは涼しい顔で念を押した。「今夜一夜かぎり、2時間が過ぎたら終わりだぞ、シンデレラ」
イジーはあと24時間で遺産を失う窮地に追いこまれていた。3カ月以内に結婚すること、それが亡父の示した相続条件だった。刻限まであとわずか。このままでは路頭に迷うことになる…。そこへ突然、亡父と因縁のあるイタリア富豪アンドレアが現れ、驚きの提案をする。6カ月間だけ名目上の夫婦にならないかと。十代のころ彼に拒絶された苦い過去があるイジーは躊躇した。愛のない結婚なんてあまりに悲しすぎるわ。でも断れば、すべてを失ってしまう。彼女は承諾するほかなかった。ふたたび“偽りの夫”に恋してしまう危険に怯えながら。
ニーナのもとに、ある日、ゴージャスな男性が訪ねてきた。大富豪マルチェッロ家の長男マルク!ああ、ついに彼がやってきた。数カ月前、双子の妹が未婚のままマルクの弟アンドレの子を産んだ。だがアンドレは事故死。お金目当てだった妹は育児を放棄し、ニーナがやむなく姪を育てることにしたのだ。腹立ちまぎれに妹がマルチェッロ家に送りつけた写真を見て、マルクは弟の子だと確信したのだという。「君のように素行の悪い女に僕の姪を任せるわけにはいかない」私を妹と間違えているのね。でも、事実を話せば姪を奪われてしまう。仕方なく妹のふりを続けるニーナに、マルクはなんと結婚を申し込んだ!
おとぎ話のようにロマンチックな結婚を夢見るエミリーは、ひと月前、親友の結婚式で出会ったばかりの大富豪ルーカスと熱に浮かされたように激しく甘美な一夜を過ごした。そして今、すべて陽性の妊娠検査薬7本を前に途方に暮れている。恋に落ちたのは私だけ。彼は連絡先も教えてくれなかった…。そのとき突然、着信音が鳴り響いた。電話の主はルーカスだった。エミリーは事実を告げられないまま食事の誘いに応じるが、予定より早く迎えに来た彼に妊娠検査薬を見られてしまう。彼は超然とした態度で言った。「期間限定で結婚しよう」
ジュリアス・レーヴェンズデールは堅実な人生を歩んできた。世間の耳目を集める名門一族の御曹司で会社経営もこなす傍ら、本来の天体物理学者としての研究にも余念がない。だがそんな多忙ながらも優雅な生活は、ある日を境に一変する。家政婦見習いのホリーが来てからだ。いや、見習いと呼べるのか?彼女は「家事は大嫌い」と言い放ってジュリアスを唖然とさせ、家政婦の手伝いもせずに、勝手に庭のプールで泳ぐ始末なのだ。このまま見過ごしてはホリーのためにもならない。怒った彼は彼女に迫るが、それが予想外の反応を引き起こし…。
大切なものを失うのはこれで二度目だ。イザベルの心は折れかけていた。また彼に奪われるの?スペンサー・チャッツフィールドーホテル王一族の息子で、女性の噂が絶えない彼に、イザベルは身も心も捧げた。だがすぐに弄ばれただけだと気づき、自ら別れを告げたのだ。彼の子を身ごもっていたというのに…。あれから10年。父のホテルを継承するというイザベルの夢を、スペンサーはやすやすと横取りしていった。しかも彼が新しいボス。その命令に背くことは許されない…。
テディは夫になったばかりのアレハンドロとともに、アルゼンチンへと向かう自家用ジェット機の中にいた。亡き父の理不尽な遺言状さえなければ、こうはならなかった。父はテディが屋敷を相続する条件に結婚を義務づけ、その相手にアレハンドロを指名していたのだ。アレハンドロは南米で一、二を争う辣腕実業家で非情なプレイボーイ。彼は結婚によってテディの父親にかつて奪われた土地を取り戻せる。テディは半年で別れる約束で、期限つきの結婚に同意した。イギリスの田舎育ちの娘など彼には問題外。でも望みを叶えたければ、この人と6カ月暮らすしかない。それがどんなにつらい責め苦でも…。
賭に負けてスコットランドの古城を失ったと父から知らされ、アンジェリークはショックを受けた。相手が長年の宿敵、レミー・カッファレッリだと聞けばなおさらだ。あの城は亡き母の大切な生家。絶対に取り戻さなければ。アンジェリークはレミーが滞在するダービリ首長国に向かい、直談判するため、彼のホテルの部屋に忍び込んで待つことにした。だがこれが、思いがけない展開を生んでしまうーこの国では独身男女が二人きりで会うことは禁じられていたのだ。役人に見つかって連行され、動揺するアンジェリークの耳に、レミーの予想外の言葉が聞こえた。「彼女は僕の婚約者だ!」
男性の患者だけは絶対に引き受けないー理学療法士のリリーはそう心に誓ってきた。過去の悲しい経験のせいで男性恐怖症になってしまったのだ。だが経済的事情から、どうしても引き受けざるをえないことになる。患者は大富豪一族の次男、ラウル・カッファレッリ。事故で大怪我を負ったラウルは自暴自棄で古城に引きこもり、他人をよせつけないのだという。案の定、治療のために訪れたリリーにも侮辱的な言葉を投げ、不遜な態度をみせるラウルだったが、なぜか追い返しはしなかった。閉ざされていた彼の心に、かすかな変化が起きようとしていた…。