著者 : モルガン・スポルテス
天は語らず天は語らず
徳高き神父フェレイラは、なぜ棄教したのか?沢野忠庵と名を変え、キリシタン弾圧に加わり、キリスト教を批判する書物まで著した裏切り者、コラボ(対敵協力者)。しかしその背教は、既に三〇年前、日本の地を踏んだ時から始まっていたのではなかったか?キリスト教を錦の御旗に植民地支配を推し進める列強の狭間で、高徳の神父の心に生じた「教えへの迷い」。悪名高い「転びバテレン」の人生と心象に分け入り、史実の行間を有機的につなぎながら、サスペンスフルかつ自由闊達に描く、歴史フィクション。
ゾルゲゾルゲ
1938年、寅年、昭和の暗い谷間…ドイツ第三帝国と同盟を結んでいる日本、一人の男が東京を駆けめぐる。ホテルのバーに立ち寄り、女を口説き、役人を買収する。スポーツ選手もどきの体、アルコール中毒寸前のあやうい動作、不眠でやつれた相貌ー「出口なし」のスパイーゾルゲ。過酷な諜報活動と粛清の恐怖に苛まれながら、狂気の瀬戸際を疾走するその姿を、激動の歴史の弦に共鳴し、ときに逆らいながら、はりつめた文体で描く歴史小説。
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