著者 : モーリーン・チャイルド
「妻としてきみを雇いたい」偶然出会った男性の言葉に、ジャニーンは目をまるくした。彼の名はマックスーロンドンから来たハンサムで裕福な実業家だ。復縁を執拗に求める不実な元妻を追い払うため、ジャニーンに新しい妻のふりをしてほしいのだという。報酬として提示されたのは、途方もない大金だ。ジャニーンが経済的に困っていることを知ったマックスは、臨時の妻役として彼女に白羽の矢を立てたらしい。悩んだあげく、ジャニーンはマックスの提案を受け入れた。愛を信じない男性への報われぬ想いに苦しむはめになるとも知らず。
1年あまり前、長身で逞しい企業家ジャスティンが、父のホテルを買いたいと訪ねてきた瞬間、セイディはひと目で恋におちた。夢のような2週間が過ぎ、ある夜、想いがあふれ出し、ささやいた。「愛しているわ」と。翌朝、彼は姿を消していた…。やがて妊娠に気づいた彼女は、生まれた赤ん坊をイーサンと名づけた。自分をごみのように捨てたジャスティンが財力に物を言わせ、息子を取り上げるかもしれない。だから息子の存在は秘密だった。でも父が倒れて高額な手術費が必要な今、彼に頼るしか道はない。連絡を受け即座に現れた彼は、セイディを鋭い口調で問いただす。「君は何か僕に隠していることがあるのかー?」
ペニーは旅先でとてつもなくセクシーな富豪コルトと、熱い恋におちた。めくるめく1週間。最終日、二人は運命に導かれるように結婚したが、翌朝、別人のような冷たい顔で彼は言った。「僕は結婚に向いてない」そして一方的に離婚を告げると、コルトは去っていったのだった。人生で初めての恋の代償は大きかったーペニーは、妊娠していた。1年半後、女手一つで双子を育てていた彼女は、体調を崩して入院した。すると、ペニーが子育てと治療費の工面に困っていると知ったコルトが、入院先に突然、相も変わらぬまばゆいほど魅力的な姿を現した!彼に妊娠を知らせなかったのは、親権を要求されたら勝ち目がないから。命よりも大切な子供たちを、絶対に奪われるわけにはいかない…。
実業家アダムのオフィスにある日、6カ月の赤ん坊を連れた女が現れた。彼の亡き弟の子だとの鑑定書を見せ、5万ドルで買ってほしいという。不届きな女を追い返してやろうと、アダムは金を払い、甥を引き取った。そうなると至急子守りが必要だー思いつくのはただ一人、弟の不義が原因で2年前に離婚した、かつての義妹シエナ。一方、突然目の前に現れたアダムの要求に、シエナはとまどった。縁を切った元夫の子とはいえ、不憫な赤ちゃんを助けてあげたいけれど、義理の兄だったアダムの大邸宅で一緒に暮らすなんて。彼がそばにいるだけで、体が熱くなる自分がシエナは怖かった。ずっと心の奥底に隠してきた彼への想いを、知られてしまいそうで…。
セイディが社長のイーサンに想いを寄せ始めて、はや5年。彼のアシスタントとして、未熟ながらもがんばってきたけれど、もう実らぬ片思いはあきらめ、新しい恋を探すときなのかもしれない。セイディは涙を隠して退職を申し出るが、イーサンから思いがけない懇願をされて、心が揺れた。彼の親友が急死し、遺児を預かることになって困っていて、ナニーが見つかるまで、同居して世話をしてほしいというのだ。イーサンと過ごす、最初で最後のつかの間の蜜月。ほんの一瞬でもいい。私を女性として見てくれたら…。5年間の想いを胸に、セイディは心を決めた。
ケイトはこれから、未婚の母になろうとしていた。5カ月前、仕事で知り合ったセクシーな大富豪ショーンに迫られ、その魅力に屈して、いまだかつてない情熱と恍惚の一夜を過ごした。亡き夫への罪悪感から、新たな恋はしないと決めていたのに…。それに、ショーンは後腐れのない関係を好んだ。だから妊娠に気づいたとき、ケイトは覚悟を決めたのだー家庭など望まない彼には告げず、独りでこの子を育てていこう、と。ところがある日、他州に暮らすショーンがケイトの自宅に突然現れ、氷の瞳で彼女の腹のふくらみを見据えると、憤りの言葉を投げつけた!「妊娠しているのか?何かの冗談じゃないだろうな?」
リタは長身で精悍なジャックと出逢った瞬間、熱い恋におちた。夢のような1週間はまたたく間に過ぎ、彼は必ず手紙を書くと言い残して去っていった。だが約束は破られ、やがてリタは妊娠に気づく。私は捨てられたのだ。リタは悲嘆に暮れながらも、ひとりで赤ん坊を産む決意をした。半年後、リタは世界的な船会社のCEOとなった彼と運命の再会を果たす。しかし、ジャックは人が変わったような冷酷さで、子供が生まれるまでという期限つきの結婚をリタに承諾させてしまう。そして、寝室の冷たいベッドに横たわる孤独な夜に耐えていたある夜…。
亡き親友の兄で大富豪のリードのもとを訪れたライラは、黒髪と明るい緑色の瞳にたちまち心を奪われてしまった。だまされてはだめ。外見はゴージャスでも、彼の本性は傲慢で冷酷。妹がお金に困っていたときも、助けようとしなかったのだから。「この子はあなたのものよ」ライラは胸の痛みをこらえ、腕の中の赤ん坊ー親友の忘れ形見を伯父にあたるリードに引き渡した。そして、ナニーが見つかるまでの約束で子供の世話を引き受ける。リードの家でともに暮らすうちに、ライラは冷たい仮面の下の本当の彼を知り、惹かれる気持ちを抑えられなくなる。だが、彼が求めているのはベッドをともにしてくれるナニーで…。
火事でアパートメントを焼け出され、幼い娘とふたり、住む場所に困っていたジョイに、住み込みの家政婦の話が舞い込んできた。雇い主のサムは、大富豪だというのにもう5年も山にこもりきりだと聞き、山の上にひっそりと立つ彼の邸宅へおそるおそる向かったジョイ。現れたのは、どきりとするほどハンサムでセクシーな男性だった。彼みたいな人が、なぜ世捨て人のような生活をしているのかしら?サムはジョイを見るなり、君は若すぎると言って不機嫌になり、幼いホリーに気づくと傷ついたような顔をした。ジョイの懇願にしぶしぶ雇うと決めてはくれたものの、彼は来る日も来る日も、煩わしげにジョイを遠ざけるばかりで…。
秘書として休みもなく働き、ボスに尽くしてきたアンディは、その日ついに覚悟を決めた。「辞めるわ。今日が最後よ」彼女はハンサムで魅力的な大富豪の社長、マックに恋していた。このまま想いに気づいてもらえず、オフィスの備品も同然に扱われ続けるのは耐えられない。永遠に会社を去ろう。愛する男性のもとを…。「さようなら」だが、傲慢で自信家のマックは目をぎらつかせて告げる。「きみを手放すつもりはない。きっときみは考え直すだろう」説得の場はいつしか親密な空気に包まれ、二人は体を重ねる。その夜、アンディが授かったものは…。
自宅の玄関ベルが鳴ってドアを開けたとき、イザベルの心臓は止まった。ウェスー二度と会うはずのない人!5年前、彼の経営する会社に入ったイザベルは一緒に働くうち、想いを抑えきれなくなり、誘われるままベッドをともにした。だが甘美なときは終わりを告げ、彼にそっけなく言われてしまう。“ぼくたちの関係は一時的なもので、先はない”深く傷ついたイザベルは会社をやめて故郷に戻ると、ウェスとの間に授かった子を密かに産み、ひとりで育ててきたのだった。そんな彼女に対し、やっと真実を突きとめた彼は烈火のごとく怒り、尊大に宣言する。「ぼくは自分の要求を通すまでここを動かない」
アイルランドの美しい古城のホテルで働くアーニャは、ホテルを買収した新オーナーのブレイディに呼びだされ、カリフォルニアを訪れた。出迎えにも来ないブレイディに腹をたてるが、やがて現れた彼をひと目見るなり、その野性的な魅力に圧倒されてしまった。人を寄せつけない謎めいたまなざしーアーニャは魔法にかかったように、彼に誘われるままベッドをともにした。だがその直後、ブレイディの言葉に凍りつく。「昇給は約束する。もうアイルランドに帰るといい」2ヵ月後…アーニャのおなかには新しい命が宿っていた。