著者 : リチャード・ハーマン
アメリカ合衆国に初の女性大統領が誕生ー。だが、そのマドリン・ターナーを待っていたのは、東シナ海の制圧を目論む中国の脅威だった。台湾を併合した中国は、勢いに乗じて久米島を手中に収める。風雲急を告げる米軍嘉手納基地。軍部強硬派とワシントン守旧派に包囲されたターナーは、旧知のロバート・ベンダー中将に支えられ、危機に挑む。全面核戦争はいよいよ不可避なのか。
米軍嘉手納基地は緊張の極に達していた。中国が占領する久米島から飛来するJ-8とSu-27フランカー。非戦闘員の引き揚げ作業中の大惨事。ついに勃発した日中海戦。そして、中国は小型の核を爆発させ、ついに最終的なメッセージを送ってきた。決断を迫られたターナー大統領は、切り札のベンダー中将に手紙を託し、北京に特派した…。全面核戦争を目前に控えた息詰まる駆引きと終幕。
中東は未曾有の危機に瀕していた。シリアはイラクと連合し、イスラエル侵攻を企む。イラクは大量破壊兵器を使用する機会を窺っていた。一方、対アラブ強硬論者のイスラエル首相は、この脅威に核攻撃で応える決意を固める。虚々実々のパワー・ゲームを経て、戦端は開かれた。双方の最終兵器を同時に破壊せよー。米空軍第45航空団の究極のミッションは、「三位一体(トリニティ)」と命名された。
南太平洋上を漂うヨットの中で、米上院議員の娘が誘拐された。敵は麻薬王として知られるタイの将軍。その軍隊の規模は。人質は無事に救出できるのか。しかも次期大統領の椅子を狙う上院議員がこの機会を逆手にとって、現職大統領の失墜をもくろんでいる。第二次大戦中、空軍パイロットとしてめざましい活躍をした現米大統領の決断を迫られる場面だった。
作戦名「軍閥」(ウォーロード)。その目的は、イスラム人民軍との死闘の末に囚われの身となり、イランに残された第45航空団の捕虜約300名の救出だった。作戦を実行するアルファ任務部隊の指揮官はルパート・スタンセル中佐。自身の能力にいささか懐疑的な彼だが、その下にはあの頼もしい強者たちが帰ってきた。ジャック・ロック、“サンダー”・ブライアントらは荒鷲と化し、中東の空に雄々しく舞う。
イランの最高指導者が死亡し、中東情勢は緊迫の極に陥った。合衆国空軍第45戦術戦闘航空団は急遽、イラン・イラク国境付近のアサンヤ岬基地に配備される。聖戦を誓う強力なイスラム人民軍との絶望的な攻防。F-4Eファントムの辣腕パイロット、ジャック・ロック中尉の計画は〈狼作戦〉と命名されたー。情熱と確執、闘志と諦観の間で戦闘機に生命を賭した猛者たちの死闘を描く。