著者 : ルーシー・モンロー
エンリコが交通事故で意識不明ですって?知らせを受けたジャンナは車を飛ばし、すぐに病院へ駆けつけた。ジャンナにとって彼は、15歳から憧れ続けている大切な人。富豪となり美女と婚約してしまった今でも想いは変わらぬままだ。ジャンナはその日から不眠不休でエンリコに付き添い、祈り続けた。その甲斐あってか5日後、奇跡が起きる。彼の意識が戻ったのだ。だが、その口から出た言葉は耳を疑うような冷たいものだった。「僕の婚約者が見舞いに来るから邪魔をしないでくれ」追い打ちをかけるように医師からエンリコの下半身に麻痺が残ると聞かされ、ジャンナの張りつめた心は粉々に砕け散った。
パイパーは、ギリシア人実業家ゼフィールと親しい関係にある。ただし、二人が分かち合うのはベッドだけーそこに愛はないが、独身主義者のゼフィールは充分満足らしい。それなのに彼が「きみ以外の女とは寝ていない」などと言うので、パイパーは近ごろ、割り切れない想いを抱きはじめていた。でも危険を冒して愛を告白し、彼との友情を失いたくはない。想いを気取られまいと心に鍵をかけたパイパーは、「避妊具なしで愛し合いたい」と言われたときも拒めなかった。大きな代償を支払うことになるのはわかっていたはずなのに…。そう、パイパーは妊娠したのだ。愛してはくれない男性の子を。
弟の学費を工面できずに苦悩していたオードリーは、仕事の休憩中に上級秘書たちの会話を偶然耳にして唖然とした。若くして巨万の富を築き上げたヴィンチェンツォ・トマジーエキゾチックな黒髪、地中海のように美しい青色の瞳、そして映画スターのように見事な体躯を持つ完全無欠のCEOが、義理の子供のため、母親役を務める女性を雇おうとしているなんて。ずっと秘かに憧れていた彼の元で、幼い子供たちの世話をする…それで弟が進学できるのなら、もう私が欲しいものなど何もないわ。ところが面接に臨んだオードリーに、ヴィンチェンツォは言った。「母親だけじゃない。僕の妻を演じるのも仕事だー昼夜を問わずね」
真夏の太陽に誘われ、3つの熱き愛が生まれた。人気作家が贈る、3大ラテン系ヒーローの熱愛名作選集!大学を卒業したフェーベはペトロニデス家の長男との婚約を解消する決意を胸に、ギリシアへ帰国した。そもそも婚約は家族が決めたもので、本当は幼い頃からずっと、次男スピロスを愛していたから。だが、そんなフェーベの想いは黒い運命に翻弄されることにー父の会社が傾き、婚約者の援助がなければ倒産する事態に陥ってしまったのだ!(『憂鬱なフィアンセ』)。ジャスティーンは友人の結婚式でベネチアを訪れ、魅力的なイタリア人男性のウインクに悩殺される。翌日、不注意で運河に落ちそうになった彼女を救ったのは、思いもかけない人物ー昨日から脳裏を離れないウインクの男性リカルドだった。偶然にも、彼が友人の知り合いだったことに運命を感じながらも、愛に臆病なジャスティーンは…(『愛はベネチアで』)。生き別れた母を捜すため、そして政略結婚から逃れるためにスペインへ来たレイチェル。所持金が底を尽き困り果てた彼女は、住み込みの臨時秘書の仕事を見つけた。豪華な城に住む雇い主ルイスは荘園領主のように傲慢な実業家。威圧的な態度に辟易する一方、謎めいた陰に惹かれた彼女は、やがて知るべきでなかった彼の秘密を知ってしまう(『それぞれの秘密』)。