著者 : ルーシー・モンロー
弟の学費を工面できずに苦悩していたオードリーはある日、仕事の休憩中に上級秘書たちの会話を偶然耳にしてしまう。若くして巨万の富を築き上げたCEOのヴィンチェンツォが、義理の子供のため、母親役を務める女性を雇おうとしている、ですって?エキゾチックな黒髪、地中海のように美しいブルーの瞳、そして映画スターのように見事なスタイルの彼が?ずっと秘かに憧れる男性のもとで、幼い子供の世話をする。それで弟が進学できるのなら、ほかに欲しいものなんて何もないわ。ところが面接の場で、ヴィンチェンツォが驚きの言葉を口にする!「母親になるということは、僕の妻になるということだー昼も、夜も」
嘘でしょう?エンリコが交通事故で意識不明だなんて…。矢も楯もたまらず、ジャンナはすぐに病院へ駆けつけた。15歳で出会ったときから、ずっと彼に恋い焦がれてきた。子ども扱いされ、相手にされないまま時が過ぎ、今や富豪となったエンリコは美女と婚約したと聞く。それでもジャンナは病床に付き添い、必死に祈り続けた。5日後。奇跡が起き、エンリコの意識が戻った。だが医者は冷たく宣告するー下半身に麻痺が残るというのだ。婚約者は早々に見切って去り、呆然とするエンリコを前に、ジャンナは誓った。たとえ愛されなくても彼を支え続けようと。
里親に育てられた貧しいマギーは、住み込みの家政婦をしながら大学生活を送っていた。雇主は魅力的な大学院生のトム。マギーは密かに彼に恋していたが、そんな想いもつゆ知らず、トムは別の女性と結婚し、マギーは傷心のまま彼の家を出た。6年後。妻に先立たれたという小国のプリンスからの依頼で、マギーは彼のまだ幼い息子と娘のナニーとして働くことになった。ある夜、子供たちにベッドを占領されたマギーは仕方なく、まだ会ったこともない留守中のプリンスのベッドで寝ていた。真夜中、誰かが布団に潜り込んできた気配で飛び起きた彼女は、驚きで言葉を失う。トム!なぜ、あなたがここにいるの?
偶然手に入れた写真を見て、アンジェルは衝撃で言葉を失ったー婚約者であるゾーラ国皇太子ザーヒルと美女の密会写真だった。彼と婚約したのは13歳のとき。以来、密かに彼に恋い焦がれ、もう10年の月日が流れた。私にはキスさえしてくれないのに、美女に親密に寄り添いほほ笑む彼は、心から幸せそうだ。ザーヒルが私を選んだのは次期国王としての責務を果たすため。でも愛のない結婚なんて虚しいだけ。アンジェルは意を決して彼に婚約解消を申し出て、ひとつだけ条件をつけた。「お願い。ひと晩だけでいい、あなたの花嫁になりたいの」まさかその一夜で、運命の子を授かるとは思いもせずに。
ヴォリャルスはヨーロッパ一富裕と言われる王国。その国のゴージャスな皇太子マックスがジリアンの恋人だ。幸運にも見そめられ、たちまち恋に落ちて7カ月。今夜こそ彼にプロポーズされると、ジリアンは信じていた。ところが、熱いキスとベッドを堪能したあと告げられたのは、夢見ていた求婚の言葉ではなく、すげない別れの言葉だった!「世継ぎを産めない可能性のある女性とは結婚できない」悲嘆に暮れるジリアンを残して、マックスは去っていった。実はこのとき、奇跡的に小さな命を授かっていたとも知らずに。
「あの娘、救いようもなく引っ込み思案で平凡ね」嘲りながらささやかれる自分の噂話に、ホープは身をこわばらせた。いまどき珍しいほど内気な彼女には恋人の一人もいない。しかし、ひそかに憧れている男性ならいる。祖父の仕事仲間で実業家のシチリア富豪、ルチアーノだ。今夜は祖父が開いた大晦日のパーティ。もちろん彼も招かれている。夜も更け、やがて新年へのカウントダウンが始まった。恒例のキスでルチアーノが選んだ相手は、なんとホープだった!二人のキスは、新年を祝うにしてはあまりにも熱く甘かった。ある裏取り引きをもくろむ祖父がほくそえんで見ているとも知らず。
タラはかつて恋人に裏切られたあげく、根も葉もない噂を流され、ひどいバッシングを受けて、どん底の苦しみを味わった。以来、彼女は化粧をやめ、体のラインが出ない服を着て、男性を遠ざけて地味に慎ましく暮らすようになった。ところが、そんなタラに誘いをかけてくる男性が現れたーアンジェロ・ゴードン。タラの会社の経営者で気鋭の実業家だ。彼は時間をかけ、優しさと誠実さで彼女の凍った心を溶かし、結婚へとこぎつけた。やがてタラが妊娠。すべてが順調で、完璧に思われたとき、残酷な真実がタラの耳に飛びこんだ。嘘よ!愛する夫が最初から私を欺いていたなんて…。
ジェナはけっして叶うことのない片想いをしていた。親友が嫁いだミルス王国の国王のハンサムな弟、ドミトリ王子。彼は5歳も年下で、歴代の恋人は美女ばかり。そして何より、彼女は病気のため妊娠を望めないのだ。だが奇跡が起きた。突然ドミトリからディナーに誘われ、熱い誘惑に溺れて、ジェナは彼にすべてを捧げてしまう。翌朝、彼は一夜だけでは飽き足りないと、さらりと提案した。「結婚する気はないが、割りきった関係を続けないか?」切なすぎる。でも、そばにいられるなら…。ジェナは心を決めた。
遅すぎるプロポーズは虚しいだけー王子が欲しいのは息子だけなのだから。もうすぐ5歳になる息子を連れて街へ出かけたエマは愕然とした。5年半前、彼女を不用品のように捨てた相手がいたのだ。コンスタンチン!美女との噂が絶えないミルス王国の王子。1年付き合った末、彼は許婚がいるからと一方的に別れを告げた。その後妊娠に気づいたエマは、厳格な両親に家を追いだされ、強盗に全財産を奪われ、コンスタンチンには連絡すら拒否されて、住み込みで働きながら一人で必死に我が子を育ててきたのだった。「その子は僕の子だな?」こちらを睨みつけ、彼が詰め寄った。お願い、私の宝物を奪わないで。エマは息子を胸にかき抱いた。
過ちを犯した父のせいで国を追放されたナタリヤ。帰国の条件は、母国と緊密なミルス王国の王子と結婚すること。だが当の王子はナタリヤには興味がないと結婚を拒み、代わりに王子の兄、国王であるニコライが名乗りを上げた。彼こそナタリヤの初恋の人で、今も密かに憧れている相手ー5年前に最愛の妻を亡くして以来、浮いた噂一つなかったのに。戸惑う彼女にニコライは断言した。「君にはこの道しかない」私と結婚したがるのはなぜ?急いで世継ぎが必要だから?恋心を胸に秘め、彼女は愛されない花嫁になることを決めた。
ポリアナがギリシア大富豪アレクサンドロスと結婚して5年。第二子を身ごもり、傍目には幸せの絶頂にあるかに見えたが、異国から来た身分違いの花嫁への風当たりは想像以上に強かった。“ポリー”という昔からの愛称は、義母の「下品」のひと言で禁じられて以降“アナ”に替えられ、兄の結婚に猛反対の義妹は氷の刃のような嫌味と視線でポリアナを苦しめた。どんなにがんばっても、私は完璧な富豪の妻にはなれないの?ずっと抑えてきた想いを多忙な夫にぶつけてしまった翌朝、ポリアナは夫からの思いがけない贈り物を目にして…。
留学先からギリシャに帰国したフェーベは、親が決めたペトロニデス家の長男との婚約を解消しようと心に決めていた。本当は次男スピロスのことを愛していたから。だが、その愛が許されない状況に陥る。婚約者の援助なしには、父の会社は倒産するしかなく…(『憂鬱なフィアンセ』)。3年間育てた、我が子同然のマックスが奪われてしまう!養育係のフレイアは愕然とした。母親の死後、父親ラフェが現れ、今まで目もくれなかった息子をスペインへ連れていくという。噂どおり薄情で冷酷そうな彼を見て、フレイアは一緒についていく決心をした!(『月夜の過ち』)。社長秘書ベニーはボスのホルトに恋していた。5年前に雇われた日から、ずっと。けれど、あくまでも部下として扱われる切なさに、ベニーは耐えきれなくなった。そんなとき、友人の勧めで新聞に恋人募集広告を出すことに。まさか、ホルトが応募してくるとは…(『秘書の告白』)。クレアは3年ぶりに元恋人キャルと職場で再会した。かつて同棲していたが、ある日突然、キャルは別れを告げ、姿を消した。それが今、社長となって経営を立て直しに戻ってきたという。クレアはまだ愛の痛みを引きずっているのに、キャルは冷たく傲慢な態度で…(『愛の謎が解けたら』)。
もう自分を愛していない夫に、離婚を切り出した直後だった。トラックがイーデンたちの車に突っ込んできたのは覚えている。目覚めると、夫は重体で、記憶の全てを失っているという。すぐにも駆けつけたかったが、流産しかかっていたイーデンは病室に拘束されて、3日間、夫のもとに行けなかった。すると夫のアリスティドはイーデンを悪妻と信じ込んだのだ。ところが退院し、家に戻ると夫は腕を回して彼女を引き寄せた。私に興味がないはずなのになぜ?戸惑うイーデンに唇を重ね、夫は欲望に濡れた瞳で求めてきた。「妻なら当然の役目だろう」
サルバトーレを愛し、エリーザは彼の子を身ごもった。だが、頑なに自分の子だと信じようとしなかったサルバトーレに、エリーザは傷つき、やがて小さな命を失って彼から去ったのだ。1年後、宝石店で働くエリーザをサルバトーレが訪ねてくる。エリーザの店ではさる王家の王冠用宝玉を扱っているが、彼の経営するセキュリティ会社に護衛の依頼があったという。現れた彼は、君を完全に守るためには結婚する必要がある、と。それは不埒な要求だった。いまも充分すぎるほどセクシーな彼に、ひとかけらの愛もないことを、エリーザはもう知っているから。
出会ったばかりの男性とデートを楽しみ、おまけに一夜までともにするなんて、いったい私はどうしてしまったの?ランディは高鳴る胸に手を当て、自分をたしなめた。5年前の不幸な事故以来、人を信じられなくなり、住居も名前も変え、男性はおろか家族とも距離を置いてきた。だが、スペイン人のハンサムな富豪バジリオ・ペレスは、ランディの心を瞬時に開かせる特別な魔法を知っていたらしい。やがて彼女はバジリオを運命の白い騎士と信じ、愛し始める。彼に手が届くことはない。これは実らぬ恋だと知りながら…。
妊娠したことに気づいてアレクサンドラは愕然とした。ギリシア人大富豪ディミトリに、確かにヴァージンを捧げたが、いったいどうして?なによりも彼に知らせなくては。ところがディミトリからは、いきなり別れを切り出される。しかも、ほかの女性と結婚するのだという。「妊娠したの。あなたの子よ…」わななく唇で告げるアレクサンドラに、冷ややかな一瞥をくれ、彼は、お腹の子供が僕の子であるはずがない、きみはほかの男と寝ていたのだろう、と決めつけた。
仕事中に呼ばれたケイラは、人生最大のショックを受けた。社長のアンドレアスが結婚して家族をつくるというのだ。なぜその相手が、知り合って8年、彼を愛してきた私じゃないの?それはきっと私が、里親育ちの“雑種”だからだ。悲しみと屈辱のあまり、ケイラは無断で休暇をとって旅に出た。するとアンドレアスは会社を放り出し、彼女を追いかけてきた。「君は僕の人生の一部だ。結婚してもその事実は変わらない!」アンドレアスにとって、妻の横に私がいるのは当然なのだ。別の女性を選んだ彼を見るなんて、私には拷問でしかないのに。
エリーがギリシア生まれの実業家サンドルと交際を始めて3カ月がたつ。彼はデートの最後に官能的なおやすみのキスをするものの、なぜかそれ以上の関係に進もうとしない。ところが、ある夜、最高級レストランでのディナーのあとで、ばらの花束と指輪を渡され、唐突にプロポーズされた。“愛している”という言葉もないままに。サンドルはエリーの父と仕事上の取り引きがある。彼が本当に求めているのは私自身?それとも取引先の娘という立場?エリーは休暇先のバルセロナで熟考の末、サンドルとの結婚を決心する。帰国後、烈火のごとく激怒した彼と会うことになるとも知らず。
サヴァナはギリシア人の夫に嫁いだが、結婚生活は散々だった。夫は自らに問題があることを棚に上げて息子が生まれないと責め、何人もの愛人を作ったあげく、そのうちの一人と事故死した。亡くなったその女性は、よりにもよって夫の従兄の妻ーギリシアでも名高い大富豪レアンドロスの妊娠中の妻だった。かつてレアンドロスはあるパーティで出会ったサヴァナに、まさか従弟の妻とは知らず一方的にキスをしたことがある。恐ろしくハンサムな彼は、冷たくサヴァナを見据えると、妻と跡継ぎを失った責任を負うよう迫った。「君には、僕と結婚して、僕の息子を産んでもらう」