著者 : レイモンド・チャンドラー
調査対象の女性、そして消えた死体の謎…。緻密な構造、巧みなプロットとさりげなく埋め込まれた伏線の数々。フィリップ・マーロウの生き方を確かめたい。チャンドラー最後の長編を新訳でお届けします。より具体的に作品を読んでもらうために、架空の町エスメラルダの地図やホテルの見取り図などの挿し絵、そして物語の時系列表が掲載されています。
「本当に賢い人間は自分以外誰も騙さない」 生きづらい時代だからこそ、 フィリップ・マーロウの誠実な生き方が身にしみる。 ハードボイルド不朽の名作を新訳でお届けします。 ===== 「チャンドラーの文章には特徴があり、描写が細かく、読むと映画の一シーンを見るようにその情景が彷彿としてくる。その一方、記述を省くことがままある。つまり文章によって極端な粗密があるのだ。だから粗の部分をそのまま訳しても、ときとして意味不明になる。これが訳者として頭の痛いところだ。そこで本訳ではそのような場合、原文に一言加えて意味を明瞭した、補助線だ。」(「訳者あとがき」より) ◉本訳には、より楽しく作品を読んでもらうために、ロスアンジェルスの地図や登場人物たちの邸宅の見取り図など、数点の挿し絵が入っています。 主な登場人物 参考地図 ザ・ロング・グッドバイ 訳者あとがき
「聞こえているのかね?私はこう言ったんだ。こちらはクライド・アムニー、弁護士だと」-午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。見知らぬ弁護士の高圧的な口調に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。しかし、女には不審な男がぴったりとまとわりつき…。“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ第七作。
私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の社長から行方知れずの妻の安否を確認してほしいと頼まれる。妻が最後に滞在していた湖畔の町を訪れるが、そこでは別の女の死体が見つかるのだった。マーロウが探している女と何か関係が? 旧題『湖中の女』新訳版
私立探偵フィリップ・マーロウは高名な弁護士からある若い女の尾行を依頼された。この仕事になにかきな臭いものを感じたマーロウは、弁護士の意向に背き、女に接近していく。新訳シリーズ第6弾
私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いにもどこか裏がありそうな気配だ。マーロウは、リンダの女友だちや金貨の所在を尋ねてきた古銭商に当たるところから調査を始める。が、彼の行く手には脅迫と嘘、そして死体が待ち受けていたー『高い窓』の新訳版。
「あなたはとことん見下げ果てた人間です」私は二十ドルぶんの通貨を、デスクの向こう側に少し押し出した。「君は二十ドルぶん、彼のことを案じていた。しかし何を案じているのか、もうひとつよくわからない」行方不明の兄オリンを探してほしいー私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、20ドルを握りしめてこう言った。いわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受けることとなったマーロウ。しかし、調査を開始した彼の行く先々で、アイスピックでひと刺しされた死体が!謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う…。村上春樹が「愛おしい」作品と呼び、翻訳を熱望した『かわいい女』、ついに半世紀ぶりの新訳なる。