著者 : ローレンス・ブロック
スカダー・シリーズ終幕 父と母、幼い弟の死。警官時代の相棒との逸話。 はじめて犯罪者を射殺した日。復讐者との因縁。 そして少女を死なせてしまったあの日ーー。 記憶を探りながら諦念を交え静かに語る 最後のマット・スカダー。 死は、生きている者たちにどんな影響を及ぼすのか。弟の死は、スカダーの父と母を変えてしまったという。エストレリータの死はスカダーを破壊した。スカダー・シリーズの中核には「死」がつねにあった。スカダー・シリーズの題名のほとんどは「死者」や「墓場」といった「死」と直結する言葉を含んでいる。死という喪失は、このシリーズの最大のテーマだった。本書もまた例外ではない。 ーーーーーーーーー霜月 蒼(ミステリー評論家)
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作家ローレンス・ブロックは頭を悩ませていたーエドワード・ホッパーの絵から紡いだアンソロジー『短編画廊』の第2弾を計画しているのだが、いったい今度は誰の絵をモチーフにすべきか。思い悩んだ末、ブロックはある考えにたどり着く。何もひとりの画家でなくていい。今度は作家たちに、好きに名画を選んでもらおう。かくして、ジェフリー・ディーヴァーはラスコー洞窟壁画を。S.J.ローザンは葛飾北斎を。リー・チャイルドはルノワール、ジョイス・キャロル・オーツはバルテュス…といった具合に、今回も個性豊かなアートから物語が生まれ、新たなる“芸術×文学”の短編集が完成する。名だたる作家17人による文豪ギャラリー第2弾。
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米国を代表する名画家、エドワード・ホッパー(1882-1967)。作家ローレンス・ブロックは、ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っていること」を強く示唆していると語り、ホッパーの絵から物語を紡ぐこの短編集を考えついた。彼の呼びかけに集まったのは、スティーヴン・キング、ジェフリー・ディーヴァー、マイクル・コナリー、リー・チャイルド…といった錚々たる顔ぶれ。各々の個性を遺憾なく発揮した華麗なる文豪ギャラリーが、ここに幕を開けたー。2017年アンソニー賞Anthology部門最終候補。2017年MWA賞受賞(L・ブロック作『オートマットの秋』)。
「ALLB」と記されたマニラフォルダーに包まれていたのは、フィッツジェラルドの最初の手書き原稿。匿名と思しきミスター・スミスに依頼され、難なく盗み出した泥棒探偵バーニイ・ローデンバー。第二の依頼もまたフィッツジェラルド絡みだった。そんな中、東92丁目で老婦人殺害事件が発生し、刑事のレイに呼び出されたバーニイが真相を追及する羽目にー。小粋な会話が心地いい円熟のシリーズ最終巻。
ルイジアナ州ニューオーリンズ。殺し屋を引退したケラーは結婚し、子供もできてすっかり良き市民になっていた。新しい仕事のリフォーム事業も、好景気で順調だった。ところが、サブプライムローン問題によってバブルがはじけ、一気に失業状態に。そんなところへ、身を潜めていたドットより突然電話があり、殺しの依頼が舞い込んだ…(『ケラー・イン・ダラス』)。ほかに、数年ぶりに訪れた懐かしいニューヨークを異邦人の眼で見ることにとまどう『ケラーの帰郷』などを収める連作短篇集。
恋人に捨てられ、傷ついたエリザベス。そんな彼女をやさしく受けとめてくれたのは、NYのカフェのオーナー・ジェレミーと、彼が毎日作るのにいつも売れのこるブルーベリーパイ。すこしずつ2人の心が近づいてきたある日、エリザベスは思う。新しい恋をはじめるまえに、回り道をしよう、と。NYから遠く離れた土地で、エリザベスが出会う、さまざまな愛の形…名匠ウォン・カーウァイ監督が、ベストセラー作家ローレンス・ブロックと作りあげた、切なくも幸せなラヴストーリー。
ーシルヴィアの悪夢は現実のものとなった。将来を約束していた恋人が溺死したのだ。そのときからだった。否定しようのない霊能力が発揮されはじめたのは…(「頭痛と悪夢」)。-’98年度MWA賞短編部門候補作「ダヴィデを探して」を含むスカダーもの3編のほか、軽妙なタッチで読者を楽しませてくれる泥棒ローデンバーものなど13編を収録。作品の幅の広さと、変化に富むシリーズものに冴えをみせるブロックの、上質なオリジナル短編集。
こいつは時価五十万ドル、いやそれ以上かー私たちは忍び込んだコルキャノン邸で、世界に五枚しかないという超希少コインを手に入れた。たった一時間の仕事としては上出来だ。と喜んだのも一晩限り、翌朝コルキャノンの妻が撲殺死体で発見され、なんと私に殺人容疑が。その上、第二の殺人が起こり、問題のコインが消えるにおよんで、私は犯人捜しに乗り出すことに。
しまった、ついに正体を見抜かれたー。古本屋の主人におさまった私のもとにやってきた古書蒐集家は、私が泥棒だということを知っている様子だった。なにしろ世界に1冊しかないキプリングの詩集をなにがなんでも手に入れろというのだから。高額の報酬に釣られて安請け合いはしたものの、盗んだばかりの本を何者かに奪われ、おまけに殺人事件にまで巻き込まれるはめに。ネロ・ウルフ賞受賞の泥棒バーニイ・シリーズ第3作。
もう何年もまえのことだ。警察を辞め、妻子も捨てて、酒場に入りびたっていた私は、飲み友だちの依頼を引き受けることになった。妻殺しの嫌疑をかけられているので、真犯人を探し出してくれというのだが…。アル中探偵マット・スカダーの回想を通して、大都会の感傷を謳い上げたアメリカ探偵作家クラブ賞受賞の表題作をはじめ、当代随一のストーリーテラーが絶妙な筆さばきでつづる逸品20篇を収録した待望の傑作集第三弾。
うますぎる話には罠がある。アパートに忍び込み、小箱を盗み出すだけで5千ドルの報酬をくれるという。だが、家捜しを始めたとたん、パトロール警官の二人組に踏み込まれた。その上、寝室からは死体が見つかり、私は当然殺人犯として追われるはめに。容疑を晴らし、再びプロの泥棒としての仕事をするためにも、自分の手で事件を解決しなくてはならない。マンハッタンの泥棒探偵バーニイ・ローデンバー、小粋に文庫初登場。
昔馴染みのランスが現われたのは7月の末。彼は偶然知ったある土地成金を標的に、巧妙な詐欺の手口を案出したらしい。質素で堅実な暮らしを心がける42歳の元詐欺師には縁のない話のはずだった。だが今の私にも夢はある。自分の店を持ちたいという夢が。それを叶えてくれるかもしれないこの話に、心は動いた…!抑制のきいた筆致で描く絶碑妙のコンゲーム。名手初期の秀作。
若い女性ばかり狙った、9年前の連続刺殺事件はニューヨークを震憾させた。犠牲者は皆、全身に無数の傷を受け、その見開かれた両眼は、アイスピックでひと突きされていたのだ。ブルックリンで殺されたバーバラも、当時その犠牲者の一人と考えられてしいた。が、数週間前に偶然逮捕された犯人は、バーバラ殺しだけを頑強に否定し、アリバイさえも立証されたという。警察の捜査再開も期待できず、父親はスカダーに真犯人深しを懇願したが…。暗闇に埋もれた過去を求め虚無の街を彷徨うアル中探偵スカダーの姿を哀切に描き出す傑作ハードボイルド。
夜中にふと見をさましたロバータは総毛立った。窓辺に女が立っている。全身に妖気を漂わせ、腕に赤ん坊を抱いて。と、女と赤ん坊の顔は共に崩れ、骸と化していった。翌朝、生後まもないローバタの息子が奇怪にも息絶えていた。果たして彼女たちの古びた住まいは呪われているのか?また、屋根裏で発見された女の肖像画を自室で祀る12歳の養女エアリエルに潜む秘密とは?密やかに忍び寄る戦慄と狂気。鬼才の異色ホラー。