日常の光景と過去の記憶の合い間に、生活の深い味わい、生命の喜びと哀しみを丹念に紡ぎ出した心温まる掌篇集「笹舟日記」と「射撃」「草の宴」第6篇。
死に縁取られた、敗戦前後の束の間の青春-戦時下の少年の不安を乳房の異状に託して描く名篇「乳房」を始め、「蒼い断章」「冬の狐火」「驢馬」等7篇。
十六世紀の後期、天正遣欧使節として八人の若者がローマへと旅立った。八年あまりの波瀾と苦難と驚きの全旅程。無為に終った彼らの青春を描破した歴史長篇。(川西政明)
自己とは何かを鋭く凝視する斬波四郎の「山塔」、極限状況下ナチスの精神病者対策を追究した北杜夫の「夜と霧の隅で」、現代のメルヘン三浦哲郎の「忍ぶ川」等名作八篇