日常の光景と過去の記憶の合い間に、生活の深い味わい、生命の喜びと哀しみを丹念に紡ぎ出した心温まる掌篇集「笹舟日記」と「射撃」「草の宴」第6篇。
死に縁取られた、敗戦前後の束の間の青春-戦時下の少年の不安を乳房の異状に託して描く名篇「乳房」を始め、「蒼い断章」「冬の狐火」「驢馬」等7篇。
天正8年の4月、肥前有馬の切支丹の学問所に、コンスタンチノ・ドラードという名の少年がいた。彼が語る、天正遣欧使節に選ばれた日本の若者たちの苦難と驚きにみちたローマ往復の次第。それは8年余の歳月を要した。無為におわった彼らの青春をみごとに描破した歴史大河長篇。第15回日本文学大賞受賞作品。