著者 : 上田秀人
徳川家に凶事をもたらす禁断の妖刀村正が相次いで盗まれた。被害にあった研ぎ師は遊女と心中し、家宝を失った老侍は愛娘を身売りした。悲劇の舞台となった吉原に動揺が拡がる。何者かが村正を集めている。その目的とは。織江緋之介は水戸藩主徳川光圀の密命を帯びて真犯人を探る。浮上したのは幕府の重鎮。背景には将軍位継承をめぐる争いが。危機の及ぶ将軍家綱のもとに緋之介が疾る!
浅草に轟音が響きわたった。堀田家の煙硝蔵が爆発したのだ。表向きの原因は管理する職人の不手際。だが織江緋之介のもとに現れた老中阿部忠秋の家中によれば、老中格松平信綱が水面下で関与しているという。徳川光圀の命を受けて真相解明に乗り出す緋之介は、堀田家家臣らの不審な動向を目の当たりに。信綱と堀田家は何を企んでいるのか。怨念渦巻く陰謀を察した緋之介に刺客が忍び寄る。
将軍吉宗の寵姫、竹姫を謀略から守りきった御広敷用人・水城聡四郎は、竹姫を御台所にと望む吉宗の命で京へ向かう。しかし、そこで聡四郎たちを待っていたのは、新たなる刺客だったー。京を舞台に繰り広げられる公家たちや所司代との情報戦。そして、京の闇から現れた手練れの刺客との凄絶なる闘い。はたして誰が真の味方なのか。激熱のシリーズ、ド迫力の第九弾。
神君家康の遺宝をめぐる争いで若侍・織江緋之介に煮え湯を飲まされた老中松平信綱は、南町奉行神尾元勝に“浪人狩り”を命じる。機に乗じて緋之介を投獄し意趣返しを遂げる狙いだ。当の緋之介は危機を察しながらも徳川光圀から託された探索に乗り出す。三年前、光圀が懇意にする保科家の夕食会で起きた悲劇。その裏で何があったのかーー。深まる謎、迫る刺客。死闘の果てに待つ衝撃の真相とは。
初めて直系ではない将軍となる綱吉を支える老中堀田正俊。その野望に、各藩の緊張は高まる。加賀藩主前田綱紀は早くに正室を亡くしている。外様第一の継室の座をめぐり、各藩の留守居役たちが動き出す。親幕の保科家の会津に向かった若すぎる留守居役数馬も、老獪な筆頭家老相手に微妙きわまる外交に臨む。そして、加賀を追われ恨みをもつ刺客たちが数馬に襲いかかった! 文庫書下ろし人気シリーズ、第六弾! 第一章 街道の景 第二章 国元の策 第三章 国元留守居役 第四章 弁舌の戦 第五章 老中の借り
御広敷添番として四代将軍家綱の側室を刺客から守った無住心剣術の達人、工藤小賢太。その後、役を解かれて小普請入りすると、妻を娶り子どもたちとの穏やかな生活を送っていた。元号が元禄に変わり、跡継ぎのいない綱吉の将軍継嗣を巡る争いが勃発すると、またも小賢太は巻き込まれることにー。前巻『幻影の天守閣』刊行から十一年。著者渾身の書下ろし「続編」。
猛将だった祖父能家が裏切りに斃れた砥石城。父興家と苦難の放浪を余儀なくされた少年八郎は、豪商の助けで直家と名乗る。だが宇喜多家再興の道のりは険しい。強大な敵に囲まれ、宗主浦上家が牛耳る備前。若き直家は生き残り、祖父と父の復讐を果たせるのか?梟雄とされた男の苛烈な生涯。その真実とは!?
老中首座松平定信は将軍家斉の意を汲み、実父治済の大御所称号勅許を朝廷に願う。しかし難航する交渉を受けて強行策に転換。若年の使番東城鷹矢を公儀御領巡検使として京に向ける。公家の不正を探り、朝廷に圧力をかける狙いだ。朝幕関係はにわかに緊迫。定信を憎む京都所司代戸田忠寛からは刺客が放たれた。鷹矢は困難な任務を成し遂げられるのか。圧倒的スケールの新シリーズ、開幕!
名門譜代大名の堀田正信が幕府に上申書を提出した。内容は痛烈な幕政批判。よしみを結ぶ徳川光圀は絶句する。正信と対立する老中筆頭松平信綱の胸中はいかに。将軍家綱の知るところとなれば厳罰は必定だ。幕閣に走る激震を危惧した光圀は織江緋之介に助力を頼む。将軍家剣術指南役・小野忠常の息子にして、義と勇を持つ若侍。巧妙に張り巡らされた信綱の謀略を前に伝家の胴太貫が閃く!
大奥で密かに進められていた陰謀を未然に防いだ御広敷番医師の矢切良衛は、その褒美として将軍綱吉より、長崎への医術遊学を許された。同時に寄合医師に昇格した良衛は、自らの医科を休業し、医術を究めるため江戸を発つ。一方、幕府内と大奥では、良衛の出世と遊学を利用せんとする策謀がー。道中の良衛をつけ、接触する女の伊賀者。さらに箱根の峠に入った良衛たちに、謎の刺客たちが襲いかかる。好評シリーズ第6弾!
八代将軍・吉宗の寵姫である竹姫が大奥女中の雑用を引き受ける男衆の五菜に襲われた。竹姫の操を奪おうとした行為に吉宗は激怒。竹姫付き御広敷用人の水城聡四郎は吉宗の命を受け、竹姫を襲った五菜の背後にいる「真の敵」を炙り出すべく動き始めた。さっそく刺客に狙われた聡四郎は、はたして「敵」をどう制圧するのか。好調の人気シリーズ、躍動感満載の第八弾。
旗本復帰を誘う罠、外様小藩組の嫌がらせ…若すぎる留守居役数馬の前に、難題は次々と降りかかる。加賀潰しを公言する新権力者堀田正俊は、琴の実家で加賀藩の筆頭家老本多家の事情に目をつける。敵対する老中堀田と藩主綱紀、一度きりの秘密巨頭会談に、数馬は意外な場所を提案するが!?
悪漢に屋敷を荒らされた深室家は目付に不始末を厳しく追及される。将軍家綱のお髷番にして寵臣深室賢治郎は窮地に陥るが、老中阿部忠秋の計らいで難を逃れた。これに業を煮やしたのは賢治郎失墜を謀る異母兄松平主馬。冷酷無比な刺客を差し向け、魔手は許婚の三弥にも伸びる。進退窮まった賢治郎。そのとき家綱がついに動いた。権益を巡る傑物たちの攻防。大好評シリーズ、圧巻の完結!
将軍綱吉の跡継ぎを巡り、女たちの思惑が渦巻く大奥。警護の御広敷伊賀者が負傷した事件に、礼儀指南役の山科の配下が関わっているとの噂が流れた。将軍の命により、表御番医師から御広敷に職を移した矢切良衛は、真相究明を託され、将軍の側室である伝の方と接触することに。だが、その矢先、良衛に対するいくつもの魔手が忍び寄ろうとしていたー。良衛は度重なる窮地を乗り切れるのか。書き下ろし時代小説シリーズ第5弾!
御広敷用人として将軍吉宗の寵姫・竹姫を担当する水城聡四郎は、竹姫を襲い怪我を負い養生していた女忍の袖に突然、襲われる。一方、これまで大奥の主となってきた天英院の企てた茶会の罠を将軍吉宗の助けで乗り切った竹姫に、新たな罠が仕掛けられた。それに対して、竹姫を護るために聡四郎が打った「秘策」とはー。ますます好調のシリーズ、手に汗握る第七弾。
四代将軍家綱の死去。宮家擁立に失敗した家綱の寵臣大老酒井忠清は権力の座から滑り落ちる。代わって台頭したのが、館林公綱吉を擁立した堀田正俊。加賀前田家には頭の痛い問題があった。不祥事で放逐した留守居役の小沢が事もあろうに堀田家に抱えられている。繋ぎのできるのは、新米留守居役の数馬だけ。藩の命運を懸けた高度な交渉に数馬が挑む。そして、失意の大老酒井は再逆転を狙い伊賀者に秘策を命ずる。百万石、危うし。 第一章 将軍の葬儀 第二章 殉ずる形 第三章 走狗の夢 第四章 見習い同士 第五章 大老最後の策
慶長五年九月十五日(一六〇〇年十月二十一日)。天下分け目の大戦ーー関ヶ原の戦いが勃発。--なぜ、勝てたのかーー東軍伊東潤(徳川家康)天野純希(織田有楽斎)吉川永青(可児才蔵)--負ける戦だったのかーー西軍葉室麟(石田三成)上田秀人(宇喜多秀家)矢野隆(島津義弘)--そして、両軍の運命を握る男ーー冲方丁(小早川秀秋)当代の人気作家七人が参陣。日本史上最大の決戦を、男たちが熱く描いた「競作長編」。 慶長五年九月十五日(一六〇〇年十月二十一日)。 天下分け目の大戦ーー関ヶ原の戦いが勃発。 ーーなぜ、勝てたのかーー 東軍 伊東潤(徳川家康) 天野純希(織田有楽斎) 吉川永青(可児才蔵) ーー負ける戦だったのかーー 西軍 葉室麟(石田三成) 上田秀人(宇喜多秀家) 矢野隆(島津義弘) ーーそして、両軍の運命を握る男ーー 冲方丁(小早川秀秋) 当代の人気作家7人が参陣。 日本史上最大の決戦を、男たちが熱く描いた「競作長編」。 「人を致して」 伊東潤 「笹を噛ませよ」 吉川永青 「有楽斎の城」 天野純希 「無為秀家」 上田秀人 「丸に十文字」 矢野隆 「真紅の米」 冲方丁 「孤狼なり」 葉室麟
将軍家綱のお髷番にして寵臣深室賢治郎は館林徳川家の黒鍬者に襲われるが、返り討ちに。老中阿部忠秋はこれを謀叛と取り、賢治郎に黒鍬者殲滅を命じる。一方、将軍正室の懐妊を確信した甲府藩家老堀田正俊は、大奥に刺客を送って害そうと画策。家綱の身にも危難が迫る。事態を打破しようとする賢治郎だが、目付に用人殺害の疑いをかけられーー。寵臣として最大の試練。その真価が問われる。