小説むすび | 著者 : 下山由美

著者 : 下山由美

男装のレディの片恋結婚男装のレディの片恋結婚

最愛の放蕩貴族との結婚。 それは、私の片恋を証明するだけの結婚。 家族に自由を奪われてきたソフィアはある夜、こっそり外出に成功した。 だが帰り道に何者かによって、見知らぬ屋敷へ連れ去られてしまう。 そこにいたのは、なんと彼女が密かに想いを寄せるワイアット卿! 彼は駆け落ちした妹を捜していて、ソフィアは人違いされたのだった。 そうと知った彼女はぜひ力になりたいと、彼と妹捜しを始める。 しかし行方がつかめないまま、宿を取らざるをえなくなった夜、 ワイアット卿からキスと抱擁を受け、ソフィアは思わずつぶやいた。 「愛しているわ」その瞬間、拒絶され、彼女の頬を涙がこぼれ落ちた。 このままでは、彼に置き去りにされてしまう……。意を決した彼女は、 翌朝まるで別人になったーー男装をし、長い髪をばっさり切り落として! ワイアット卿はソフィアが供も連れずに彼と二人で過ごしたことや、レディともあろう者が少年の格好をして彼と行動を共にしたことを考え、ある結論に達します。それは、名誉にかけて彼女と結婚することでした。愛する人と愛なき結婚などしたくないソフィアは……。

罪なき誘惑罪なき誘惑

無垢な娘の罪なき誘惑は、 不幸せな結婚への序章……。 二十歳のルイーザは決意を胸にロンドンのとある屋敷へやってきた。 両親亡きあと、家督を継ぐはずの兄ジェームズは放蕩の限りを尽くし、 故郷にも戻らず、毎夜賭事をしては大金をすっている。 今すぐあの悪習を断たなければ、唯一残った館も人手に渡ってしまう。 だが時すでに遅く、兄は一世一代の大勝負に出ていた。 相手はカードの名手で社交界の重要人物、アリステア・ダンスタン卿。 案の定、勝負を制したアリステアはしかし、その後に大きな過ちを犯す。 ルイーザをジェームズの愛人と思いこみ、露骨に言い寄ったのだ。 無垢な彼女は館を守りたい一心で、捨て身の作戦に出た。 「4000ギニーいただけるなら、ひと晩、お相手を務めます」 頽廃の香り漂う18世紀ロンドン社交界。男は思ったーー誰の愛人だろうとかまわない、彼女が欲しい。女は思ったーー愛してもいない人に惹かれるって、こういうものなの? それぞれの思惑は外れ、事態は予期せぬ方向へ……。誤解と偏見が生む、愛の煩悶の物語。

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