著者 : 中井京子
あの夏、わたしはサンフランシスコ郊外を震撼させた連続殺人鬼と対決し、死にかけた。犯人を追う刑事の父を助けたくて、ある行動をとったせいで。もしもあの瞬間、妹がいてくれなければ、きっと殺されていただろう。そして30年あまりが過ぎた今、真相を知るのはわたし一人だけになってしまったー。70年代後半のカリフォルニアを舞台に、みずみずしくも危うい少女たちの夏を描いた話題作。
CWA賞にもノミネートされた実力派ユーモア・ミステリー。タイのリゾートで仕方なく働く、失業中の女性記者ジム。砂浜で生首を見つけたことから、この国が内包する差別貧困問題に巻き込まれる。
書店経営に絶望したオーナーが店を閉めたため、エンジェルは職場を失った。新たな就職先は、出版エージェント。新人作家を発掘し、原稿の修正から売り込みまでを仕切る、まさに本を産む現場の仕事だ。読書家の彼女には最適な職場のはずが、女性社長の暴君ぶりに振り回される日々。それでも才覚を発揮しはじめたエンジェルのもとに、不審な匿名原稿が届く。彼女自身をモデルにした小説で、内容はエスカレートし、ついに殺人が!…出版界で奮闘する女性を描き、熱い支持を得た業界ミステリー。
ジーンは同棲相手ロイの暴力に耐えかね、ひとり娘のグリフを連れて義父アイナーの牧場に身を寄せる。息子が死んだ事故の当事者であるジーンを、彼は未だに許していない。そのアイナーも、熊に襲われたかつての戦友ミッチに責任を感じ、面倒を見ている。そして、グリフがミッチになつき始めた頃、ジーンを追ってロイが牧場にやって来た…。大自然を背景に“許し”を問う涙の力作。
病弱な息子への愛情を支えに不幸な結婚生活を耐えるエリアーナ。キャンティのワイナリー、フィレンツェの街、トスカーナの美しい自然と歴史に囲まれ、はぐくむあたらしい愛の行方は…。『クリスマス・ボックス』のミリオンセラー作家リチャード・P・エヴァンズのロマンチック小説最新作。
36時間体制で患者を診る医者と、看護婦、そして診療を受ける側の患者。ER(救急救命センター)では信じられないほどの奇跡や悲劇が起こっている。ERの医師であり詩人でもある作家の感動的作品。
けっして猫好きではなかった著者が、隣家の白い仔猫にひと目惚れ。誘拐同然に連れ帰り、返すつもりが一日一日…。しだいに彼の生活は仔猫を中心に回りだす。緑あふれる英国の田舎町の暮らしを背景に、猫と飼い主のユーモラスな関係をつづった心あたたまる物語。
’89年F1GP。元F1ドライヴァー、ピート・ホーソンは、新規参入のヴィターレ・チームから誘いを受ける。願ってもないF1復帰。が、チームのオーナーは、19年前、ラリー出場中に謎の失踪をしたピートの父の雇い主でもあった。事件の真相に迫るピート。開幕戦のシグナルは赤から緑に。-栄光のチェッカーめざして疾走するマシン。限界に挑むドライヴァー。華やかなサーキットの陰では、もうひとつのバトルが…。シリーズ第1弾。
ロシア系ユダヤ人の街“リトル・オデッサ”で育ったケイトは、いまはアラブ・レストランのセクシーな踊り子。ある時、店のオーナーから自宅の留守をあずかるが、奇妙な泥棒にペットの犬を盗まれ、恋人は射殺される。知り合いの刑事に事件の捜査を依頼するが、交換条件はソ連人貿易商に接近すること。ソ連人の正体は?大きな事件の渦がケイトを巻き込んでいく。ニューヨークを舞台に、軽快な筆致で描く都会派ミステリ。
11歳になる双子の兄妹が姿を消した。翌日には母親も…。捜査にのりだしたマイケル・ソーン警部補は、不思議な事実に突き当たった。犯人とおぼしき孤児院育ちの男には、双子の兄がいた。その兄というのが、失踪した母子のいまは亡き夫であり父親だった。この意味するところはいったい何か?もつれた糸をほぐそうとするソーンを尻目に、犯人は着々とたくらみをすすめていた。妄執に憑かれた男の狂気を描く深夜のミステリ。
アメリカがもっとも活力にあふれた時代を迎えようとしていた1945年。卓越したアイデアと未来を予測する非凡な才能で、全米を支配する自動車産業界に挑戦した男がいた。男の名はプレストン・タッカー。楽天的で明るく実行力に富み、何よりも自由を求める男…しかし彼を恐れた米国財政界は、強力な力で次々と卑劣な妨害を始めた。すべてを賭けた未来の車で巨大な敵の陰謀にただひとり挑むタッカー!時代は彼を求めていた…。ジョージ・ルーカス製作総指揮、フランシス・コッポラ監督で映画化。
南フロリダに漠々と広がるエヴァーグレイズ湿地帯。孤独で裕福な女たちが残虐な手口で次々と命を落としていく。死体はゲスト・ハウスのバス・タブ、ワニがうごめく沼に浮かぶ…。一連の事件の背後に、カナダの刑務所を出たばかりの結婚詐欺師の姿があった。やはり何者かに妻を殺されたラクサハッチ郡警察の黒人保安官は、この連続殺人事件の犯人をつきとめるべく、異常な執念で捜査を続ける。MWA最優秀新人賞ノミネート作。