著者 : 中山可穂
宝塚×ノワール=コメディ!?中山可穂の新境地小説!孤高の殺し屋に新たな依頼が届く。ターゲットは、宝塚のトップスター。ヅカオタの協力員とともに、トップスターの命を付け狙うのだがー。果たして殺し屋は任務を完遂できるのか!?
殺し屋に家族を殺され、独り生き残った少女は復讐を誓う。犯人にたどり着く手がかりはタンゴとシェイクスピア。東京とブエノスアイレスを舞台に、“ロミオ”と“ハムレット”の壮絶な闘いが幕を開ける。アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた復讐劇はどこへ向かうのか?タンゴのリズムに乗せて破滅へとひた走る、切なく痛ましい殺し屋たちの宿命。圧巻のノンストップ・ノワール。
宝塚という花園の酸いも甘いも知り抜いた専科のアモーレさんのダンディズムに憧れ、音楽学校に入学したえり子。分担さんだった先輩、花瀬レオ(レオン)が組替えで同じ宙組となり、落下傘でついにトップスターに就任。銀橋をまたいで舞台と客席はひとつの宇宙となり、各人各様の人生ドラマを秘めながら、ついにレオンお披露目公演の幕が開く!『男役』『娘役』に続く、愛と青春の宝塚シリーズ第三弾!!
宝塚歌劇団の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの先輩・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長と、バラキとのコンビ愛。そんな彼女を遠くからひそかに見守り続ける孤独なヤクザ・片桐。決して交わるはずのない二人の人生が、一瞬、静かに交差してー。ヤクザとタカラジェンヌ、それぞれの十年を切なく濃密に描く。好評の宝塚シリーズ『男役』に続く第二弾。
トップ就任後二日目に舞台事故で亡くなった50年前も伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、新人公演に大抜擢された永遠ひかるに待ち受ける試練と奇跡とはー。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて愛と運命の業を描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。
殺し屋に家族全員を殺され、ただ一人生き残った少女は復讐を誓う。その男にたどり着く手がかりはタンゴとシェイクスピア。東京とブエノスアイレスを舞台に、“ロミオ”と“ハムレット”の壮絶な闘いが幕を開ける。アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた復讐劇はどこへ向かうのか?タンゴのリズムに乗せて破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。美しく、激しく、圧倒的な切なさが胸を撃つ、著者新境地のノワール長篇。
ファシズム政権下で同性愛が禁じられている近未来の日本。ミチルは、公演中の落下事故で記憶と最愛の人を失った。秘密警察に追われ、収容所へ送られてしまうが、レジスタンスに助けられ、自分が何者なのかを問いながら巡礼路を歩き続ける。十字架を背負い、苛酷な運命に翻弄され、四国遍路からスペインの聖地へ。孤独な魂の遍歴と救済、壮絶な愛のかたちを描いた王寺ミチル最後の黙示録。文庫版のみ台湾版前書きを特別収録。
トップになって二日目に舞台事故で亡くなった50年前の伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、その新人公演の主役に大抜擢された永遠ひかるの前にあらわれた奇跡とはー。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。
先生、あなたはなんという呪いをかけられたのですか?あなたの大切な者すべてを三角形の綴じ糸でほどけぬように縫い付けて、それぞれの愛を禁じるおそろしい呪いをかけたのは、一体何のためですか?-音楽家の忘れ形見と愛弟子の報われぬ恋「蝉丸」。隅田川心中した少女とその父の後日譚「隅田川」。変死した作家の凄絶な愛の姿「定家」。能に材を採り、狂おしく痛切な愛のかたちを浮かび上がらせる、中山可穂版・現代能楽集。
夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。
インドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟のような一画にそのカフェはあった。主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。しかし彼女の正体は、もう20年も前に失踪して行方知れずとなった伝説の作家・津田穂波だった。南国のスコールの下、彼女の重い口から、長い長い恋の話が語られる…。東京、ブエノスアイレス、サイゴン。ラテンの光と哀愁に満ちた、神秘と狂熱の恋愛小説集。
その音楽は神のものか、悪魔のものかーカレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。
ウィーンからプラハ、マンハイム、ベルリンへと、モーツァルトゆかりの土地へアマデウス旅行社のツアーは続き、復讐は重ねられる。モーツァルトしか弾かない美貌のピアニストとの恋が伽椰を更なる悲劇のうねりに巻きこんでいくのだがー過去と現在、複雑に入り乱れた愛と憎しみが生み出した絶望に差しこんだ一筋の光とは。
翻訳家のなつめは、人妻・吹雪と激しい恋に落ちる。吹雪の家で逢瀬を重ね、子供の昼寝の間に快楽をむさぼる日々。女同士の恋、家庭を壊すつもりなどなかったのに、会えば会うほど溺れてゆき、愛するがゆえに傷つけあわずにはいられない。一方、吹雪の夫・マツキヨは、幼い息子を守るため、そんな妻を受け入れ家庭を再生しようとするがー。一途で、不器用で、あたたかい、愛と赦しの物語。
将来を嘱望されながら、ある事件をきっかけに落ちぶれてしまったピアニスト響子。酒に溺れながら孤独に生きる彼女のもとに、かつて恋人だった透子が戻ってきた。ある日突然、赤ん坊を抱いて。しかし、女同士のカップルと赤ん坊の不思議な関係は、突然の透子の死によって壊れてしまう。希望を失いかけた響子の前に一人の青年が現れたー。切ない愛と新しい家族のかたちを描く、恋愛小説の傑作。
かなわぬ恋こそ、美しいー雨の気配を滲ませた母子に宿命的に惹かれ、人生設計を投げ捨てたエリート医師(「弱法師」)。編集者の愛を得るために小説を捧げ続けた若き作家(「卒塔婆小町」)。父と母、伯母の不可思議な関係に胸をふるわせる少女(「浮舟」)。能のモチーフをちりばめ、身を滅ぼすほどの激しい恋情が燃えたつ珠玉の三篇。
「恋がいつか必ず終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、(中略)この世で最も美しい友になりましょう」(本文より)。山本周五郎賞作家が『感情教育』を超えて到達した、戦慄と至福の傑作恋愛長篇。
ひと夏の狂おしく濃密な恋を描く「鶴」。失恋したばかりの女性が経験する一夜の出来事「七夕」。別れた亭主が転がり込んだことからはじまる再生の物語「花伽藍」。別れの余韻が静かに漂う「偽アマント」。未来への祈りにも似た「燦雨」。結婚というルールを超えて結ばれた無垢で生々しい愛の歓びと痛み、そして愛にあぶりだされた孤独を、鮮烈に彩り豊かに描いた珠玉の短編集。
どうしようもなく好きになった。体が溶けるほど求め合い、もう二度と離れられないと知った。運命の恋なのに、涙が止まらない。なぜならあなたは人妻だからー。強く惹かれあい、もつれあい、傷つけあう二人の女性「なつめ」と「吹雪」。幼い子供を守るために、壊れかけた家庭を再生しようという吹雪の夫「マツキヨ」。相容れぬ二つの絆で結ばれた者たちが織り成す、愛と赦しの物語。